87話 仲間って言っても結局は他人だ
死骸に近づいて剣を刺そうとするのだが、俺の持っている剣では刺さることも出来ないでいたどうやって倒す気でいたのだろうか。そんな事を思いながら周りを見渡す。
「あ、アンタは……な、なに者なんだ!」
ションベンを漏らしながら人に指を差して言うセリフではないと思うぞ、ジョルジーニョ。
「俺の必殺技さ」
そう言って俺は死骸を袋に詰め、ジョルジーニョを立たせるのだった。
「わ、悪い……」
年下のくせに意外と生意気な奴だな。ションベン漏らした奴のくせに態度がでかい。さて、既にここには用が無い。戻って換金して次の町へと向かったほうが良いだろうと思いながら出口へ向かって歩き始める。もちろん、ジョルジーニョも一緒についてくるのだった。
町の外へ出てからジョルジーニョに言う。
「じゃあ、ギルマスが死んだということは、新しいギルマスができるだろ? 副ギルマスの言うことでも聞きな。俺たちはここでお別れだ」
「ちょ、ちょっと待ってくれよ! 俺一人でなんか、町に帰れるはずないだろ!」
「歩いてきた道を戻りゃ良いだけの話だろ? 直ぐに帰れるじゃんか」
「そ、そりゃ仲間が居たからだろ! 仲間がいないのにどうやって帰れって言うんだよ!」
「歩いて行くに決まってるだろ。馬鹿か? お前は……」
「違うって! ここの敵を一人で倒せるはずが無いって言ってんだよ」
「なら死んじゃうしかないだろ」
「だからそう言ってるだろ」
「だからぁ……死ねって。仕方ないだろ? 帰れないんだったら。俺はお前と違って帰る事ができるし、他の町へ行くことも可能だ。達者で暮らせよ」
「どうしてそうなるんだよ! た、助けてくれよ!」
何を言っているのだ? このションベン小僧は。
「町まで連れて行ったらなんかくれる?」
「で、出来る限りの……ガルボを……」
たしかにガルボは有効だ。仕方無い、このガキを連れて町へ戻ることにするか……。
「仕方無いなぁ……町までだからな。ついたら町を案内しろよ」
俺は笑いながら言ってバイクを召喚する。ジョルジーニョにはそれが何なのか分からず、首を傾げる事しかできなかった。説明は面倒なので、取り敢えず後ろに乗るように指示する。言われた通りにジョルジーニョは後ろに座って俺に掴まった。
「振り落とされないようにしてくれよな」
「え?」
セルを入れて俺はバイクを走らせる。休憩をはさみながら五時間歩いた道は、たったの30分で到着してしまう。何が起きているのかさっぱり分からないジョルジーニョ。
「この事を喋ったら殺すからな」
頷くことしかできないジョルジーニョ。早速ギルドハウスに戻り、残っている仲間に状況を伝える。その間、椅子が置いてある席に案内され、女性のギルドメンバーがお茶を出してくれた。
それに甘えながら俺はゆっくりして皆の状況を確認するためステータス画面を見ると、信頼度が忠誠心に変わっており、ゼロの状態でも確認ができるようになっていた。これは多分、神様が何かしたのだろう。
相変わらず説明が無いやつだ。
何気なく、元気にしているのかとカベルネ、リタ、アズロットのステータスを確認してみると、愕然とする。一人を覗き、忠誠度がゼロだったからだ。
色々慌ててステータスを弄っていくと、履歴が見られるようになっていた。そして、『別れる』『別れない』の二つの項目があり、こいつを仲間と認める認めないと言う扱いができるらしい。細かく載っているが、面倒なので省かせて頂こう。
履歴を読んでみると、カベルネは流されて辿り着いた浜辺から、近くにあるザキミヤの町まで旅を続けていたのだが、そこで自分の世界が時代に取り残されている事を理解したらしい。そして、その町で誘われたギルドに入ったらしく、ガルボを蓄えて俺を探そうとしていたのだが、そのギルマスがかなりのイケメンで、口説かれ恋仲に落ちたようだった。最初は俺の事があるからと言って、断りを入れたらしいのだが……お酒の力には勝てず……そして今は、そのギルドで経営している花屋を営んでいるらしい……その男と。それって……ブルクスの町でもできた事だよね……。リードとかって可愛そうだとは思わないの? 君は……。
リタも同じような内容で、何処かのギルドに所属している様だった。そして、彼女は魔物との戦いで仲間を守るために命を落としてしまったらしい。残念である。これでアッサラートの血が途絶えてしまったという事になる。所詮こんなものだろうと思ってしまった。
アズロットは、俺を探してソロで旅をしているらしく、キングストンの町にいることが分かる。彼女は必死で俺を探す旅を続けており、今は怪我を癒やすために宿屋で療養している様だった。彼女だけ忠誠度が90と高く、俺の心を一瞬だけホッとさせてくれる。
死んだリタはステータスがゼロの状態なので、武器の召喚を解除し、カベルネは……全てを解除させてもらった。
カベルネに関しては二度と信用ができないだろう。もう会いたいとも思わないが、会ったらどんな顔をするのか気にはなるし、どういう態度を取るのか知りたい。きっと彼女は吊り橋効果ってやつで俺に惚れたのだろう。それとも現実を知ったから……。初めてできた彼女だったのに……。グスン……。だが、キングストンの町にアズロットが居るのがわかったのは収穫である。
「お待たせ、副ギルマスに話してきた。このギルドは解散になるらしい」
「ふ〜ん。あっそ……」
それしか感想が無い。興味がないからだ。その後、ジョルジーニョに町を案内される。練習場などを案内されるのだが、カベルネに関してのショックがでか過ぎて、ジョルジーニョの話が頭に入らず案内が終了される。翌日も案内をしてくれるらしいので、今日は不貞寝して明日に備えることにした。
もちろん、カベルネの装備という装備は全部解除させてもらい、ステータス画面からも二人の名前を消したのだった。




