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召喚チート能力者の異世界ライフ  作者: マルチなロビー
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80話 人には出来ないことが沢山ある

 村人を救い出した俺達。だが、それは平和的な解決とはかけ離れた物であった。鉱山では事故が多発していたらしく、男の大半は死亡していた。


 村に戻った女性達は、男達がそこまで過酷な労働を強いられていると言うのを知らず、男達は女性達が残党兵に陵辱されていた等というのも知らずにいたのだった。


 そして、愛した恋人や家族は身体だけではなく……心までも傷だらけにされており、俺達は何も言えない気分となった。


 「な、なんで……我がアッサラート王国の兵士達が……」


 リタは立ち尽くし、家族の再会を喜ぶ者たちや、失って悲しむ人達を目の前にして茫然として呟く。


 「俺達はアッサラートがどんな国で、どんな政治を行っていたかなんて知らない。だけど、末端の人間はこんな事をするということは、そういう国だって事だろう。姫で裕福な生活をしていたリタだけがこの事を知らないんじゃ無いか? ……ここらの近くにキシミトルの軍がいたという事と、この村はアッサラートが管理していたのだろう。その結果、管理が外れた村は襲われ、負けた国の兵士は仕事を失い徒労組んで犯罪を行う。これがアッサラートの政治が招いた結果だろう。キシミトル国がどうしてアッサラートを潰したかったのか……これが答えかもな。お前達家族を根絶やしにする意味はここにあったのかもしれない」


 「そ、そんなことって……」


 残酷すぎるとでも言いたいのか。結局はリタ自身、天上の人だ。末端がどのように生活をしているかなんて知る由もない。しかも、自分の家族は殺され、自分もその命を狙われていたという事実が残っている。


 また、奴隷商との交流があるという事は、奴隷をたくさん扱うことがあったという事……。奴隷にされる人はたいてい貧しい家族ばかりであり、その事をリタは理解している様子はない。結局はそういう事なのだ。リタは国が潤っている様に見えていたのは、下を締め付けていたからである。魔族を使ってまでアッサラート王国を滅ぼす必要があったのか、それについてはキシミトル国に聞いてみないと分からないが、国民的というか、そういう風に至らせたのはアッサラート国の怠慢であり……。


 村の者達を救った俺たちという扱いになっているので、今回は宿屋に泊めてもらえる事となった。だが、それが裏目に出るのだった。


 カベルネは戦争だからと言ってリタを慰める。リタは自問自答して答えが出ずに苦しみながら眠りにつくのだが……。


 翌朝、すぐに旅立っておくべきだったと後悔させられる。


 「あれは何でしょうか……」


 人だかりが出ており、俺達は野次馬根性で近寄っていく。だが……俺達の見たものは……。


 「恋人が鉱山で落石にあい死んでいたんですって……」


 「それにコイツ等は……兵士達に……だろ?」


 数名の女性が首を吊ってこの世から別れを告げていた。その子らは……昨日、俺達が乱暴されているところを助けた子達だった……。


 リタが悲痛な表情で俺を見つめる。その顔に対して俺はかける言葉が見つからず、リタは膝から崩れ落ちるように泣いてしまう。そのままでは可哀想だし、しっかりと弔ってあげようとカベルネの言葉に頷き、アズロットは剣で吊していた紐を切り、一人一人抱き抱えるように支えて地面に並べる。


 「我らを守護する天の使いよ……彼女等に次の未来を与えん……」


 カベルネはロッドを高く上げ、冥福の言葉を唱える。それを聞いて、周りの人達も声を合わせてカベルネの言葉に続く。


 村人は彼女らを連れていき、埋葬するようだ。村の数人はカベルネに感謝の言葉をかけ、カベルネは「冒険者として当たり前ですよ……」と答え、やり過ごす。


 リタに至っては泣きじゃくり、己を責めるのだが、これは既に過ぎ去った出来事。リタの所為ではない。誰を責めるのか……これに関して誰にも責任の所在が分かるものはいない。


 やはり……俺は正義の味方にはなれないよ……。


★★★★★★


 タイチさんが興味本位で物事に首を突っ込まない理由を私は理解した。ギルバートさんと直ぐに別れた理由も理解するには簡単すぎる答えである。場合によっては私がリタさんと同じ立場だったのかも知れない。今回に至っては、何故男性が少なかったのかから始まった出来事であるが、私が言い出したことである。私はタイチさんに英雄や勇者のように立派になって欲しい。だけど、私が想像しているよりも世界は厳しく、そして儚く切ない。私は何のために冒険者になったのだろう。そして、私は何をタイチさんに求めてしまっていたのだろう。この現実を目の前にして私は、全てに対して後悔と、謝罪の念でいっぱいになっていたのだった。


 これから私はタイチさんとどう接して生活をすればよいのか……タイチさんはこの事によりどれだけ傷付き、苦しんでしまったのか……私は恋人として、最低な人間であると言う事を痛感してしまった。

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