76話 これからの方向性
死体が転がっている場所で休むことはできないため、俺はキャンピングカーを召喚して場所を移すことにした。アズロットは気絶しているためカベルネとリタが後ろで服を着せ替える。
その間に車の場所を移動して、休めそうなところで止める。
「三人とも大丈夫か? 本当に悪かったよ……あんなに大変な時に寝込んでいたなんて……」
今もちょっと目が廻る。多分、熱は下がっていないのだろう。頭痛もあり、吐き気も出始めている。完全に悪化した状態だ。だが、それよりも三人の方が心配である。下手すると輪姦されていた可能性があったのだから。
人が大勢いるかのように音楽を外に流した状態にし、人や魔物が近寄れないような、異様な雰囲気にした。
「わ、悪いが……このまま寝かせてもらうよ」
後ろに移動し、ベッドで横になる。正直、三人の状態が心配だが、これ以上は限界。
俺は頭に冷えた湿布のような物を張り、眠りについた。
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我らを救ってくれたタイチさんは再び眠りについた。あんな状態で私達を助けてくれたのだ。感謝だけでは言い表せない程、私達は……。
「また……助けて貰っちゃいましたね……助けなければならないのに……」
眠っているタイチさんの汗を拭いながら私は呟く。タイチさんは息が荒く苦しそうで、正直、見てはいられないが、それでも看病はしないといけない。
「カベルネ様……交代いたします。私にも看病をさせて下さい……」
リタさんも同じ気持ちなのだろう。私達は何かを勘違いしていたのかも知れない。タイチさんは凄い人だ。私達が持っていない召喚する能力や、知識は賢者のレベルに値すると思うが、タイチさんの身体は私達と同じなのだ。何処かで修行を積み、そういった能力を手に入れた訳ではない。もう少し考え、接するべきだったと、今更ながら私は後悔をするのだった……。
タイチさんが仕掛けた音のなる物が鳴り響き、まるでここにはたくさんの人がいるかのように思える。何か激しく歌を歌っているように聞こえるのだが、歌の意味は理解できない。愛だ恋だと叫んでいるように思えるが、皆で合唱しているかのようにも聞こえる。
気が付いた時には私達もタイチさんを枕にして眠りに就いてしまっていた……。
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何かが俺の体に乗っかっている気がして目を覚ます。体を起こそうとしてみると、三人が俺の体を枕代わりにして眠っていた。
何をしているのだろうと思うのだが、それはツッコんではいけないと思い、俺は三人が起きるのを待つことにした。
日が昇っており、音楽を流している必要は無いので召喚を解除する。すると、リタが一番に目を覚ましたのだった。
「おはよう、リタ……」
「おはよう……ございます……ふぁ〜……」
「昨日は気持ち悪い思いをさせちまったな……ゴメンな」
「いえ……助けて下さって感謝します……私は未熟です。あんな相手に後れを取るなんて……」
「いやいや、カベルネが殺すなと言ったんだろ? だったら仕方ないさ……。俺は殺っちまったけどね……」
だって、大事な俺の女を悪戯するなんて、絶対に許す事はできない。
「始めから足に向けてアレを使っていれば良かったです……」
「結果論だよ。まだ状況に慣れていないんだ……仕方無いさ」
「そう言って頂けると……」
「それに、アズロットが人質に取られているような状態だった。使いたくとも使えない事もあるさ」
それは何となく理解できると言うかのようにリタは頷いた。
「さて……リタには悪いんだが……俺達の朝食を作ってくれないか?」
「じ、自信は有りませんが……」
「やらなきゃ出来ないし、何度も手伝ってくれてるんだ。自信を持ってやってみなよ。失敗しても良いよ」
「か、かしこまりました……頑張ってみますね……」
そう言ってリタは食事を作るために身体を起こし、俺の体から離れていく。
「タイチさんは……リタさんに優し過ぎです」
「目が覚めてたの?」
「途中からですけど……」
「俺が体調を崩さなきゃこんな事は起きなかったんだ。俺に原因はあるよ。それよりもカベルネも食事を作るの手伝って上げてよ」
「もう……体調は大丈夫……なんですか?」
「無理をしなければね。だから今日も車で移動だ。あと何箇所か町を超えたら飛空艇がある場所へ着くんだ。頑張ろう」
「無理と無茶はしないで下さいね……」
「もちろん。……ほら、リタを手伝って上げてくれよ……。そこで狸寝入りしているアズロットと共にさ」
そう言うと、アズロットは目を開けて「バレてたか〜」と笑いながら起き上がる。
「悪いが、俺はもう少しだけ休ませてもらうから……食事ができたら、呼んでくれよ」
二人は返事をしてリタの元へと向かう。病気の事はさて置き、今後について少しだけ考えないといけない。
正直、今までは二人旅だったが、今は四人で旅をしている。当初の目的では、手頃な町で家を手に入れ、適当に生活費を稼ぎながら彼女を探す……もしくは奴隷を購入してイチャイチャするのが目的であった。だが、現実はどうだろう……それなりの魔族を瞬殺し、町にいるのが難しくなり、移動してみたら戦争をしていたので逃げる人に巻き込まれるように他の町へ移動する羽目になった。更には魔族との戦いに負けそうになった子を助けたため再び町を離れ、盗賊を倒したお礼と言って元王女様(可愛く、順応だから許すが……)を押し付けられ、相手国に追われてしまう始末。ようやく落ち着けるかなと思った町は夜な夜な魔物の襲撃を受け、準男爵は変態で、魔族にはハーフ魔族を押し付けられ再び町にいられないため移動するという状態。
もう他の大陸に希望を抱きながら飛空艇が有るという王都へ向かっているのだが、俺の大事な女の子達が襲われそうになってしまう(傷物にされる前に皆殺しにしたけどね)。そして、風邪ごときで、俺は倒れてしまったという状態だ。
男要素が足りないと言うのが問題でもあるのだが、先ずは家を手に入れるといった当初の目的がズレていると言うのも問題である。全体的に行き当たりバッタリだから修正が必要だな。一度カベルネ達と話をして全体的に修正(方向性を決める)しなきゃだめだろう。
三人が作ってくれた食事を取り、再び俺は車を動かした。そして、次の町が見えてくるので、歩いて移動をすることにしたのだった……。




