456. 「ねぇ先輩、『かわいい』だけじゃダメですか?」 ☆
10
[作者]
飴月 様
[あらすじ]
美少女すぎるが故に友達のいない女子高生、加賀谷桃は、ある日屋上で先輩に出会い、その日から一緒にお弁当を食べるようになる。
「……で、先輩。今日はお姉ちゃんと何回話せたんでしたっけ?」
「まだ今日は続くから明言はできないだろ!」
「……0回って正直に言えばいいのに」
「目は! 目は3回あってるんだよ!!」
「先輩の哀れな妄想か、暑さで幻覚でも見たか、もしくは気のせいじゃないですか?」
「どれだけ俺を疑ってるんだよ! 気のせいじゃねーよ! 絶対俺の方見てたもん!!」
「はいはい、そうだといいですねー?」
中庭にいる姉のことを見つめている先輩と、昼休みにくだらない話をしながら過ごす。それだけでよかった。ただ、それだけでよかったのに。
いつから私達の関係は、おかしくなってしまったのだろう。
『ねぇ、先輩。私のそばにいてくれないなら、誰とも幸せにならないで』
───この感情はいつか、私を傷つける。
私の恋はきっと、少女漫画みたいに綺麗じゃない。苦しくて恋しくて痛くて、奪ってでも欲しいの。先輩のことを、誰にも渡したくない。
先輩、私のために泣いてください。ずっと今日のことを考えて煩うほど、私を想ってください。
圧倒的に『かわいい』が故にこじらせてしまった『小悪魔一途な後輩美少女』が、姉のことが好きな優しくて鈍感な先輩と屋上で出会って、幸せになるまでの話です。
[感想]
久しぶりの短編の紹介ですが、珍しく女主人公もの。それだけ良かったといえる作品ですし、私と恋愛作品の好みが近い人は読んで損はないと思います。
自分が可愛いことをコンプレックスに持つひねくれた美少女が姉を好きな先輩と出会って自分の気持ちに目を逸らしながら恋を応援するお話です。割と終盤まではほろ苦さもある内容となっていますが、あらすじにもある通りヒロインが幸せになるお話なので安心してください。
いやーもうね、とにかくヒロインがめんどくさ可愛いんです。こうヒロインの自分の気持ちから目を背けて、でも背けきれなくて傷ついて、それでも先輩のことが好きなんだなあというのが凄く伝わってきて最高でした。こういうめんどくさ可愛いヒロイン大好き。
あと途中ヒロインが勢いで宣言するところとかめっちゃくちゃ良かったですし、2人の気持ちを考えると途中が辛いんですけどだからこそ最後のところで感動し過ぎて幸せになれて本当に良かったなあとなります。
捻くれた少女が拗らせた恋の物語、そんな物語を読みたい人は是非一度読んでみてください。
[評価]
総合評価:9
恋愛:3
ハーレム:0
無双:0
[その他]
短編
文字数:2万7千文字
作品URL: https://ncode.syosetu.com/n1065gr/