77話 ビーフナントカロフ
町に到着して俺達は宿屋へチェックインする。まだ、俺の体調が良くなっていないからである。後は咳だけだが、これが厄介だということなので、俺は甘える事にさせてもらった。
俺の代わりに三人は情報収集に出かけてくれる。
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今度こそ失敗は許されない。愛するタイチさんが病気で伏せているのだから、妻(に成れたらいいなぁ)の私がシッカリしなければならない。
ギルドに行くと、飛空艇の情報が幾つも手に入るのだが、大抵は酔っ払いばかりである。
隣の大陸について、何かしらの情報を手に入れないと帰るに帰れないため、必死で情報集めに奔走する私達三人(と言っても、アズロットに情報収集はできないので基本二人である)。
幾つかの話を纏めると、隣の大陸ではガルボが全てを握っていると言うこと。また、ギルドというのは建物を表すのでは無く私達のようなパーティを表していると言うことが分かる。
この辺に関してはタイチさんに話をすれば何かしらの知恵を出してくれるのでは無いかと私は思うのだが、もう少しだけ情報を手に入れたいと思う。
「奴隷に関して何かしらの情報は手に入りましたか?」
リタさんに質問を投げかける。
「一応、隣の大陸でもそう言ったのが有るらしいけど、盗賊の数が多いという話。それに、大陸は一つではなく、数カ所の大陸があり、飛空艇に乗る時に間違わないようにしないといけないとか言っていたわ」
「な、なんだか壮大な話なのだ……」
リタさんの言葉にアズロットが引き攣った顔して答えた。私達は、集めた情報を宿屋に持ち帰ると、タイチさんが食事を作ってくれていた。
ビーフナントカロフとか言うやつらしくて、出来るのに時間がかかるとか仰有っていた。
その料理はとても美味しそうで、食欲をそそる。アズロットも匂いだけで幸せそうな顔をしており、私達は匂いだけで心が満たされる気分になる。新しい大陸ではどのような食事が待っているのだろうか。そして、どんな出来事が私達を待ち構えているのだろうか。
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カベルネ達の情報を纏めると、ガルボが必要になるというのと、ギルドの定義が変わるという事。ここでは冒険者というのがメインの言葉になっているのだが、俺達のように集団を組んでいるのがギルドと言うようだ。
こっちの大陸ではギルドというのは。お役所みたいなところを指しているが、新大陸では、集団をギルドという風に表して呼んでいるようである。
また、そのギルドには名前が付けられているようであり、こっちにいる冒険者達もたまにそう名乗っている奴がいるという事は、その大陸からやって来た冒険者という可能性が高い。そいつ等に情報を収集した方が良いかも知れないのだが、カベルネ達にそれを求めるのは酷というものだろう。
そして、最後に聞いた情報は、大瀑布を超えるという話だが、これが俺の想像している大瀑布だ。だが、他にも色々とあるようだが……そこまで彼女達に話を求めるのは酷というものだろう。
彼女達は海というものを見たことがないし、聞いたのだって初めてなのだ。大瀑布が一体何なのか……それすらも分かっていないであろう。
昼食を取り、俺は今後についての話を始める。
「先ずは飛空艇迄の距離が近くなっている事がここに来て解るようになってきたね」
「情報が増えてきましたからね……」
「新しい大陸では、ガルボが……という話だが、それについては他に情報が無いの?」
「すいません……、聞くもの全てが初めてに近い話だったので……」
カベルネが申し訳なさそうにしているが、それは仕方がないことである。他に何か情報というと、ギルドに関してや人種と言うところだろう。魔族を始め、他種族の人種がいると言うことが分かる。後は行ってみないとわからない部分が多いだろうな。
そんな事を考え、翌日にはこの町を出ていくのだった。
町を出て暫く歩く。これに関して話をしなければと言うことをカベルネとリタに話をする。
「二人に確認するが……」
二人はキョトンとした顔をして俺を見つめる。
「場合によって、二度とこの大陸に戻ってくることは無い。その覚悟はあるか?」
カベルネは一瞬だけ固まったが、直ぐに力強い目で頷き、「タイチさんと一生を添い遂げる覚悟を決めてます!」と、愛らしい事を言ってくれる。
リタは暫く悩んだ顔をする。
「もう……過去を捨てて新しい道で生きて行く……ご主人様は私を捨てたりしないですよね?」
「しないよ。三人共俺の側から離す気はない……」
その言葉を聞き、リタは小さく頷いて俺に言う。
「アッサラート王国のペリサ姫は死に、私はリタという名前で生まれ変わりました。奴隷という身分ですが、我が主を愛し、一生を守り続けることを誓います……」
「そうか、二人の覚悟は分かった……」
「私はタイチと一生を過ごすぞ!」
聞いてもいないが、アズロットが元気よく答える。二人はその事に笑い、自分達もそうだと言って俺たちは次の町へと歩み続けるのだった。




