57話 普通の冒険とは異なる冒険
初めて見る武器。相手を怯えさせるという不思議な武器。殺傷能力は全くないが、相手の動きを止めるのには確実な方法だ。
「た、タイチ様……ど、どういう事なんですか……な、なんで魔物は動かなく……」
「これは閃光音響爆弾。激しい光で目くらましを起こし、音で耳を潰したりすると、眩暈や難聴などを起こして真っ直ぐ歩けなくなったりするんだ。そして弱っているときに相手を制圧するという代物なんだけど……ここでは本当によく役に立つアイテムだよね。こんな簡単に倒す事が出来んだから」
こんな物があれば私が住んでいた国は滅ばなかったかもしれない。そして、我主が持っている武器があれば一気に戦争という物が変わるだろう。
★★★★★★
リタが俺を見る目が変わった事に気が付いた。良からぬことを考えている目だ。どうせまた勇者がとか、英雄がとか言う話になるのだろう。まっぴらごめんだ。俺は平穏に暮らしていきたいだけだ。それについては夜にでも話をしよう。リタなら理解はしてくれるかも知れない。
魔物を回収して、俺達は先へと進んでいく。ここの森にいる魔物は結構厄介だということが分かる。先程の魔物の次は、ユニコーンのような奴が現れる。俺の常識ではユニコーンは獰猛な生き物では無いという認識だったが、それは全くの大違いで、ユニコーンは獰猛な生き物だった。俺達を見つけると、蹄を蹴り上げ俺達に襲い掛かってくる。一瞬の出来事に俺達は戸惑いを覚えるのだが、カベルネは意外と冷静で、銃を構え顔面に向けて発射させる。だが、角で弾丸を弾きリタがロングソードで応戦をする。だが、リタの経験では全く歯が立たず弾き飛ばされる。
「きゃあ!!」
対応が遅れた俺だったが、直ぐに我に戻って武器を召喚した。
「これでも喰らいやがれ!!」
グレネードランチャーを発射させると、一角獣の頭が吹っ飛んだ。その威力にリタは驚き目を開く。
「カベルネ、リタに回復魔法を」
「はい! 大丈夫ですか……リタさん……」
「あ、ありがとうございます……か、カベルネ様……」
カベルネは回復魔法をかけ、リタの傷を癒やしリタは体を起こす。
「この辺りの魔物は強いな……そこらの冒険者じゃ倒すことはできないだろうな……」
魔物の死骸を回収し、二人を見る。ここではカベルネも戦うのが難しいだろう。誰かフォローしてくれる剣士がいたら話は別だろうが……。メルトと別れたのは失敗だったか? ……いや、このままだとメルトにも危険が及ぶ可能性があるのは確かだし、出来る限り地元と言うか、死んだ仲間のそばにいる事は大事だと思う。聞くところによると、幼馴染みで、イケメンの事が好きだったようだから……だから尚更そいつ等のそばにいた方が良いし、いつかは地元に帰って幸せに暮らしてほしいと思う。もう、一人でも戦えるほどの力を手に入れたのだし……。
「先を急ごう……夜が来る前に落ち着ける場所を探そう……」
俺の言葉に二人は頷く。リタはまだ魔物という魔物を一人で倒したことはない。誰かのフォローをすることは有っても魔物を倒すには至っていない。ステータスを見る限りだと本当にお姫様だったのだろう。俺の初期レベルとあまり変わらない。
★――――――★
名前:リタ
レベル:1
力:2
器用:1
体力:1
魔力:5
信頼度:55
スキルポイント:10
【スキル】
★――――――★
しかも信頼されていると言ってもカベルネのように物凄く信頼されていなかった。本当に低く半分だけ信頼してくれているという状態だ。
そして夜になり、溶岩でできたと思われる窪みのような場所で今日は休むことにする。問題は森の中だということで、上空から襲ってくる敵に対してどうするかという事だけだったが、車を召喚しておけば問題ないだろうと言う結論に至り、キャンピングカーを召喚する。
「ば、馬車の中に部屋がある!」
リタは嬉しそうに周りを見渡す。カベルネはトイレやキッチンがついていることに驚きを見せていた。
「こ、このトイレや厨房は使用できるのですか?」
「出来るよ。普通に問題なく出来る。カベルネの大好きなお風呂に関しては無理だけど……それ以外は出来るよ」
「お、お風呂は無理ですか……」
お風呂は無理と聞いて、ガックリと項垂れるカベルネ。ここまで完備されているのだから文句はないでしょ……普通は。
「多少の恥ずかしさを我慢出来るなら……出来るけど……我慢できる?」
「え?」
少しだけ希望に満ちた目をするカベルネ。俺はドラム缶を召喚して、なかに水を入れる。足元にはやけどしないためにスノコを敷き湯を沸かし始める。中に入り易いように脚立を用意して暫く待つと、湯が沸いた。
「ドラム缶風呂。これで良ければ……露天風呂を味わえるよ」
「た、タイチさん……絶対に覗かないと約束してくれますか……」
「覗かないよ……と言うか、カベルネは俺に対してどんなイメージを持っているんだよ」
「じょ、冗談ですよ〜」
笑いながら服に手をかけるカベルネ。俺はキャンピングカーに戻り、調理を開始する。リタはカベルネを守るかのように周囲を警戒していたのだった。
カベルネが風呂から上がり、幸せそうな顔を、つぎにリタも風呂に入ってユックリと体を休めていた。
車の中といえとも、ベッドが付いているので寝るのには最適である。俺達はゆっくりと眠り、翌朝に備えるのだった。
翌朝、俺達はふたたび出発をする。グランベルの森は深く、再び虎のような魔物に遭遇したり、ユニコーンのような魔物に遭遇したりして戦いを余儀なくされる。
中々森を抜けることができず、こういった冒険の経験がなく、城暮らしをしていたリタの精神はかなり参っていた。
「大丈夫ですか……リタさん」
「え、えぇ……冒険というのがこんなに大変だというのを……初めて理解しました……」
「これは楽な方だと思いますよ……だって、タイチさんが宿屋セットを出してくれるんですから……普通に考えたらそんなものはないですよ」
その通りである。普通の冒険では考えられない程贅沢な事をしているのだ。そりゃカベルネが楽だというのも頷ける話である。
そんなこんなで数日間、この森を彷徨っていると、俺達は城を発見するのであった。
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