98話 混乱する世界
憲兵は立ち去りシオンは不安そうな目で俺を見つめる。
「大丈夫だよ。俺達アビリストは自由人という名前に変わるという話になるだけさ…これからは冒険者という言葉が無くなるのさ」
「ど、どうして…そんな事が分かるのですか…」
「秘密❤」人差し指を自分の口に添え小さく微笑むと、シオンは少しだけ顔を赤くさせた。
「後はガーディアンシステムの説明だろう…シオン、二人に出かける準備をさせてくれるか?」
「は、はい!」
俺の指示に従い二人を呼びに行き、入口の方で何が起きているのかを確認しに行くことにした。
入口の方は人だかりで中心のほうがあまり良く見えない。だが、不思議な雰囲気を持つ集団が人だかりの中心にいるのがわかる。あれは一体なんだろか。
「我々はアルベスタ騎士団である。我が王からの話を貴様らに伝えに来た!」
なるほど、なるほどね…。そんな風に思いながら俺達は話を聞いていると、町中はパニック状態になっていた。王国側はコモマンのみしか守ることしないと宣言して町から立ち去っていくこの様子だと、町は廃れ、城は生活の基盤を失うのではないかと思われる。多分、このあと色々と問題が起き、そこらへんは変わっていくのだろうと思われる。
「やることがえげつないね〜…」
アルベスタ騎士団は、要件を伝えると何処かへと立ち去って行くと、すると次はレグリダの使者がやってくる。
使者は神々のお告げを全員に伝えると、ますます町は混乱を見せるのであった。
「なるほどねぇ…」
俺は腕を組みながら立ち去っていく使者を見つめ、これから世界がどのようになっていくのだろうかと想像をしていた。
すると、俺の服が左右から引っ張られる。何事だと思い見てみると、ミリーとシオンが不安そうにして俺の後ろに隠れていたのだった。二人のステータスは見ることが出来るので、コモマンかアビリストか分かる。二人はアビリストとなっているため、特殊の人間というわけであるが、この先どうなるのか分からないので怖いのだろう。
俺達は家に帰り、何もせず数日を過ごす。毎日騎士団はやってきて状況は刻々と変わっていく。
城はアビリストを寄せ付けないため、俺はノートにお城などが魔物に襲われたとき、ガーディアン機能が発動するように書くと、女の子からその理由を聞かれ、アビリストを受け付けないからだと書き記す。
すると返事はすぐに帰っては来ず、何か思考しているのかと思うのだった。
翌日になり、状況が一変する。どこかの国が魔物によって滅ぼされたとの話だった。ノートには『これが答えだ』と滅ぼした国の名前が20程記載されていた。
『協力を求めれば解決するのなら、協力すれば良い。しないのなら…滅べば良い…』
普段の文字とは異なり、怒りにも似た字で書き殴られていた。
この一件でお城側も対応を変えざるを得ない。アビリストと共存を求める動きを見せ始めるのだが、それは金で雇う傭兵のような扱い。全ての基準はコモマンが上の立場で扱うような形を取るようにしていた。
それに対応するのがアビリスト。コモマンが支配する町から離れるものが増えるのだった。理由は、コマモンが上下関係を求めてくる事が気に入らないからである。そのためコマモン側が作った町を離れ、アビリストが独立した町を作るという動きが出始める。俺はこの事をノートに書き記すと、あの子は『面白いなぁ。我々も一枚何かするか…』と、書き込みがあった。
何をするのかと俺は数日間見守ると、為替が町を作り始めたという噂話が流れ始める。コモマンやアビリストはその町に移ると言うものが増えて、今まであった町やギルドの作った町の過疎化が進んでいく。
俺達の住むサキカワの町も、人がどんどんいなくなり、城の管理者が撤退するという状態にまでなったのだ。
「タイチ様、我々はどうするのですか?」
「もうちょっと様子を見る。多分、この町も為替の連中が何かアクションを起こすんじゃないか?多分、ガルボがすべての世界に変わる可能性があるのと、冒険者同士の戦いなどが行なわれるだろうね。だから三人はもっと銃などの武器を使えるように練習しなきゃだめだよ」
そう言うと、三人は真剣な目で頷くのであった。
俺が言ったように数日後に為替が町を取り仕切り始め、全てがガルボで購入するようになる。為替には色んな依頼があり、コモマンやアビリスト達はその依頼をこなしてガルボを稼いだりしていた。再び町に活気が戻り始めたのだった。土地に関しても為替は関与している。それは神々が出した使いなのだから当たり前である…が、そうでない部分がある。それは領土という話だ。国が保有している土地に関しては為替がその土地を支配している国に対してガルボを支払っており、国はガルボを手に入れる事ができるのだ。しかし、その土地には魔物がいたり、洞窟や遺跡などがあったりもする。
洞窟や遺跡などの宝箱などに関しては為替が関与しているようだが、あの子はその辺りを教えてはくれない。あのノートはそういったものに使うものでは無いということであろう。
新しい魔物と2つの種族があると分かり一年がすぎる頃には世界は落ち着きを取り戻したかの様に思えたのだった。




