モブは逸材を見つける〜アゼンタ〜
「いやいや。僕の目は君は強いとみた」
まだなりたての冒険者の言葉だし信じないだろうけど。
「そうか。そうかそうかそうか!ありがとう!自信が出てきたよ!ステイラン。ありがとう!これからたくさん特訓して君の役に立てるようにまでなるよ!」
うんうん僕の役に......うん?
「僕の役に?」
「はい。私はこれからはステイラン様のために冒険者をします。命の恩人でもありますから」
その日アゼンタを帰って行った後僕も採取の依頼の報告をギルドに報告しに行った後、自分の泊まっている学校の寮に向かうと
「下民貴族風情が随分と遅い帰宅だな」
「カ、カース君。ごめんな」
僕がカース君に謝っている時にカース君にカース君の取り巻き連中が僕をボコる。
「お前如き何もできない下民風情が!冒険者なんてするんじゃねぇぞ!どぶさらいとかしている方が似合ってんだよ!」
カース君は僕をボコりながら言う。取り巻きの人らがカース君にチクったのか。めんどくさいなほんと。
「お前はそこら辺のモブ、脇役みたいなもんなんだよ!そんなやつがソロで冒険者をしようなんてなめてんじゃねぇよ!ましてや冒険者になってお前がなんの活躍もできないくせに俺のところにいるやつってバレて俺の評価が下がったらどうすんだ!このドクズが!」
カース君が僕に怒鳴り散らしながらぼこり、満足したのか数分後、取り巻き連中と寮の中に帰っていく。なんでカース君の取り巻きの僕だけこんなめにあわなくちゃいけないんだ。ほんとわりにあわない。
僕はボコられた後、体の痛みに耐えながらゆっくり寮の部屋にまで戻り、その日以降しばらくは冒険者としての活動は休止し、学校が終わった後、放課後にアルバイトだけをしていた。
そんな学校生活を続けて半年、そろそろアルバイトだけでなくまた冒険者活動再開しようと思いギルドに向かうとギルドの中ですごいことが起きていた。
「アゼンタ。俺っちと依頼を受けねぇか?いやそれよりパーティを組まないか?」
見た目が世紀末ふうの頭が丸坊主の男がギルドにあるカウンターに座っている赤い髪が特徴の女に喋りかける。
ん?あの人見たことがあるような。でも俺が知ってるアゼンタって人は確か鎧を着ていた。今の装備は軽装備、それに腕にグローブだけをつけ、あとは身軽なかっこうだ。
赤い髪の女は話しかけた男をギルドの端っこに殴りとばす。
「何度も言わせないで。私はある人としかパーティは組まない。そのためにこの拳を磨いてきたんだから」