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いや、僕はロリじゃないから。どっちかと言うとレディだから byミーさん

 ビギニスート、噴水広場。


 街の名所である噴水の前に、『怠惰』の邪神である妊婦の裸婦像が不気味に佇んでいます。

 腹部から無限に湧き出る黒い水は化物にへと姿を変え、プレイヤー達に牙を剥いています。




 そんなRー18な光景の中、醜い虫人間の化物達に対し、ひたすら攻撃を繰り出していた少女がいました。




 まるで踊っている様に戦う彼女は、次々に拳を繰り出し、化物を一撃で吹き飛ばしていきます。


 その攻撃は恐ろしいほどの鋭さと共に、目を見張るほどの美しさがありました。

 ちらりと見える表情からは、幼めな見た目からは想像できないような、凛々しさを感じます……。



 いけー! すごいぞー! かっこいいぞー! こねこせんぱーい!



 私は本気で戦う子猫先輩に、そんな感じで声援を贈っていたのでした……。


 え、私ですか? 片手間に化物と邪魔なプレイヤーさんを殺してますよ?

 ちゃんと仕事はしております。


「ふっふーん! もっと褒めてくれても良いんだぜ? これくらいなら朝飯前さ! んっ、なぁー!」


 満足そうな顔をしながら、子猫先輩は虫人間を思いっきり殴り付けました。化物はまっすぐに吹き飛び、壁に激突してミンチに成り果てます。ははっ、強すぎぃー。


 いやぁ、美少女モードになって何か意味があるのかと思っていましたけど……なるほどです。

 人型になれば、子猫の姿と比べてかなりリーチが伸びています。逆にケモノモードはリーチが短い代わりに、攻撃を避けやすく、魔法で攻撃するのに向いているみたいです。


 どちらの姿でも隙が無いのは、予想外でした。


 ですが、これこそ! 最強のソールドアウトを統べる『魔王』さまなのですよぉ……!


 しかしながら、このままでは私が足を引っ張っているみたいで嫌ですね。いつもので殲滅してしまいましょう。


 子猫せんぱーい、爆発物使っても……おおっと。


 襲いかかって来る虫人間を確認した私は、黒籠手から伸びている大爪を操作し、脳天から潰すように切り殺しました。


 ん~……なんか、表示された邪神のレベルと比べてアナタ達ちょっと弱すぎません?


 切り殺した化物に疑問を抱き、私は今一度周囲を見渡します。


 そして、あることに気がつきました。


 私や他のプレイヤーに近寄って来る化物の数や質は、一定の法則に乗っ取ったものである、ということです。


 男性プレイヤーの所には数多めに弱い敵が、女性プレイヤーの所には数は少なめで少し強いのが。そして……。


 見た目の年齢が低いと思われるプレイヤーの元には、多めに強い敵が集まっていたのです。しかも、止めは刺さずにいたぶって楽しんでいる様に見えました。



 簡単にいうと、ロリっ子は化物に大人気です。見た目幼い子猫先輩もしかり。



 …………。


 はぁ……。私はため息を吐きました。


 ロリコンは死んでも治らない。


 そういうことなのですか……?


 私は人間の業というものを考えて、彼の中身が私と同じ人間だという事実を思いだし、少し悲しくなりました。


 私は予定を変更し、後方へとワイヤーを飛ばします。そして張力と二段ジャンプを利用し、空中へと飛び上がりました。


 広場を見下ろすと、数十人のプレイヤーが化物に立ち向かっていたようでしたが、その中で、まともに相手をできているのは数名しか居りません。……っち、仕方ないですね。


 苦戦している……もとい、良いようになぶられているプレイヤー達に対し、私は狙いを定めます。


 周囲に展開している大爪が、ガギガギと蠢き、それぞれの獲物に向かって射出されるのを待っていました。……ただいるだけの方は邪魔なだけです。消えなさいな。


 私はウジ虫達に集られている方々に対し、無情で攻撃を打ち出します。


 その攻撃に、HPが減っていた彼等は耐えることができず、ぐじゃりと潰れて絶命しまいました。プレイヤー達がいた場所には、私の大爪が深々と突き刺さっており、まるで墓標の様です。


 一連の出来事に驚いたのか、ウジ虫さん達は私を見上げて硬直していました。


 化物風情が……。


 ナニコイツ頭おかしい、みたいな雰囲気をだすんじゃありません……。


 私は突き刺さった大爪を変形させます。


 大爪は瞬時に形を変え、木が枝を伸ばすように刃を成長させました。そしてウジ虫さん達を巻き込み、串刺しにしていきます。


 死んでいない個体もいましたが、動きを封じることはできました。


 今のうちに本体を叩くべきです。……ちょうど子猫先輩も、集まって来たウジ虫さんを全て蹴散らしたみたいですしね!


 と、私としては子猫先輩の超火力で吹き飛ばして欲しかったのですが、再度ウジ虫さん達が液体から現れて、彼女を取り囲んでしまいます。


「っく……ポロラ! きみが遠隔で撃ち抜くんだ! その方が速い! 僕が囮になろう!」


 どうやら……それしかないみたいです。


 地面に着地した私は、子猫先輩のお願いに応えるべく、黒籠手を発動させて狙撃銃を作り出します。それを地面に座り込むようにして構えました。

 スコープを覗き、十字のサイトを液体が流れ出している邪神のお臍に合わせます。


 正確に攻撃をするのなら、大爪よりもこっちですよ。ええ。


 私は深く息を吐いた後、引き金をゆっくりと引きました。轟音と共に弾丸が打ち出され、銃口からは硝煙が立ち上ります。弾丸は真っ直ぐに裸婦像に飛びだしたはずでした。



 しかし。



 スコープから覗く裸婦像には、傷一つ付いてはいなかったのです。……そんな、嘘でしょう!? 100メートルも離れていませんよ!?  これ一応狙撃銃なんですけど!


 外すわけがありません!


 私は薬莢を排出し、もう一度弾丸を装填しました。……狙いは同じ、今度こそぶち抜いて差し上げます!


 先程よりも、若干、荒くはありますが正確に照準を合わせ、私は引き金を引きました。


 しかしながら、射出された弾丸は弾痕さえ残す事は無かったのです。……そんな、なんで……。




「おやぁ? そんなに腕に自信があったのかい? まるで自分の思った通りにいかなかったのが、信じられないみたいな顔をしているねぇ」




 聞き覚えがある声がすると、私の目の前に何かが飛んできました。それは空中で滞空して、ニタニタとした笑顔を浮かべていたのです。


 め……メレーナぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!


 私は叫びながら、狙撃銃から拳銃を作り上げ、目の前の妖精に発砲しました。よくもその顔を出せたものですねぇ!


「はっ、当たるわけがないだろうが! 今日の私は絶好調だっ! 何より気分が良いっ!」


 私の怒りを嘲笑う様に声を上げながら、メレーナは銃弾を避けました。よく見ると、その手にはなにやら細長い物が握られています。


 だっ、弾丸を……盗んだというのですか!?


「そうともさ! せっかく、ロリコン野郎が私の命令を聞いてくれたんだからねぇ! 少しはサービスするのが筋ってもんさ!」


 命令を……聞いた?


 その一言に、私は驚愕を隠すことができませんでした。

 あの鉄の意思をもったロリコンが、まともに働くとは思わなかったからです。


 な、何を言っているんですか? ワカバさんは私がロリにならないから帰ると言っていましたよ!?

 なのに貴女が彼をあんな姿にしたというのですか!?


 いったいどんな命令をしたのです! あの性癖が捻れたロリコンが素直に命令を聞くわけないでしょ! 興味ないって言っていたのに!


 他の人もそんな事言っていましたし、真面目に命令聞いてたのも最初に襲撃した人達ぐらいでしたが!?


 というか、みんな貴女の愚痴ばっかり言ってましたよ!


 貴女、どれだけ人望が無いんですか!


「ぅ……うっさいわぁ! 人が気にしていることをいちいち叫ぶんじゃないよ! ばかぁ!」


 私は途中から精神ダメージを与える方向性にシフトしました。すると、妖精さんは顔を真っ赤にして叫び返してきます。


 ふふっ……勝ちましたね。


 私はその様子を見て、ちょっと満足しました。


 妖精さんはよっぽど悔しかったのか、私を指差して必死に言い返します。


「わ、私にどれだけ人望が無かろうが関係ないねぇ! 最終的に命令を聞いてればいいんだよ! アンタを殺せれば良いんだ! それなら過程なんて……」


 いや、ですから。


 ワカバさんと私は戦っていませんって。

 ほら、見てくださいよ。あんな姿になってまで、ロリっ子にしか興味ないみたいですよ?


 私は冷静に広場の方を指差しました。


「……は? うそ……」


 メレーナは目を点にしながら、噴水広場に首を向けました。


 そこでは、最後のプレイヤーとなってしまった子猫先輩に対し、十体程のウジ虫さんが集まっています。


 しかし、戦っているのは半数ほどで、残りは低姿勢になり地面を這いながら、どうにかしてドレスのスカートの中を覗こうとしていました。ちなみに、子猫先輩は中にスパッツを履いてるらしいです。


 え、と、メレーナ……さん? あれを戦っているとカウントして、よろしいのですか?


 私がそう質問すると、メレーナさんはふらふらと地面におちてしまいました。まるで、糸の切れた人形のようです。


「んなわけないだろぉ……なんだよあれぇ……。え、アンタと戦って、あの姿になったわけじゃ……」


 ないです。メレーナさんが『強欲』のギフトであの姿にしたんじゃないんです? 私はてっきり、仲間を無理矢理暴走させていたものと思ったのですが……。


 じゃあ、あの人、誰と戦ってギフトを暴走させたんですか? なにか知りません?


「さぁ……? なんでだい……?」


 …………。


「…………」


 私達はお互いに見つめ合って、首を傾げました。どうやら、事態は私達の予想していたものとは大きく違っていたようです。


 ……と、とりあえず、子猫先輩を助けに行きます?


 沈黙に耐えかねてそう提案すると、メレーナさんはハッとした顔をしました。


「お、おう。そう思っていたところさ。うちのメンバーを利用したんだ、黙っちゃいれないよ。先ずはワカバを正気に戻して……」


 そんな時でした。


 広場の方から何かが砕け、飛び散る音が聞こえたのです。……今度は何が起こったんですか!?


 慌て目を向けると、広場で拳を突き上げて、空いた手を腰に当てているポーズをした子猫先輩がいたのでした。


 その周囲には化物のミンチが広がっており、足元には黒い液体が散らばっています。そして、あの裸婦像はどこにも見当たりません……。



 ま さ か



「邪神の一体が……なんぼのもんだーい!!」



 あー……私達、いらなかったみたいですね……。


 んにゃー!と、叫ぶ子猫先輩を見て、戦闘が終わったことを私達は悟ったのでした……。


 メレーナさんは何もかも、思った通りに行かなかった事に絶望したのか、その場に倒れ込み踞ってしまいます。私は同情しながら彼女の背中を擦ってあげました。



 子猫先輩、つよー……。

・ロリ

 見た目、中身、年齢……。何を基準にするかは個人による。つまりは心の問題だ。ロリだと思えばそれはロリなのだ。つまりこの子猫もロリなのである。汝、幼女を愛せよ。

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