入学式
入学式
ちゅんちゅんと、窓の外から元気な小鳥のさえずりが聞こえてくる。もう朝になったのだろうか。
私は目を覚まし、ベッドから起き上がった。いつもと景色が違う。昨日あったことは夢ではなかったみたいだ。
窓の外に見える太陽を見て伸びをし、一日の始まりを感じた。
「今日から新しい生活が始まるんだ……。」
寂しいような、嬉しいような複雑な気持ちになっていると、部屋に天歌ちゃんが入ってきた。
「おはよう、キララちゃん。よく眠れた?」
「おはよう。おかげさまで。」
天歌ちゃんはまだ起きたばかりなのか、雰囲気がふわふわしていて、寝癖も凄かった。前髪なんて、上に曲がってしまっていた。
私は頑張って笑いをこらえながらも、昨日から疑問に思っていたことを質問した。
「そういえば、今日は入学式がどーたらこーたらって言ってたよね?」
そういうと天歌ちゃんは覚醒したのか、目を見開いた。
「あー! すっかり忘れてた! もうこんな時間! 急がなきゃ!」
「ええ、それ大丈夫なやつ??」
「大丈夫じゃない! ほら、キミも支度して! キッチンにご飯はあるから適当に食べといて!」
「わ、わかった」
天歌ちゃんはそう言って、部屋から飛び出して行った。
入学式って、私も入学するってこと?でも、そんないきなり入学できるものなの?
とりあえずは、朝ごはんを食べてこよう……。
私はキッチンに向かい、朝ごはんを食べた。
適当に食べて良いと言われても、どうすれば良いのか分からなかったので、とりあえず食パンを一切れ食べることにした。
他にも冷凍食品や色んなパン、麺類やお菓子のようなものが沢山あったが、私のもといた世界のものとさほど変わりはなかった。そのせいか、あまり異世界という実感がわかない。
パンも食べ終わり、やることが無くなってしまったので、天歌ちゃんの手伝いでもしようと思い、天歌ちゃんの部屋に向かうことにした。
天歌ちゃんの部屋に向かうと、案の定バタバタしていた。天歌ちゃんは制服に着替えており、椅子にはバッグが置いてあった。
「あ、キララちゃん! ちょうどいいところに。テーブルに置いてある資料、適当でいいからバッグに入れといてくれない?」
「資料?わ、わかった!」
私は天歌ちゃんの指示通りに、資料をバッグに入れた。そういえば、異世界にいるけど、文字は日本語だな。日本と何らかの繋がりのある世界なのかな。
って、そんなこと考えている余裕はないか。入学式に遅れそうという大問題に直面しているんだ……。
「そういえば、入学式まであとどれくらいあるの?」
「うーん、あと二時間半くらいかな?」
え?二時間半?結構ありますよお姉さん。
二時間半もあれば、たとえ学校と家を二回往復したとしてもまだ余裕あるでしょ。それとも何か準備があるとか?
「詳しいことは後で説明する。学校行くのに歩いて四十分ちょっとくらいあるから。」
「……わかった。」
「君の制服はまだ用意できてないから、とりあえずその格好でいいよね。異世界から来たって証拠にもなるだろうし。」
やっぱり私も入学する流れな感じだね。ほんとに大丈夫なのかな?学費とかはどうなるんだろう。そこはまあ、異世界だしなんとかなるかな。
「……よし。お待たせ。準備できたし、出発しようか。」
「うん。」
私たちは準備を済ませ、家を飛び出していった。
to be continued…