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召喚チート能力者の異世界ライフ  作者: マルチなロビー
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97話 排除と共存

 俺が目を覚まし、朝食を作る。食事の間、皆は黙っている。これはいつもの事だが、雰囲気が何かおかしい。


 「情報収集が必要になるのか?」


 「はい…」


 小さい声でミリーが答える。


 俺は袋の中に手を入れると、彼女がくれたノートが入っていた。やはり夢ではないようだ。ミリーは何かを知っているようだが、信用できないといった様子で答えようとはしてくれなかった。


 仕方なく俺達は外に出ると、町中がざわめいている感じがする。そして、とある看板に気が付き、俺達は立ち止まる。


 『世界には二種類のタイプがいることが解明された。見分け方は目を瞑れば分かる』


 と、書かれており、俺は目を瞑る。すると、頭の中にスペシャリストという文字が浮かび上がったが、すぐに消えた。


 『一般の人間はコモマン、変わった人間はアビリストと表記される』


 すでに俺はどちらでもないのだが…。


 「タ、タイチ様は…コモマンでしたか? それとも…アビリスト…」


 ミリーが恐る恐る聞いてくるこれは一度だけしか現れず、頭に記憶されるようになっているようだった。


 「三人はどうだったんだ? コモマンか? それともアビリストだったのか?」


 「恐れながら我々はアビリストでございました…後はタイチ様だけでございます…」


 少し緊張気味でシオンが答える。俺はどう答えようか迷ったのだが、ここで本当の事を言うべきでは無いだろうと思い、アビリストと答えることにしたのだった。すると、三人はホッとした顔をして俺を見つめる。


 「これで主人だけがコモマンだったらどうしようかと迷ってしまい…」


 ミリーが嬉しそうに言う。本当はスペシャリストなのだけれどね。


 「しかし…こうなってしまうと格差が生まれてくるな…」


 「格差?」


 「コモマンとアビリスト…何が違うのか…そもそも能力が違うことになるんだ。だから、冒険者のルールも変わる事になるだろうね…」


 俺達は家に帰り、今後について考えることにするというか、状況を把握するのに時間がかかるだろうと言うことで、暫くは落ち着くまで家でのんびりする事にする。


 部屋に戻ってノートを取り出してすぐにペンを召喚して神様にお願い事を書くことにした。


 そういえば、リセットの件だが、カベルネの能力は全てリセットさせてもらった。一度消えていたステータスだったが、再び見えるようになっていたからだ。


 そこで理解できたのは、ステータスにもどちらかのタイプか表記されていた。カベルネはコモマンだったし、リタもコモマンだった。


 もらったノートに俺は書く。冒険者とか、そういうのはアビリストだけにしてくれと。その他の人は魔物と戦うのが厳しいわけだから商人の能力を伸ばしたりして欲しいと書いた。すると、簡潔な答えが浮かび上がってくる。『分かった。冒険者に登録できるのはアビリストだけにする。そして入場料を廃止してコモマンは王様のために…アビリストは自由人にする』と、浮かび上がってくる。


 ガーディアンシステムは採用され、町の中ではアビリスト同士での争いは禁止されることになった。争いが起きると、どこからかガーディアンが現れ制裁を与える仕組みになるそうだ。町の外では勝手にしてくれという訳である。争いの判断はガーディアンが決めるらしい。


 町には管理局事務所が設営された。今まで冒険者になっていたコモマンは登録書を返却する義務が発生したのだった。


 ノートにはアビリストとコモマンの作り方が書かれていた。アビリスト同士でコドモを作ると、アビリストが生まれ、コモマンとアビリストが子供を作ると、どちらかに自動で決められるそうだ。コモマンどうしだと、コモマンしかできないと。ここで一つ新たな人種が現れた。多分これは神々の悪戯だ。王族同士で子供を作ると、王族というのができるのだ(王族にはコモマンしかなれない)。アビリストと王族が子供を作ると、チェンジドアビリストか王族というのができる仕組みになるそうだ。コモマンと王族は、王族かコモマンのどちらかになるらしい。他は調整中と書かれている。他とはなんのことを差しているのかが分からない。


 チェンジドアビリストは特殊な力を持ったアビリストになれるらしいが、俺みたいなスペシャリストにはなれないらしい。俺のは特殊過ぎるため、世界で一つだけのタイプだと記載されていた。


 最後に書かれていた言葉には疑問も何も浮かばない『コモマンも魔法は覚えることが可能だが、アビリストのように強力な魔法は使用できない』と…。


 別にミリーやシオン、アズロットがコモマンでも俺は変わらない生活を送るだろう。だが、世界はそういうふうにはならなかった。コモマンはアビリストを恐れるかのように町から追い出す動きを始める。コモマンにとって、アビリストは怖い存在となっているからだ。サキカワの町でも同じ様に憲兵らしき人間が、一軒一軒訪問を始めているらしい。


 「タ、タイチ様…」


 怯えるミリー達。玄関の扉が強くノックされ、シオンが対応するために玄関へと向かう。一応、俺も一緒に向かい、話を聞くことにした。


 「確認をする…お前達は何者だ!」


 憲兵の数は五人。殺ろうと思えば一瞬であるが、ガーディアンシステムを導入したためどこでガーディアンが現れるか分からない。


 「俺達は冒険者だけど?」


 戸惑うシオンに変わり、俺が答える。シオンは体を震わせ怯えているように感じるので、俺はシオンを抱き寄せ、守るつもりでいた。ガーディアンシステムがどのくらいなのか確認しておくべきだったかもしれない。


 「コモマンかアビリストのどちらかと聞いているんだ!」


 「アビリストだけど? 問題あるの?」


 「ああ、大アリだ! アビリストは町から出ていってもらう!」


 「理由は? 今までそんなこと言わなかったじゃん」


 「アビリストは危険なんだ!」


 「誰が決めたのさ? 誰がそう言ったのさ?」


 「そ、それは…しかし! 危険には代わりはない!」


 「また…あの化け物が襲ってきてもコモマンで勝てると思っているのか?」


 普通の高校生だった俺にこんな考えができるはずは無い。多分、この指輪が俺の知識を上げているのだろう。


 憲兵は言葉に詰まる。アビリストを追い出せばこの間襲ってきた魔物は、今のコモマンでは太刀打ちができないのだ。町は共存という道を選ばないといけないという答えを導き出せるように話を持っていくしかない。憲兵が戸惑っていると、町の入り口が騒がしくなる。何が起きたのかわからないが、憲兵は俺達に構っている余裕は無くなったことは確かなのだ。


 「あ、後で話をつけに来るからな!」


 憲兵はそう言い残して俺の元を立ち去って行くのだった。

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