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召喚チート能力者の異世界ライフ  作者: マルチなロビー
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41話 長道のりの始まり

 私は部屋を出て直ぐにメルトさんに説明すると、メルトさんは項垂れる。その理由を聞いたら全てが理解できた。


 彼女はパーティの中でも一番弱かったらしい。皆、同じ村で育った幼馴染みで、家出同然で冒険者になったそうだ。まるで私と同じである。盾役の戦士がいて、その人の後ろで敵の攻撃をやり過ごしてから戦っていたそうだ。一人で魔物を倒した経験が全く、仲間のお陰で倒す事ができていたらしい。しかも、瀕死状態の魔物を……。


 タイチさんが言う犬猫の話はここに繋がり、それを見抜いての話だと理解する。


 「三日で5000ガルボを集めるなんて……夢のまた夢よ……」


 「や、やってみないと分からないじゃないですか! そ、それに、他の仲間を探すのだって難しい話なんですから……」


 「は、ハッキリ言うわね……貴女」


 「私はともかく、メルトさんは追い詰められている状態です……格好付けている場合じゃないんです……」


 メルトさんは黙って私を見つめて考える。私達と一緒に冒険をするならこれしかないのだ。分かってはいるはずなのだが考えてしまうのだろう。


 「ど、どうすれば……どうしたら魔物を倒せるのよ」


 決めてくれたようだ。


 「わ、私は剣をそんなに使えませんが、私のいた町ではギルドで研修をしてくれました……。その時、教えてくれた人が言うには、相手の動きを良く見て考えるという事です。メルトさんの装備ではゴブリンメイジは難しいです。それ以外を狙って戦ったほうが良いかと思います」


 「な、なるほどね……良く考えてるじゃない……」


 「エアカッターの魔法は盾で防げる事をタイチさんが立証していますそれがなければ戦うのは難しいです。メルトさんに突撃できるだけの攻撃力があれば話は別ですが……」


 「魔法で牽制をしてくれるのよね……」


 「いえ、それでは一人ではなく二人で倒した事になりますので……それは致しません」


 「そ、そんなの無理に決まってるじゃない!」


 「なら……諦めますか? これしか選択は無いんですよ」


 私は詰め寄るように言う。


 「うッ……わ、分かったわよ……やれば良いんでしょ! やれば!」


 そう言ってメルトさんは立ち上がり、部屋へと戻っていってしまった。私のためでは無く、自分のためという事を理解しているのだろうか……。


 翌朝になると、タイチさんの姿はなく、三角の形をした食事だけが置いてあった。私の部屋にはジュウが置かれてあり、タイチさんの優しさが感じられた。


 私はジュウを装備して、いつでも使える様にしておく。メルトさんを起こして食事をさせ、私達は宿屋を後にするのだった。


 町を出て森の方へと向かっていく。いつもであればタイチさんが魔物がいる方へと案内してくれるのだが、今はその頼れる人がいない。私達は慎重に森の中を歩き、魔物の姿を探す。


 暫くすると、ゴブリンメイジを発見する。私は魔法を唱えゴブリンメイジを倒すと、メルトさんが少しムッとした顔をしていた。


 「少しだけでもガルボを手に入れないと、宿に泊まることが出来ません。ゴブリンメイジは私が倒しますからそれ以外はお願いします」


 ここにはタイチさんがいない。私が頑張らないといけないのだ。


 そんなことを考えながらゴブリンメイジの体からコアを取り出し、私達は再び魔物を探し始める。のだった。


★★★★★★


 なんだかんだ言っても心配になるのは変わらない。俺もお人好しだと思う。離れた場所で二人の行動を見守る。何かあったら直ぐに駆けつけられるようにしておかないと……。


 ゴブリンメイジに対してカベルネが一人で倒したのを見たときは、成長したもんだと感心した。本当にカベルネは頑張っていたし、一人で練習をしたりと努力をしていたから。それが報われて良かったと心から思う。


 リーダーシップを取っているのはカベルネっぽいのはここから見て良く分かる。俺の真似をしているのだろうか……。しかし、俺はグイグイ引っ張るようなタイプではないと思うのだけれど……。


 再び二人は魔物を探し始めて歩き出す。気配察知がないので探すのが大変だろうと思うが、これも独り立ちするには必要なこと……。だが、昨日の言葉を思い出すと、あれは俺と添い遂げたいととらえてもおかしくはない言葉だ。だが、一時の感情でそれを言うのはどうかと思うので、今まで通り彼女を遠くから見守る形にしよう。まだ、彼女は若いし……。オッサン臭いセリフだな……俺。


 その後、ワイルドウルフを発見した二人。メルトが本当にヘッポコ剣士だというのが良くわかる一幕だ。あんな奴に手こずるのだから。カベルネではないが、俺ですらハラハラさせられてしまうじゃないか。


 こりゃ……本当にリルダールより手前の町で戦ったほうが良いのではないだろうか。もしくはブルクスの町で初心者研修を受けたりなど……。そんな風に思える一幕を見せてくれるメルト。初めて一人で魔物を倒し、カベルネと手を合わせながら喜んでいた。


 先ずは一匹だ。そいつだけで大体200ガルボだから、もっと倒さなきゃならない。そんなに喜んでいる時間はないと思うのだが……。


 二人の一日を、遠くで見るというストーカー行為をして俺の一日が終わりを迎える。


 カベルネに言ったように俺は別の宿屋へと行くと、カベルネ達と鉢合わせる。


 「た、タイチさん!」


 「……どうも」


 他人行儀で話をする俺。嬉しそうにしているカベルネ。


 「今日一日でメルトさんは千ガルボを手にしましたよ! 明日はもっと稼ぎますから、覚悟してくださいね!」


 何を覚悟すりゃ良いのだと思いながら俺はチェックインするのだった。残りは二日で4000ガルボ……遠い道のりだよ。

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