253.サムヒア・ノーヒア ☆
[作者]
ちょろんぞ/小野崎まち 様
[あらすじ]
人はどうして思うままに生きられないのだろう。
人はどうして理想的に生きてゆくことができないのだろう。
――人は、どうして、望むままに変われないのだろう。
天より並外れた絵を描く才能を与えられた少女、上木田零子。
だがその代償だとでもいうかのように、彼女は弱かった。
その身体が、ではない。心が、圧倒的に弱かった。
――弱すぎたのだ。
これはそんな彼女と幼馴染たる少年、沖澄栄一郎の、一夏の物語である。
[感想]
この作品、序盤はちょっとめんどい感じの恋愛ものかなあという気がしていたのですけど、読んでいくとどんどんその考えがズレていき、深みにハマって終盤の展開で完璧に惹き込まれました。
作品の内容をどう説明して良いのか迷うのですけど、確固たる自分を持った主人公と自分を受け入れられない少女の葛藤の物語...でしょうか。短い作品ですし、オチに絡む部分を避けるとなかなか説明しづらい作品です。なろうとかラノベというより、文芸作品という言葉が相応しいので、そういうのが好きだなあという人は合うと思います。
10万文字にも満たないくらいなので、すぐ読めると思いますし、多くの人に読んで欲しいのですが、全体的に結構暗めのお話になっており苦手だなあという人もいそうです。ただ、シリアスがちょっと苦手な私でも惚れ込んでしまうくらいには良い作品だと言えます。
最後のあの絵、もし運命が違っていたら、救われていたのか、それとも変わらなかったのか、答えのでない問いに読んだあとしばらく物思いにふけっていました。
まだ私は持ってないのですけど、書籍化しているみたいなのでいずれ買いたい作品の1つなのですよねえ。
正反対な絵を描く2人の葛藤を描いた、そんな物語を読みたい人は是非一度読んでみてください。
[評価]
総合評価:8
恋愛:2
ハーレム:0
無双:0
[その他]
書籍化作品
完結済み作品
文字数:10万文字
読了時間:2時間程度
作品URL:https://ncode.syosetu.com/n8676bo/
【次回予告】
何度繰り返しても必ず助け出す。
1年という年月を果てしないほど繰り返す少年は化け物を倒すため、牙を磨き続ける。
それが終わりの始まりとは知らず
【追記】
次回作のタイトルがわかった場合、ネタバレ防止のために感想欄で直接タイトルを回答するのではなく、読んだ人になら伝わるなって感じで軽くボカしてくださると嬉しいです




