表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

リバーシ

作者: しろかえで

()()()()()は親友のカレシ


どうしても好きで……

カラダ投げ出したけれど次の日には手元に何も残らなかった。


()()()は……その当時勤めていた会社の上司。


勿論不倫で……


事もあろうに、奥さんの実家が()()()()()()()

何の知識も後ろ盾も無かった私は多額の借金を背負わされ風俗に沈められた。


オトコとの事なんか一生分を越えるくらい()()()()()()()体を壊し……ようやく這い上がって来たけど“浦島太郎”な私に居場所など無く、今日も安アパートの天井を見上げてる。


と、スマホがピコン!となった。


誰かは分かってる。

“足抜け”のセンパイのあずさちゃんだ!


『ミオちゃ! ハロッ! 今キレイしてる?』


『してない』


『お金ある?』


『ない……でもあずさの為なら()()()()()を何人か連れてく!』


『アハハ!アリガト!! でも違うの!バイトの斡旋!! 時給3000円だけどやらない?』


『やる!!』


『じゃあ、可愛くして来て!!』



--------------------------------------------------------------------


普通は時給1500円からのスタートらしいけど、あずさちゃんの口利きで時給3000円にしてもらって始めた『レンタル彼女』のバイト……


本当のところは……カラダを悪くして痩せてその後の安アパートでの『食っちゃ寝生活』のお陰で少し体重が戻っただけの私の見た目は意外にも男性ウケして(“性的サービス”は一切ナシなので服を脱ぐ必要も無く“肉割れ”も見られずに済んだ)リピーターもでき、生活もマシになって来た。


「もう少し体力が付いたら、何かキチンとしたバイトもやらなきゃ!」と考えていた矢先に私を指名してきたのがカレだった。


依頼内容は、カレの母親と一緒に食事をする事……何回かやった事のあるミッションで要領を心得ている私は特に気負うこと無く待ち合わせ場所に向かった。


待ち合わせ場所には15分前に着いたのだけれど、カレはもう来ている様だ。


『来ている様だ』と言うのは、カレが“どこにでも居る”普通の人で……本人かどうかこちらが迷ってしまったからだ。

幸いカレの方が気が付いてこちらへ駆け寄って来た。


「たかがデートくらいでそんなにがっつかなくてもいいのに」なんて思う位の勢いでいきなり銀行の封筒を突き出したものだから、私は正直ドン引きした。


「確かに『半金銀行振り込み半金手渡し』ですけど、こんな風に大っぴらにやられては困ります」と小声でクレームを入れたのにカレは思いっ切り頭を下げて来た。


「すみません。今日のデートはキャンセルさせてください。半金はお渡しします! では、私は先を急ぎますので……」


でも、こちらとしてはこんな顛末も困るので

「ちょっと待ってください!」とカレの裾を捉まえた。


「歩きながらで結構ですから、せめて少しでも事情を教えてください」


「ではタクシーを拾うまで」とカレが手を挙げるので


「急なお仕事ですか?」

と訊ねたら

「いえ!母が入院して……」と言うので


「そんな事なら一緒に行かなきゃダメでしょ!!」と強引にタクシーに乗り込んだ。



--------------------------------------------------------------------


病院の売店でちょうどボトルフラワーが置いてあったのでお見舞いの為に買い求めてカレの元に戻り、最終打ち合わせを行った。


カレ=北山和真 メーカーのセールスマン


私=三上桜子 居酒屋のホールスタッフ


設定:社会人サークルで知り合って意気投合し、結婚を前提にお付き合いしている。


“行きずり”みたいな関係なのに……あずさちゃんにさえ言っていない私の本名をカレに名乗ってしまった。



--------------------------------------------------------------------


「いいよ!私は大丈夫だから、お母様のところへ戻って!」


病院近くの洋食屋さんでカレと遅い夕食を取った後、こう言って

私は独りタクシーに乗り込んだ。


ドアが閉まり、ウィンカーを出してタクシーが走り出す。

思わず後ろを振り返ると、カレが笑顔を作って手を振ってくれていた。


こんなにも優しい親子に……

私は出会わなかった方が良かったのかもしれない。


和真くんとお母様の()()()()()()()の中には、もっと誠実で可愛らしい女の子が相応しいのに!!


でも、もうやり直しが効かない!!

だったらせめてもの罪滅ぼしがしたい!!


ハンカチをギュッと押し当て、涙を止めてから

私はスマホを取り出し、あずさちゃんに『レンタル彼女の退会についての相談』メッセを入れ、バイトアプリから居酒屋ホールのバイトにエントリーした。


『誠実』なんてカケラも無い私でごめんなさい。

でも!!

こんな私でも!!

“かりそめの婚約者”を一所懸命演じさせていただきます!!


和真くん!!

私がお母様のお見舞いに行く事を許してくれて本当に本当にありがとう!!


例えあなたが……私を利用するだけの目的でそう言ってくれたとしても、一向に構わない!!


だって私はお母様に恋してしまったから


そしてあなたを好きになってしまったから



だから、しばらくの間は


傍に居させてください。




                    おしまい


ネタに詰まって、色々と思い返していたら出て来たお話です。


またまた大慌てで書いたのですが


意味わかるかしら???(^^;)




ご感想、レビュー、ブクマ、ご評価、いいね 切に切にお待ちしています!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] ……わかる……ありがとう  (´;ω;`)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ