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私たちの日常
紅に染まる赤い空。葉と葉の間をくぐるようにして差す夕日。冷たい風が身にしみる中、敵に立ち向かう九人の勇者がいた。
「よし、戦いますか!!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー私たちはごく普通の中学三年生。基本的に彩奈、愛花、菜美、優葉の四人で行動を共にしている。やんちゃな彩奈、礼儀正しい愛花、正義感が強い菜美、優しい優葉。それぞれ性格はまったく違うが、一つ共通点がある。それは異世界をこよなく愛しているということだ。例えば登校する時。私たちの話題に用いられたのは「もし異世界へ行けたら何をしたいか」。学校までの約二十分間はその話題で持ちきりだ。異世界でどんな場所に行きたいか、どんなことをしたいか、どんな武器を使いたいかなど、ひたすら妄想を膨らませている。だけど、そんな夢のような世界は大半の人には受け入れてもらえない。「中学生にもなって...」と。誰もが「異世界なんてあるわけない。」、「例えあったとしても行けるわけがない。」と思っていた。だが、そんな現実離れした世界へ行ける日が私たちにもやって来たのだ。