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人とは何か

ピー、ピー

彼の命のリズムが刻まれる

「おじいちゃん...」

ピー、ピーーーーーー

「残念ですが...」

「お父さん...お疲れ様です」


彼の命の終わりを告げた


わしもやっと...この人生を終えられるんじゃな...孫よ泣くでない...


トメよ...今いくからな



彼の名は吉田良男

貧しくもなく、華やかでもないごく一般的な家庭に命を受け両親から愛情をもらい育てられた。彼自身特に不満もあるわけではない生活を送れていたと思っている。

真っ暗な空間の中この後どこに行くのかなどはわからないが悪い気分はしない


ゴゴゴゴゴと地震のような音と同時に

真っ暗な中に一瞬光が見えた

その瞬間、空間があり先に道のあるような場所が見えた


「ここはどこじゃ...わしは死んだんじゃ...」


とポツリと呟くと後ろから声が聞こえた


「あなたもここにきたんですね!」


後ろから聞き覚えのある懐かしい声が聞こえた

彼は振り返る


「あぁ...」


言葉にならない言葉を発しながら彼女のことを抱きしめる


「まぁあなたったら変わらないんですから」


と彼女も満更ではない様子で笑う


「トメよ...ああ15年ぶりじゃの...」


彼は自分より先に旅立った最愛の妻を抱きしめながら余韻に浸る

かれこれ10分ほどだったからトメの方から

もう離してくださいと照れ臭そうに提案される

良男のほうも


「もうこれからもずっと一緒にいれるじゃろ」

と少し落ち着いた様子でいう



「さてここは一体どこじゃ?」


とトメに聞く

トメも


「私もよくわからないのですが、地震のような音が鳴った後気がついたらここにいたんですよ」


とトメは言う。自分と全く同じ出方であった。

10分ぐらい周りを見渡したが暗くてよく見えない。

かろうじで先が見える道がある。


「とりあえずここに居てもどうにかなる訳でもないし先に進んでみようか」


と彼は言った。トメの方も


「そうですね」


と了承し先に進むことになった


良男はトメの手を取り


「すこしぬるぬるするから足下気をつけて歩くじゃぞ」


と良男が一声かけると同時に彼が転びそうになる。

トメは彼の手を取り、転びそうな彼の体を起こしてあげる


「もうあなたったらそそっかしいのは変わらないんですね!」


と生前と変わらない彼を見て笑う


二人は道を進む、途中曲り角やすこし狭くなるところもあったが二人で乗り越えていった


「むむ、しかし先がなかなか見えないな」

「そうですねぇ...」


結構な時間を歩くが、先は見えない

身体は生前なら動くのもやっとだったが今は全くと言って良いほどの疲れを感じない、逆に回復してっている節もある


「もう少し歩いたら何か見えるかもしれないし、もうちょっと頑張ろうか」


と良男は言う


「ええあなたが言うなら」


とトメはそれに答える


何か頭の中に使命感のような塊がありそこから先へ進めと言う声が聞こえてくるようだった



またしばらく歩くと大きくひらけている場所にでた


「ふぅ、しかし一体ここはどこなんだ...」


と良男は言いあたりを見渡すと近くに大きな水たまりがあった


「おーい、トメー!!ここに水があるぞー!」


とトメを呼び出す。

しかしきれいな水だ、一口飲んでみた


「うまい!トメも早く飲んでみろ」


とトメをせかしながら水を差し出す


「これは...とても美味しいですね!」


とトメも感激で目を輝かせながら言う。

良男は満面の笑みのままふと水面をみた


「え...若返ってる...?」

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