2話 運命の男
「こんなことってあんのか?」
過去にはっきり言って俺は、仕事優先で生きてきた。俺は、不器用な性格なためか、恋愛というものから遠ざけてきた。付き合う相手ができても心は、どこか冷めていて長続きすることが無かったのだ。
恋愛なんてものは、俺には不向きと思っていたし縁遠いものでどうでも良いものだと思っていた。
そんな俺が恋をした。
あの男の顔を一瞬見ただけだ。
「この胸の高鳴りに、胸の熱さ、初めての経験だぞ!!これが恋というものなのか!!うむ!!あの男と俺は運命的なものを感じるな。」
俺の直感が言っている。運命の出会いだと。
電車がゆっくりと停車し、扉が開いた。
「さあ、これからどうする?信義」
俺は自問自答した。
「決まってる。あの男が乗っている車両に俺も乗るんだ。まずは、あいつと乗り合わせよう。そっからだ。ここからだと、3両先の車両に俺の運命の男が乗っているのだろう。よしっ!!行動開始だ。」
俺は小走りで3両先まで向かった。
窓越しから座席に座っている運命の男、発見。
幸運なことにこの車両には、運命の男のみしか乗っていない・・・・・
彼の真向かいに座ってやろうではないか。
俺は、運命の男が乗っている車両に入る前に深呼吸した。彼を近くで目の当たりにして怯んでしまった自分がいた。ここで逃げては一生後悔すると自分に言い聞かせた。
「大丈夫だ、何とかなるさ。そうだ。今はあれこれ考えるのはよそう。」
そう思えたら気持ちも軽くなり、何なく運命の男が乗っている車両に乗ることができた。
俺が車両に入るなり驚くべきことが起きていた。
「運命の男、めっちゃ俺の顔見とるやないか!!
まるで、俺が来るのを持っていたかのように、目を大きく見開きながら、俺のことがガン見してる~!!!」
(第3話に続く)