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ブラック企業で倒れた私を、ネトゲ仲間の社長が強制的に保護しました【連載版】  作者: 紅 与一


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第4.5話~罰と恥~

私の目の前には色鮮やかな服がずらりと並んでいる。


ぱっと見れば、舞踏会のドレスでも掛かっていそうな光景だ。


……ただし、その中身は黒白のメイド服や、赤が目立つチャイナ服、桃色のナース服なのだけれど。


「ここから、一着選んで着てって言われたけど……」


「これは……たしかに罰ゲームだな、かなり嫌だ。」


「はぁ……これを着ると、着用中は精神的ダメージを負い続けそうだ」


断っておくが、服自体の露出はそこまで多くない。


でも、恥ずかしいじゃん?


20代とはいえ、いい歳をした大人がこれを着るのは抵抗がある。


「おーい、もう着替えたかい?」


部屋の外から聡の声が聞こえる。


「ま~だだよ~」


間延びした声で答え、悩み抜いた結果


「まぁ、定番だし、スカートの丈も長いこれが一番無難だよね」


と言い、コスプレ衣装の中から一着を選んだ。


(聡って、こういう服を着せる趣味があるのかな?)


(もしかして、彼は変態、なのかもしれない)


ため息を吐きながら、勝負に負けた自分を呪い、着替え始めた。






ガチャリ、とリビングのドアを開く。


「おっ出て来たね……ってどうしたんだい?」


(恥ずかしくて、そっちに行けないんだよ!)


と、心の中で叫びながら


スカートの裾をぎゅっと握りしめ


ドアから顔だけを出してリビングを見つめた。


彼は私の仕草で察したらしく


「大丈夫だよ、見せて?」


と言って、ドアノブに手をかける。


私が選んだのはクラシックスタイルのメイド服だ。


スカートが長いので大分マシだが、やっぱり恥ずかしい。


顔を真っ赤にしてうつむいていると


聡が何も言わなかったので


(まさか、絶望的に似合ってない……?)


と思い、慌てて、顔を上げると、聡は口元を抑えながら話し出した。



「……まずいな、似合いすぎてて、意識を失いそうだったよ」


「どういうこと?」


「写真を撮ってもいい?」


「あ、NGです」


「そこをなんとか……これで……」


といって、財布を取り出し、札束を渡そうとしてきた。


「生々しいからやめろっ!」


私はそれを押し返した。


「いや……しかし、今日だけでこの姿を見納めるのは、あまりにも、酷だ」


彼は手を握りながら、わざとらしく震えている。


……どうやら本気で感動しているらしい。


「はぁ……今日一日、見れれば十分でしょ?」


罰ゲームなので、寝るまでこの姿なのだ。


「くっ……ならせめて、添い寝だけでもしてくれないか?」


「あ、だめです、うちはそういうのやってないんで。」


「仕方ない……これで……」


今度はクレジットカードを差し出して来た。


「だからやめてってば!」


カードを押し返した。


「はぁ…そういうのは、専門の人に頼みなよ、私には向いてないよ」


「向いてる、向いてないじゃない」


「君だから、輝いて見えるんだ」


そう言って、彼は私の目を見つめながら、優しく私の手を包み込む。


「……そうですか」


胸がきゅっとしめ付けられ、顔を背ける。


「でも、ああいう服がいっぱいあったって事は、そういうの好きなんでしょ?」


他の人で、そういう事するんだ、と思ったら、少しだけ胸がチクっと痛んだ。


すると、聡は思い出したように


「あぁ、あれは今開発中のゲームアプリのサンプルで、預かってるだけだよ。」


「でも、こんなに似合うんだから、君の為に買い取ってもいいね。」


そう言われ、私は少しだけ、うれしくなった。


「……もう着ないよ」


「そう?また罰ゲームで必要になるかもしれないじゃないか」


「はぁーっ!?次は負けないしっ!」


「そうだね、じゃあ、買い取っておこう。」


「ぐぬぬ……みてなさいよ……」


「ふふっかわいいね」


「うっさいっ!」



ぎゃあぎゃあと喚く私を、聡は暖かい手で撫でてくれた。

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