1/1
プロローグ
――正義ってなんだ?
その言葉が脳内を駆け巡り、全身の痛みをも掻き消していく。
「もう、いいんだよ? 一緒に楽になろ?」
目の前に立っていた少女がゆっくりと両手を広げ、抱きしめてくる。その感覚に怯えながらも、どこか安心感を覚えた。
安堵からか全身から力が抜け切り、呼吸が落ち着いたのを確認すると少女は――
「これで、やっと一つになれるね」
瞬間、自分の身体の中心が何かに貫かれ、それは少女自身をも貫通していた。
少女は自分ごと引きずるように歩きだし、足元へと広がる巨大な穴。何かの高炉かと思うほどに大きく口を開けた"それ"は明らかに異様な輝きを放ち、少女と自分を引きずりこんだ。
「ずっと……一緒だよ?」