63話 甘えん坊と甘えん坊姫
俺とカベルネは初めて同じベッドで寝るのだが、まだそういった行為はしていない。15歳に手を出すのは犯罪だからね。ベッドの中で何度もキスはし、カベルネは俺のいた世界の話を聞きたがっていたので寝るまで話をしてあげた。カベルネくらいの子がどんな生活を送っているのかとか、本を出して説明をしてあげるとカベルネは頬を膨らませて焼き餅を焼いたりしていたが、俺達は幸せだった。
翌朝、アラームが鳴り目を覚ますと、隣にカベルネがまだ眠っている。寝るのが意外と遅かったから仕方ない話だ。目を覚まさないようにベッドから降りようとすると、カベルネは目を覚ます。
「ん……た、タイチさん? どこへ行かれるんですか?」
「おはよう、カベルネ。朝だよ? 起きる時間だ」
「もう……そんな時間ですか? ……おはようの……あ、挨拶は……」
分かったことはカベルネは意外にも甘えん坊という事だった。俺はカベルネの唇にキスをすると、カベルネは嬉しそうに微笑んで俺に抱き着く。
「えへへ……タイチさん♥」
「どうしたの? 甘えん坊のカベルネ」
「私は幸せですよ」
「俺だって幸せだよ」
「エヘヘ……♥」
この笑顔が俺の物だと思うと、本当に幸せである。
俺達は着替えをすまして、ダイニングでコーヒーを飲む事にすると、リタが目を覚ましたらしく大きい欠伸をしてやってきた。
「リタさん、はしたないですよ! 仮にもリタさんは元王女様……ですのでもっと……」
「元王女のペリサ姫は死んだのです……私のご主人様であるタイチ様の奴隷のリタ。それ以上でもそれ以下でもないのですよ。カベルネ様」
「リタ、だったら俺の奴隷らしく、しっかりしてくれると助かるんだけどね……」
「分かりました……ご主人様……」
リタは優雅に頭を下げて挨拶をするのだが、寝癖が相まって、正直、締まらない。直ぐにリタは寝癖を直しに行き、カベルネは俺に微笑みかけてくる。本当に彼女が出来たのだと思うと、天にも昇る気分になるね。
リタの準備が終わって、俺達は宿屋を出る。カベルネはいつものように俺の隣を歩いているのだが、なんか新鮮な気持ちで、新しい朝がやって来た気分になる。見るもの全てが初めてのような気がして、俺の気分が舞い上がっているのだろう。
道具屋でポーションや毒消し草(一度も使った事が無い)を購入して町を出る。たしか、ギルドで聞いたのは五つか六つ先にある王都と言っていた。と言う事は、結構な距離があると言う事だろう。だいたい、人間が歩く距離は休憩を入れて30キロ前後。無理をするならば50キロ前後である。車なら一時間もかからないで行ける距離だが……次の町までどのくらい離れているのかもわから無いし、経験則での話だが、大体、次の町まで三日か四日程掛かっているところを考えると、120キロほど離れた場所に次の町があると考えられる。しかも、飛空艇があると言う事は、それなりに大きな町になる。なので、さらに離れている可能性も考えられる。
「車で移動したほうが良いか……?」
「いえ、リタさんに銃の使い方を覚えてもらいましょう……」
「カベルネ?」
「リタさんは、剣では戦えることが出来るようになりましたが、銃での戦いはまだありません。あの武器は、リタさんの隠し玉として持っておくことが有効だと思うんです……」
「なるほど……だったら歩いていくのもありか……リタ、お前はどうだ?」
「主人のご意思のままに……」
そう言ってリタは優しく微笑む。昨日聞いた飛空艇についてはどう思っているのだろうか。国の復興等は考えていないのだろうか。そのうちそういった話を聞いてみたいと思うが、手助けはしたくない。
俺達は街道を歩き始めると、魔物の気配を感じる。だが、これまで感じた気配とは異なる気配だった。
「な、なんだこの感じ……」
すぐ傍に居るような気がするのに全く姿が見えない。俺は焦りを感じながら周りを見渡す。
しかし、魔物の姿は見えず、しかも離れていく感じがして空を見上げると、巨大な何かが大空を飛んでいるのが分かった。
「あ、あれって……」
「ど、ドラゴン……ですかね……」
「は、初めて見ました……」
俺達は口をポカ~ンと開けてそれを見て、ドラゴンらしき物体が通り過ぎるのを眺めるのであった。あんな化け物と戦って勝てる気がしない……嘘だけど。
昼になり、カベルネと共に食事を作って三人で食事をする。暫く休憩してから進むことにして、俺は横になっていると、カベルネが何か本を読みたいと言って来たので俺はロボット漫画を召喚して渡す。
この世界では考えられないSFの話。俺からしたらこの世界での魔法が既にファンタジーなので何とも言えないのだが……だが、カベルネは食い入るようにその漫画を読んでいた。
「ご主人様、私にも何かそういった書物が読めるようにしていただくことは出来ませんでしょうか? カベルネ様が羨ましいです」
リタには俺の事を話してある。最初は信じていなさそうな表情をしていたが、俺の召喚能力を見たら何かを納得したらしく理解をしてくれた。一般の人とは異なり、多くの話や人等と接してきたリタだから……召喚という能力や、見た事もないものを目の当たりにして信じるに値すると判断したのでは無いだろうか。そのリタは少しだけ寂しそうな顔をしていた本が読めるかどうか分からないが、ステータスを弄る事にした。
★――――――★
名前:リタ
レベル:7
力:10
器用:5
体力:10
魔力:15
信頼度:60
スキルポイント:20
【装備】
・ライトソード(剣)
・スラントスローブ(色々と軽減してくれる優れたローブ)
・旅人の服(服)※カシミヤ
・スニーカー(靴)
【スキル】
・剣技:1
・異世界言語
★――――――★
「これで読むことが可能?」
「ダメです……ですが、絵だけでも楽しむ事にします……」
少しだけ残念そうにして漫画の本(リタは少女漫画)を読んでいた。
「ご主人様、この服は一体なんですか?」
「制服って奴だよ。ある集団が決められた服を着用する事だね。お城で言えば、その国で定められた鎧を装備する事がそれにあたるんじゃないか?」
「なるほど……で、この者達は何をしているんですか?」
「これは学校という、勉強を教える場所に通っているんだ」
「へ~……なるほど……ご主人様のいた場所ではこういった場所で色んな者達と勉学に励んでいたのですか?」
「そうだよ。皆で一緒に勉強して、一緒に遊んだりしていたかな……」
懐かしいなぁ……学校か……。色々なことがあったなぁ……。
「私はずっと室内で一人、勉学をさせられていましたから……ちょっと羨ましいですね」
リタはお姫様だったから一人で勉強させられる。だから同年代の友達とかはいなかったのだろう。それはそれで寂しい……だろうな。
「リタは……寂しいのか?」
「全然……むしろ今は楽しいですよ。城にいるころは確かに退屈で死にそうでしたが、今は毎日を必死に生きていくのとか、こうやってご主人様やカベルネ様と一緒に旅をでき、色んな物に触れる事など出来るのは最高に楽しいです」
そう言って素敵な笑顔で俺に笑いかけるのであった。
「タイチさん。ちょっと質問なんですが……」
「ん? 何?」
「タイチさんが言う科学って奴で……こんな武器は作れたりしないのですか?」
そう言ってロボットが持っているライフルを俺に見せて目を輝かせるカベルネがそこに居るのだった。
試してみる価値はあるが、それは究極の手段だろう……。卑怯すぎる。




