表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
召喚チート能力者の異世界ライフ  作者: マルチなロビー
41/397

40話 達成できる条件

 一体何故こうなったのか……。タイチさんは私との雇用契約を破棄すると言ってきた。一人増えたところで何の問題があると言うのだろうか……。


 「か、カベルネ……ご、ごめん……」


 メルトさんも予期していなかった出来事のようだ……。昨晩、寝る時にメルトさんが仲間にしてくれと言った。私はタイチさんなら良いと言ってくれるだろうと思っていたので了承したのだ。私も口添えするつもりだったが、私がお風呂に入っている間にタイチさんが話を切り出したのだろう。


 「ど、どうして……こうなったんですか……」


 メルトさんに確認すると、メルトさんは申し訳無さそうに説明をしてくれた。確かに、仲間が欲しければギルドで探すべきだ。メルトさんの切り口が全て仇となったのだろう……。


 「わ、私、タイチさんともう一度話してきます!」


 止めようとするメルトさんだったが、私は言うことを聞かずにタイチさんの部屋に入る。タイチさんはあの書物に描かれていた平べったい板を触っており、少し驚いた顔して私を見ていた。そして、その板を袋に仕舞い込み、何事も無かったかのような顔をする。


 「どうしたの……カベルネ」


 「も、もう一度……考えてくれませんか……」


 「断るよ。明日にはここを旅立つから」


 「私も付いていきます!」


 「カベルネ……君には待っている人が居るだろ?」


 待っている人……まさかリードの事を言っているのだろうか……。


 「い、居ません。私は冒険者です……待ち人は居ません」


 「冒険者なら、別に俺じゃなくても居るじゃん? メルトだって冒険者だよ」


 「タイチさんだってそうじゃないですか……」


 「だけど、俺はそこまで望んでないよ。確かに仲間は欲しいと思うけど、信頼が出来る仲間が欲しい」


 「わ、私は信頼できませんか……」


 沈黙が暫く続く。どのくらい時間が経ったかわからない。数分なのか、数十分なのか……それだけ緊迫した空気が流れているように感じた。


 「……カベルネは……俺に何を求めてるの?」


 沈黙を破ったのはタイチさん。非常に困った顔をしている。私が困らせているのだが……。


 「い、一緒に……いたいんです……。い、一緒に旅をしたり、生活をしたり……したいんです……」


★★★★★★


 参ったね……これは参った。聞き間違えると愛の告白だ。俺はこれに対してなんて答えりゃ良いのさ……。どっかの小説に出てくる主人公みたいに「え?」なんて言葉は使えないぞ……。


 この言葉に返す言葉を探していると、カベルネは震えているように見える。未だにカベルネのステは見えるが、メルトのステは見ることができない。と言う事は、アイツは俺を信頼している訳ではないというわけだ。まぁ直ぐに信頼しろというのが間違いだが、この力は悪用されると最悪な事になる。だから人は慎重に選ばなきゃならない。


 「ねぇカベルネ……」


 「……はい」


 「俺の力は危険なんだよ……それは目の前で見ていたカベルネが一番理解しているだろ?」


 「……はい」


 「だから仲間にする人は慎重に選ばなきゃならないし、俺を信頼してくれている人じゃなきゃ駄目なんだ」


 「き、期間が……短すぎるじゃないですか! メルトさんだって仲間を失ったばかりなんですよ!」


 「優しさは時に残酷を生むことになる。育てきれなかった猫や犬を再び外に捨てろと言うのか? 俺は君が一人でも戦えるまで育てたつもりだし、それだけの武具も与えている。それはカベルネが必死で努力した結果だ。カベルネだってリードと別れて直ぐの話じゃないのか?」


 「そ、そうですけど……」


 「これ以上、子猫を育てるほどの余裕は無いよ。俺は……」


 「そ、そう言わないで下さい……」


 「言わざるを得ないのが今の状態だ。カベルネは優しすぎる」


 あと数回……何かを言われたら……俺が諦めてしまいそうになる目で見つめるなよ。頼むからアイツを諦めてくれないか……。


 「た、タイチさんには仲間が必要です……」


 「そ、そうだろうね……」


 「その力を把握している人が……」


 もう、勘弁してくれよ。


 「カベルネだけで十分じゃないのか?」


 言わされている。これは言わされている。


 「なら……私は良いんですよね……一緒に居ても……」


 先ほどまで泣いていたくせにその目に宿る力強さは何だって言うんだよ……。勘弁してくれよ……。


 「好きにしてくれ……だけど、俺はアイツとは一緒に行動しない」


 「なら、私がメルトさんを雇います」


 「なら俺は別の宿で泊まるから、二人は一緒にいりゃ良いじゃん。と言うか、二人で冒険しなよ。俺は遠慮するって言ってるんだよ?」


 「別の宿でも構いません。メルトさんが役に立つという事を示せば良いんですよね! そしたら一緒に冒険をしてくれるんですよね!」


 ついこの間まで何も出来なかったくせによく言うよ……。二人でどうやって飯を食べる気だよ。


 「そうだね。アイツが役に立つというのが分かれば……一緒に行動してあげても良いけど、期限を設けるよ……別に構わないでしょ?」


 折れどころはここら辺だろう。


 「そ、そう……ですね……」


 「期間は三日。それまでにメルト一人で5000ガルボを貯めること……宿代食事代は自分で支払う事……これ以下には出来ない……良いね? あと、それまでは俺と別で暮らす事! 俺を一切頼らないのが今回の条件だ」


 「み、三日は別々に……」


 「できないなら諦めてくれよ。因みに、今日俺たち二人で1万2000は稼いでるって事を忘れないように。ハードルは高くないよ」


 「わ、分かりました……」


 ここまで条件を付けられ、カベルネは少し戸惑いながら部屋を出て行く。達成できるかできないかはアイツ次第になる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ