93話 初めて持つ新しい武器
ついに私も冒険者に登録させてもらった。まさか、奴隷の私が冒険者になれるだなんて、思いもしなかった。しかも、私は目が悪く、一度は人生を諦めたのだが、今は目が見えるようになった。
私のご主人様は凄い御方だった。何でも出せるし、凄い魔法も使える。
何でも出せるというのは、言い過ぎかも知れないと、誰もが思っているかもしれないけど、本当に何でも出す。武器だって防具だって……。
しかも、物凄い馬も出したりしてる。
ご主人様は、私とあまり身長が変わらないが、優しい目をしている。
しかも、頭も良いらしく、家を改造してしまった。
それも、もの凄い家だ。ボタン一つで何でもできてしまう。灯りだって灯してしまう。ロウソクが必要ないなんて考えられない! だけど、その常識を覆してしまったのだ…。
タイチ様は私のご主人様。
いつも頭を撫でてくれる。
それは優しく温かい。
それは癖になる暖かさである。
私達は初めて戦闘訓練という物をやる事になった。
ご主人様に剣を振る事が出来ないため、アズロット様が武器の使い方を教えてくれる。
私とシオンはそれを見よう見まねで試していく。
「腰を入れて剣を振れ! 腰を引くな! ビビるんじゃない!」
「「はい!!」」
私達はアズロット様が言う様に剣を素振りして稽古を行うのだが、タイチ様は腕を組んで私達を見つめている。
ちょっと恥ずかしい。
「アズロット、俺と手合わせをしてみよう」
「タイチと? 私が勝っても知らないよ?」
「いや、多分、俺が勝つだろうな」
自信たっぷりのタイチ様。刃を落としている剣を二人は持ち、お互いを斬り合う。アズロット様が剣を振りタイチ様は防戦一方に見えるのだが、何故か地面に倒れているのはアズロット様だった。
「やはり剣技の差が激しいな。ちょっと剣を合わせるだけでアズロットの動きが手に取るようにわかる。こりゃ楽勝だな」
「も、もう一回!!」
私達そっちのけで二人は剣を合わせて戦いをしていたが、全てタイチ様が勝利を収めるのであった。私のご主人様は剣の腕も一流だった。この御主人様はどこか他の冒険者と異なって見える。
「剣の練習はこれで終わりだな、次の練習に移ろう」
タイチ様は弓の練習場へと向かう。私達に弓矢を練習させたいのだろうか、それは分からないのだが、私達は的の傍に立ち寄ると、タイチ様は小さな物を私達に見せてくれた。
「これは銃と言いう武器だ」
「銃……で、ございますか……」
「こうやって使う」
そう言ってタイチ様は離れた的に向かって銃という武器を使って的を射抜く。矢ではなく何かが飛んで行ったらしく何度も真ん中を射抜いて行く。す、凄い速さで何かが飛んで的を射抜いているんだというのがわかるのだが、早すぎて何が飛び出しているのか分からなかった。
「じゃあ、三人とも真ん中を射抜くまでずっと練習し続けて」
「え? わ、私も?」
アズロット様も疑問に思ったらしく質問を返す。
「先ずは確実に倒せる方法から練習しよう。それから次の武器に移行するんだ。剣は魔物相手でも何とかなるが、この練習はなんともならないから。しかも、相手は動いている物に対して撃ち込むんだ。絶対に致命傷を負わせ、確実に仕留める。分かったか? アズロット」
「う、うん……」
タイチ様の指導により私達は使い方と操作のやり方を何度かレクチャーを受けるのであった。初めて扱う銃という武器は手の平よりも少し大きく。重量は剣よりも少ない。本当にこれで人や魔物なんかを倒せるのであろうか。
言われた通りに武器を構えて私は射撃をすると、その反動は思ったよりも大きく、音も大きく出ているように感じた。だが、狙った場所に当たっていないようで人型の人形には全く傷の一つも付いていない。私達は当たるまでの間、何時間も…何時間も練習を重ねていく。
暫くしてやっと的を掠った様で、少しだけ的が動いたかのように感じた。だが、それは私が撃ったものではなく、シオンが撃ったもの。シオンはタイチ様に頭を撫でられ、私はムッとしながら冷静に沢山の事を考えた。
先ずは本当に狙った場所に飛ばせるようにしているか。これはタイチ様に確認をしてみよう。次に撃ち方である。ただ闇雲に撃つのではなく、狙いを定めるようにしっかりとした体勢で仕留めないといけない気がする。三つ目に冷静さ…ただ闇雲に打つのではなく、あそこに当てるためにどうやって当てるかを考えながら撃たないといけない。
「た、タイチ様……もう一度ゆっくり撃って見てもらっても宜しいですか?」
「構わないよ」
そう言って、タイチ様は銃を構えてピントを合わせるかのごとく簡単にど真ん中を打ち抜いた。体勢は適当であったが、芯がしっかりしているように感じる。やはり体勢にも問題があったのだろう。そう思いながら私は再び射撃の練習をするのであった。
★★★★★★
三人のステータスを見ていると、二人に比べアズロットの方が剣技が高く実戦向きであろう。だが、それは剣での話であって、これからは銃社会。一撃必中が全てである。しかも離れた敵を一撃で倒せるのなら、それに越したことは無いし、先ずは自信にも繋がる事になる。
そう思いながら俺は三人のステータスを眺めて、アズロットを抜かす二人に射撃が付いた事を確認するのであった。
★――――――★
名前:ミリー
種族:犬族とヒューマンのハーフ
レベル:0
力:10
器用:15
素早さ:1
体力:10
魔力:1
HP:10
MP:1
忠誠度:85
スキルポイント:10
【装備】
・冒険者の服(服)※カシミヤ製
・スニーカー(靴)
【マジックアイテム】
【スキル】
・強固
・射撃:1
★――――――★
名前:シオン
種族:犬族
レベル:0
力:15
器用:10
素早さ:8
体力:9
魔力:1
HP:10
MP:1
忠誠度:70
スキルポイント:10
【装備】
・冒険者の服(服)※カシミヤ製
・スニーカー(靴)
【マジックアイテム】
【スキル】
射撃:1
★――――――★
名前:アズロット
レベル:40
力:100
器用:80
素早さ:120
体力:150
魔力:260
HP:300
MP:450
忠誠度:90
スキルポイント:450
【装備】
・サイリスソード(剣)
・ミスリル魔道ローブ(魔法攻撃を含め色々と軽減してくれる優れたローブ)
・銀の髪飾り(兜)
・冒険者の(服)※カシミヤ製
・スニーカー(靴)
【魔法】
【スキル】
・剣技2
★――――――★
こうやって見ると。アズロットは魔法剣士に向いているように見える。アズロットに射撃を覚えさせれば随分と楽になるし、魔法を覚えさせたら回復させるのも楽になるだろう。
そんな事を思いながら俺達は家に帰る事にした。




