プロローグ
中学生がきままに書いているものなので、どうか暖かい心で読んでいただければ幸いです。
プロローグ
これはとある少女の話。
地球。日本のとある街。少女はごく普通な平凡な日々な毎日を送っていた。
しかし、少女にはただ一つ不幸せな点があった。
それは、両親がキノコ好きであることである。
これの何が不幸せなことなのかって?そう。少女は大のキノコ嫌いであったのである。
マッシュルーム、えのき、しいたけまいたけ……どの類でも関係ない。キノコがとにかく苦手だった。
だが、親がキノコ好きなせいで、毎日食卓にはキノコが必ず出てくる。少女が大好きなカレーには、干ししいたけがひっそり隠れていたり、味噌汁にはえのきたけが入っていたり、お鍋料理には大きいしいたけがドカンと入っていた。
毎日バレないようにこっそりキノコだけ捨ててやりすごしてきたが、さすがに少女ももう限界であった。
それでまさに今、人生初の家出をしたのである。
少女は家出したあとのことはよく考えていなかったので、とりあえず近所の公園のベンチに座ってため息をついていた。
公園では小さな子供たちがニコニコしながら走り回っていたり、遊具で遊んだりしていて、ほっこりする雰囲気だった。
外の空気を吸い、次第に心が落ち着いていった。が、運の悪いことに、少女は恐るべきものを見つけてしまった。
ベンチの真横に生えている広葉樹の根元に、少女の嫌いなキノコが生えていたのである。
思わず少女は叫んでしまい、周りの子供たちに細い目で見つめられていた。
少女はキノコに対する怖さと同時に両親へ対する怒りがよみがえってくるのを感じてしまい、少女は急にそこら辺に落ちていた長めの木の棒を拾った。
そして、キノコをつつき始めた……。
少女がキノコをつつき始めてから、もう三十分が経とうとしていた。
未だに少女は夢中になってキノコをつつき続けている。キノコにはもうすでに傷がたくさんできていた。ある意味これはキノコと向き合えているということではないのだろうか?
という感じで、少女は容赦なくキノコをつつき続けていた。
そんな少女の真上に、何か謎の物体が近づいてきていた。
遊んでいた子供たちは、なにか物体が飛んでいたのを見て、一度目を擦り、夢では無いと驚いて大騒ぎしていた。中には何故か美味しそうだと騒いでいる子もいた。
集中力の高い少女もさすがに周りの状況に違和感を覚え、それと同時に上を見あげた。
するとそこにはUFOのような形をした、黄色くて少し赤い……違うとは思うが、オムライスのような形をした物体が飛んでいた。
少し風邪が吹き、物体の黄色い部分がふわっと揺らいだかと思うと、その中からオレンジ色に近い色をしたつぶつぶがしきつめられているのが見えた。
前言撤回。これオムライスの「ような」じゃない。オムライスだこれ。……そんなことは今はどうでもいい。良くはないが。
謎のオムライスUFOは、少女とキノコを吸い取った。
その状況に周りも混乱し、子供たちは口をぽかんと開けて、固まってしまっていた。
そして、遥か遠い空の上まで飛んでいってしまった……。
一体彼らは何をしたかったのか。
一体彼らはどこから来たのか。
一体彼らの正体は何なのか。
何はともあれ、大事件になってしまったのには間違いないだろう……。
ここは地球でない地球。この世界のものたちはこの世界を「アナザーワールド」と呼ぶ。この世界には魔法が存在しており、ほとんどの国で魔法が使用されている。この世界にとって魔法とは当たり前の概念であった。
アナザーワールドの中でも栄えているとある街は、企業や技術が発展している上に、近頃は魔法の技術も凄まじいほど素早く成長していた。
そのおかげでこの街の人たちは魔法に頼り、充実した生活を送ることが出来ていた。
しかし、そんな平和な世界にも百年ほど前から謎の生物――――「オムライチュ」と呼ばれる生物が現れるようになった。
名前の通り、オムライスのような可愛い見た目をした、UFO型の生物である。……これは決してふざけた話をしているのではない。しっかりした事実である。
ただ謎の生物が存在している、というだけではない。この世界に大きな問題を引き起こしていたのである。
この世界では百年ほど前まで戦争や大きな問題など全く起こすことは無かったが、オムライチュが突然現れたことで、たくさんの問題が発生するようになり、平和が少しずつ崩れていった。
ふわっと色々なところに突然現れては人間を攻撃したり、ゴミ捨て場を荒らしてみたり、その他にもたくさんの悪事をはたらいていた……。とにかく、奇想天外なことを起こしまくる超問題オムライス兼UFOであった。
そんな謎に包まれたオムライチュであったが、この世界に住むとある組織がが彼らの研究や解析を進めたところ、解明したことが一つあった。
奴らは世界中の食材を収集して世界をうろつき回っているということだ。彼らの発生場所や分布地域について詳しく調べてみると、住宅のキッチン、食品加工工場、畑や田んぼなど、食べ物が関係している場所が多いことがわかったのだ。
そのことから、研究者たちは彼らは食材を必要としているのではないかと推測したのだ。
とはいえ、彼らが食材を集めたところで、一体何をするのかということはわかっていない。
未確認の生物ということもあり、どちらにせよ人類は警戒せずにはいられなかった。
そんな混沌に染まりつつあるこの世界にこの日、魔法を使わない、使えない少女が現れる。
そしてこの日、今日こそが、誰も思いもしない物語の始まりなのである――――。