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金貨クエスト(1)デスアーリードライバーなのデス!

 いっえーい!みんな今夜もロックしてるかい?拙者は最高にロックだぜぃ。子猫ちゃん。


 拙者ヤキトリは、マスターにお仕えする唯一の騎士デス。DEATH!


 以前は、ダモン王国で影武者王女の近衛騎士をしてました。ダモン近衛騎士隊の中では最弱と呼ばれた拙者ですがー、今はリーザ近衛騎士隊の最強デス!だって、隊長の拙者しかおりませんぬので。


 拙者のマスターであるリーザ様は、この国のトップなのデス。いえ、この世界のトップ、銀嶺の覇者デス。だって女神じゃもん。女神様に仕える騎士である拙者、最高にロックンロール。

 この世界のトップについては諸説あります。リーザ様推しなのは、ダモンくらいでしょうか。オタマでは他の女神を推してますし、ターマは悪魔推し、カワサキは魔女推し。ダモン以外センスないっすわ。


「魔女を採りに行くのじゃ」


 セミかカブトムシを採りに行くのじゃ、くらいの感覚で魔女を欲しがるマスターは、最高にロック。


 うちの国には、女神様だけでなく、天使や大天使、堕天使、魔王にドラゴン、と神話級のファンタジー動物だらけですが、魔女だけは居ません。悪魔は先日滅ぼしました。あれは、私の剣の錆にしてやりましたわー。おかわりは当分結構デスよ。剣が本当に錆びちゃいましたし!


「魔女ですかー。カステーラ帝国の2代目女王が魔女なんですよねー?」

「あれは、うちの子じゃないし、捕まえるわけにはいかんじゃろ」

「カワサキ連邦の王女が魔女だったとも聞く…運命の理から逃げ出して行方不明らしいが…くくっ」

「クリーム陛下が魔女ではないかと私は思っていますが」

「拙者は、ダモンの公爵令嬢が魔女だという噂を聞いたことがあります」


「魔女多過ぎじゃろ?」


 そうなのデス!14年前は魔女の当たり年と言われています。世界のあちこちで魔女が生まれました。もっとも、この世界では魔女はファンタジー動物なので、公にはされていません。噂がすべて事実とも限りません。特に、魔女信仰の国カワサキでは、200人以上の貴族が、うちの娘は魔女だとか、うちの奥様は魔女だとか言っています。こじらせてますねー?


「魔女はお金持ちの家の玄関前に捨てられるそうですねー?」


 そうなのです。生まれたての魔女は、人間の赤ちゃんの体に宿っているので自力では生きていけません。だから、拾って育ててくれそうな人のところに発生する、というのが定説となっています。傍目にはお金の持ちの家の前に捨てられているように見えます。

 ただのお金持ちではなく、子供のいない老夫婦や、50過ぎても女性に相手にされない国王といった、子供にちょろそうなやつが選ばれる傾向があります。

 うちのマスターが生まれた時は、6歳児の体で山の中に全裸で転がっていました。偶然通りかかったコルサ殿下が拾いました。凶暴な獣がうろうろする山の森の奥深く、山菜採りに訪れる人も居ませんし、猪を獲りに来る猟師も居ません。そんなところで生まれる女神と、お金持ちの家に捨てられる魔女、随分な差があるものですね。


「陛下、魔女狩りは金貨を見つけてからの方がよろしいのでは」


 このパーティ唯一の良心であるキナコ隊長のお言葉デス!私は、ダモンではアン隊長の部隊だったので、直接の上司ではないのですけど。彼女は、アン隊長のお姉さんなので、私の目上の存在であることは確かですし、ダモン近衛騎士隊の最強なので、いつか倒してやろうと秘かにお慕いしていおります。いつか殺す。


「えー、メンドイんじゃけどー。150枚も見つかるわけないじゃろ」

「それはー、おさるさんのー、おしりなのよー?」


 コルサ殿下は、とてもゆっくり発言される上に、表現が独特なので意味不明です。エイトビートのロックというよりも、フォービートのジャズ?いえ、雅楽デスね!日本でも古代の皇族は、ゆったり話されたそうです。王族なので、こんなんなのでしょうか?

 ダモン王国は、こんなのがトップだったのデス!宰相でもあったキナコ隊長が居なければ滅んでましたね。いやまあ、もう滅んでますけど。今は、神聖ダモン共和国になっています。マスターが滅ぼしたのデス!DEATH!


「その考え方は逆だと、殿下がほざいてます」


 キナコ隊長は、殿下の代理人として発言する権利があります。殿下の乳母でもあったので、両親の存在しない殿下にとっては、かあちゃんみたいなものデス。デスアーリーマザー。王女を雑に扱う唯一の存在でもあります。殿下を生んだのが隊長だという伝承もあります。まあ、嘘だと思いまけど。ダモンの近衛騎士は嘘を付くのも任務なので。


「どういうことじゃ?」

「1枚3000万円もする金貨です。何処かで使われていれば、必ず騒ぎになります」

「たしかにー。そんな噂は聞きませんねー?」


 ダモン金貨が1枚3000万円もするのは何故なのか?それは超絶希少性にあります。ダモン王立銀行に展示されている1枚きりしか世間にありません。他のダモン金貨はすべてマスターがお持ちです。


「ねこのてはかおをあらうのですー」

「くくっ…運命の理は、約束の地にある社にて、導かれるであろう…」

「それです。神社でおみくじをひきましょう!」


 今の会話そういう意味でした?このパーティでまともなのは拙者だけなのでは?


「そうじゃのう。ここから一番近い神社はどこじゃ?」

「山の麓のナマタ村ですね」

「ほいじゃあ、行くのじゃー。ヤキトリごーなのじゃー」

「へい、マスター!」


 マスターが神社でおみくじを引くと、この世の真理を引き当てます。国を3つ落とした時も、おみくじチートをしたとかしないとか。女神とはいえ人の身体なので、ゴッデスブローや死体蘇生などの特殊能力はありませんが、奇跡的な豪運なのデス。魔女信仰の連中は、ご都合主義、と呼んでいます。


小吉

おかね:もう沢山あるでしょ?

なかま:とっても愉快ね、お姉さんにも一匹でいいから分けてちょうだい

たび:行きたいならいけば?どうせ行くんでしょ?私ならそうするよっ

ラッキーアイテム:つぶあんのおはぎ


 見たことない結果が出ました。なんすかこれ、天界の誰かからのDMデスかー?


「つぶあん…カワサキか…くくっ、つぶつぶダークマターは、カワサキに行けばある…約束のアルケイディアは、カワサキ…」


「ほいじゃあ、カワサキにれっつごー!なのじゃ」


 運転手である拙者は、車体に魔法少女が描かれた痛車を発進させるのデス!デスアーリードライバーなのDEATH!!

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