201.転生者イシュルと神の魔法具
[作者]
青のあらた 様
[あらすじ]
勤め先の急な倒産で、いきなり路頭に迷うことになった耕一。妻子を抱え、年齢も四十手前という厳しい状況で、なんとか早めに転職先を見つけたその喜びもつかの間、地下鉄で喧嘩に巻き込まれエスカレーターを頭から落下、あっけなく死んでしまう。どれだけ時が経ったのか、気づくと耕一は昔のヨーロッパを彷彿とさせる見知らぬ地に、前世の記憶を持って転生していた。
イシュルと名づけられた、田舎の農家に生まれた赤ん坊として。
生前に突然、家族と死に別れた辛い想いを胸に、自分の生まれた世界を知ろうとし、将来を模索するイシュル。だが、ある出来事をきっかけに強力な魔法具の力を手にしたことで、やがて果てのない戦いと冒険の日々へその身を投ずることになるのだった。
[感想]
なろうのテンプレ要素を入れつつも細かい描写や設定に力を入れたかなり濃密な内容の作品となっております。
大まかな流れとしては、転生し、主人公が手に入れたとある魔法具のせいで神々の意志に翻弄されていくお話です。割とシリアス展開があるときは重めですし胸糞的なのもあります。ただ序盤のシリアス要素が一番重めかなあという気がしますので、そこが大丈夫なら問題無いと思います。
この作品、神というのがかなり重要な存在となっています。よくある転生するときにちょこっと出てくるようなお気楽なのではなく、深く関わってきますし、なぜ主人公を転生させたのかや何をさせたいのかなど、未だ作品の根底に関わる事実はほとんどわかっていません。
最初にも言いましたが、とにかく設定や描写が細かく描かれているので情報量が凄いです。しかし、その分200万文字という超長編ですが話の展開がスローペースです。
また、登場人物たちもかなり多いですし、それほど重要ではないキャラもよく再登場したりするので、名前を覚えるのが大変かなあと思いました。特に序盤の主人公の村で似た名前の人が結構いますし、最初に家族や親戚関係が一気に説明されるので、読んでいて楽しかったですけど頭の中で整理するのに必死だった記憶があります。今でもときどき定期的に読み返さないとこの人だれだっけとなりますしね 笑
主人公はほぼ最強です。しかし、最終目的が大きいので更に強くなると思われます。あと、手に入れた魔法具だけではなくそもそもリアルチートです。具体的には、軍事、政治などいろいろな知識を幅広くもっていますし、頭の回転が異様に早いです。途中まで読んでいてなんとなく違和感があったのですけど、いきなり倒産するような会社に勤めていたところや、メンタルが弱いので自己否定をしやすいことから主人公を凡人程度に思っていたため、無意識におかしいと感じていたみたいです。なのでこれから読む人は最初から主人公がいろいろ廃スペックなことを前提としてみると読みやすいと思います。
そして、そのことから主人公はヒロインたちから褒められたり尊敬されたりすることが多々あります。あんまり頻度は多くないですし過剰というほどではないのですが、そういうのが苦手な人はちょっときついかもです。
なろうらしさという個性を残しつつ、かなりしっかりと書かれた作品を読みたい人にはたまらない良作だと思います。
多分このペースだと完結まであと最低でも3、4年は余裕でかかりそうですが、エタの心配はしていませんし気長にお付き合いをさせていただくつもりです 笑
神々に翻弄されながらも己の大切なものを守ると誓った男、そんな物語を読みたい人は是非一度読んでみてください。
[評価]
総合評価:8
恋愛:4
ハーレム:6
無双:7
シリアス:7
[その他]
更新頻度:月2程度
文字数:220万文字
読了時間:70時間程度
作品URL:https://ncode.syosetu.com/n2346bz/