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金貨クエスト(3)最後まで生きていたモノだけがゴールドなのデス!

「どうやら君は、本当のおはぎというものを知らないようだ」

「私は、おはぎだ。それ以上でもそれ以下でもない」

「おはぎとは、無限の大宇宙を旅する永遠の旅人。遠く時の輪の接する所であんドーナツになるわ」

「食べるなら食べろ!嫌ならば帰れ!」

「多分私が食べたのが3個目…」


 私たち巫女の経営する団子屋では、イチオシメニューのプロモーションも兼ねた演劇を上演しています。店内にステージがあるのです。内容的には、まあまあヒドイですね!

 我らが女神、リーザおやびんは「大金を使って失敗してみせろ。笑えるから。金持ちの成功談なんかつまらんのじゃー。六本木ヒルズのタワマンから、河川敷のダノンボールハウスに落ちぶれる話の方がウケるじゃろ?」と、おっしゃっていますけど。失敗させるつもりなんて全くありません。成功させるつもりしかないのですよ?マジで。


「演劇としては破綻していますけども。CMとしては成功してますよー?」

「うん。一体何を見せられているんだ!?って注目されてますからね」

「無理やり見せつけれられるものとしては面白いと、お客様からはよく言われています」


 我々が目指しているのは、エンターテインメントなお団子屋さんです。

 お団子そのものが偉大な文化ですが。もっと様々な文化を発信するヤック・デ・カルチャーな存在を目指しています。お金を儲けるだけの行為は、教義で禁じられていますので。稼ぐより借金してでも浪費しろ、が我らが信奉するリーザ教の教義なのです。

 目標はラスベガスのホテル!なのですがー。私たちの持っている異世界の記憶の持ち主は、ラスベガスに行った事ないんですよねー。日本のアミューズメント施設の記憶は割と豊富なんですけど。お団子屋でフナ釣りとかしてもですねえ。


 そんなわけで迷走中の、私たち巫女のお団子屋です。

 今は、企画会議の真っ最中です。


「曲がったタイを直すところをリーザ様が見ている話を2.5次元でやりましょう!」

「んー、それは趣味に走り過ぎなのではー?」

「私たち巫女なのでタイありませんし」


 このお店のスタッフは全員、巫女服を着ています。巫女カフェというコンセプト・カフェでもあるのです。くるくるどーん!とおはぎに練乳で絵を描くサービスが大人気です。


「店長ー。おやびんが来店されましたよー」


 あら?我らが女神、リーザ皇帝陛下のご来店ですよ。我ら巫女達は深い敬意を込めて「おやびん」とお呼びします。


「ちょうどいいわ。ダモン金貨をお渡ししましょう」


 先日、ダモン金貨で会計をしようとしたマヌケが居たのです。こっそり神社の賽銭箱にでも入れておけばいいものを。特級呪物なんですよ?あの金貨は。持っているだけで命を狙われます。事情はよく分かりませんが、ダモン王国崩壊に関係あるそうです。持ってるの何か嫌なので、おやびんにお渡ししましょう。


「おやびーん。ちょうどいいところに。はいこれ」

「はあ?まーじーでー!?」


 ダモン金貨を渡すと、リーザおやびんとその御一行が大層驚いてますよ?


「どこにあったのじゃ?これー」

「マヌケな客が支払いに使ってました」

「そのマヌケは?まさか生かしてませんよね?」

「えー?そう言われても、私たち巫女なのでー。無駄な殺生はー」

「自分達の命はおもちゃにして遊んでいるくせにねえ」


 命の取り扱いに関しては、巫女と近衛騎士では価値観が一致しません。

 巫女は女神様のために死んでこそ!と思っているので、じゃんけんをする感覚で命のかかった勝負をします。ミコミコダーツとかミコデスルーレットとか、手榴弾お手玉とか、デーモンコアでキャッチボールとか。

 死んでも復活しますからね!もっとも、最近はリーザ神社の総本社が、リーザ山の頂上に引っ越しちゃったので、帰って来るのが大変なんですけどね。私たち、死ぬと総本社の境内に全裸で復活しますので。


「どんなヤツでした?その客」

「えーっと。ツインテールの口が悪くって頭も悪そうなメスガキと、メイド服に日本刀を帯刀した変な女の二人組でした」

「メイド服に帯刀というだけで変な女扱いはやめて下さい」

「あ?えー?近衛騎士は十分変な女でしょ?」


 メイド服に帯刀しているのは、リーザ帝国近衛騎士もそうです。というか、他に居ませんよ、そんなの。ちなみにコルサ王女様は、メイド服に腹巻きをして、そこに短剣を差しておられます。首からは大きながま口を紐で下げてますし、お履物は下駄です。10周くらい回って、とても可愛いのです。ダモン王国の絶対無敵究極アイドルなのです。


「ははっ。その通りなのじゃ。うちには変な女しかおらんのじゃー」

「陛下ぁ?」

「しかし困ったのう…。金貨が全部集まってしもうたぞ?」

「別に困らないでござるよ。一度国へ帰りましょう、マスター」

「えー…、わしの諸国漫遊の旅わー?」

「んー?なんだかよく分かりませんがー。おやびんは此処に残っていればよいのではー?」

「それなのじゃー」

「え?ああ、そうですね。そうしますか。金貨は我々だけで国に持ち帰ります。明日の夕方頃に迎えに来ますので、陛下をよろしくお願いします。並の幼児よりも手がかかるので注意して下さいね」

「ういっすー!おまかせをー!」


 よっしゃあ!おやぶんを一晩お預かりデスよ!

 今夜は、おでんパーティをしましょう。

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