384. 複雑系彼女のゲーム ☆
[作者]
のらふくろう 様
[あらすじ]
九ヶ谷大悟は父親の失踪で科学にコンプレックスを抱える文系高校生。彼は「ゲームの研究をしている」という父の言葉を追うように将来のゲーム制作者を目指すが、己の発想力をゲームの枠に収めることに苦戦していた。
春日春香は優等生を演じつつ、世界は物理法則の計算結果にすぎないという冷たい考えを抱えていた。若き天才女性科学者さららに師事することになった彼女は、その完璧な外面にほころびを生じ始めていた。
さららの学説「オリヅル」は奇しくも大悟の父のゲーム理論を万物理論に発展させたもので、物理法則の局所的な改変という荒唐無稽なものだった。
さららの所属する大学研究機関で謎の爆発事故が生じた。通常の物理学では説明できない爆発のエネルギー源の背後には、大悟の父の理論が見え隠れする。二人はさららに事故についての仮説を立てるという課題を出される。
質量のエネルギー化など難解な物理理論を理解する春香に対し、大悟は持ち前の想像力で物理学とゲームの世界のイメージを重ねていく。
春香「これは九ヶ谷君に理解できるレベルの話じゃないの」
大悟「それっぽいシナリオをでっちあげればいいんだろ」
ゲームの発想で事故のシナリオを紡ぎだし、謎の核心に大胆に切り込む大悟。それにあきれながら彼の発想をシミュレーションする春香。二人は対立と協力を繰り返しながら真相に迫っていく。
[感想]
理系的な内容の強いラブコメですが、科学が好きな人にもそうじゃない人にも読めるようになっていてとても面白かったです。
物語をざっくりとまとめると、理系女子のヒロインと文系男子の主人公という正反対な2人がお互いに足りないものを補いながら科学の事件を解決していくという物語となっております。最初はちょっとした科学の事件から進展していき、後に大規模な事件へと繋がっていくところが読んでいてドキドキして良かったです。
理系の人には是非読んでみてほしいSFラブコメ。理系よりの私でも結構難しいなと思う科学知識を使った説明とかが多いんですけど、噛み砕いて説明されているのでちゃんと読めば9割がた理解できると思います。ただ苦手な人の気持ちもわかりますし、一度科学部分を流し読みして最後まで読んでみましたが、ラブコメとして十分読める作品だと思います。
そしてヒロインがめちゃくちゃ可愛い。ヒロインは理系女子で合理的な子なんですけど、そんな子が非合理的な主人公の発想に助けられたり拗ねたり感情豊かになっていくのがもう最高でした。毎回主人公に良いところを持ってかれて拗ねるところが微妙にポンコツっぽさがあってほんと可愛いんです 笑
科学が分からなくても想像によって事件を読み解く、そんな物語を読みたい人は是非一度読んでみてください。
[評価]
総合評価:8
恋愛:4
ハーレム:1
無双:0
[その他]
完結済み作品
文字数:50万文字
読了時間:15時間程度
作品URL: https://ncode.syosetu.com/n6914eh/
この作者さん、前作の予言の経済学でもそうなんですが、科学と物語を組み合わせるのがほんとに上手くてこの分野においてなろうでトップレベルなんじゃないかなあと密かに思っています 笑
中編の紹介!
【作品タイトル】
『引きこもりだけど、外にゾンビがうろついている』
【あらすじ】
奥村大智、十七歳、引きこもり。
丸一日寝ていただけなのに世界はゾンビパニックで崩壊してる模様。
ゾンビ映画ですら尻尾を巻いて逃げ出すレベルの感染力。
ひょっとしたらアイアムレジェンド。
自室には当分の間は持ちそうな食料。
まだ通っている電気水道ガスネット回線。
なら俺の生活に変化なし。
いやぁ、ひきこもりっていいですねぇ。
【こんな作品だよという感想】
割とオーソドックスなゾンビ物です。主人公がなにか解決しようと動くでもなく、流されるままに荒廃していく日常で引きこもりながらも生きていくといった物語。もし本当にゾンビ的なバイオハザードが起こった場合、大多数の人はパニクって死んでしまうか主人公みたいな感じになるのかなあと思います。
そのため終わり方に関しても普通というか想像しやすい終わり方でした。本当にバイオハザードが起きた場合ってハッピーエンドで終わる方法があんまりイメージしにくい気がします 笑
スプラッター的な要素は比較的少なめなので苦手な人も大丈夫かとは思います 笑
ちなみに、同じ世界観で別の主人公がいる作品などもありますので、こちらが気に入ったりゾンビ物が好きという方は良かったら読んでみてください!
【作品リンク】
https://ncode.syosetu.com/n7763dd/
そして今回の紹介で中編のストックが切れたので、また今度は短編の紹介に移ります!
だいたい3、4ヶ月おきの交代となりましたが、徐々に間隔が短くなっていっていずれ紹介する作品もなくなりそうな気がします 笑
【次回予告】
上京したもののデビューすらできず、灰色な日々を過ごしていた作家志望の青年が出会ったのは天使だった。
【追記】
次回作のタイトルがわかった場合、ネタバレ防止のために感想欄で直接タイトルを回答するのではなく、読んだ人になら伝わるなって感じで軽くボカしてくださると嬉しいです。