24話 明日から頑張ろうと思う音楽:タイチ・カベルネのステータス表記有
それから幾度となく俺達は魔物と遭遇する。知っている魔物もいれば知らない魔物もいる。だが、殆どが知らない魔物で、俺達は着実に別の土地へと来ていることを理解する。
「大丈夫か? カベルネ」
「……大丈夫です」
「そうか、カベルネは強いな。だけど俺は大丈夫じゃない。今日はここで一休みをしよう」
「え? だ、だって町まではあとちょっと……」
「急ぐな急ぐな……慌てても町は逃げないよ。滅ぼされない限り」
「そ、そうかも知れませんけど……」
正直体力的には全然問題はない。だが、どう見たってカベルネの顔は疲弊しきっている。これ以上無理をさせるわけにはいかない。
「少し道を外れた場所にテントを張ろう」
「わ、分かりました……」
★★★★★★
正直ホッとしたというのが本音だ。私はかなり疲れてしまった。今朝から何回戦いをしたのか分からない。確かにこのジュウって言うのがあれば戦闘は一瞬で終わるのだが、やはり緊張はする。その分疲れがドッと出てしまうのだ。
タイチさんもそうなのだろうか……だけれど、どう見てもタイチさんは涼しい顔をしているのだが……。
★★★★★★
テントを張り、食事の準備をしていると、カベルネはうつらうつらとし始める。やはり相当疲れていたのだろう。彼女はこの世界で生まれている。だから戦いという行為に力を注ぎ込んでしまうのだろう。でなければここまで疲れたりすることは無いはずだ。学校の授業も聞いているだけで疲れるのと一緒で、その一瞬一瞬に力を注ぎこんでいるから疲れるのである。これは俺の持論だ。
「カベルネ、テントに入って横になっていろよ。食事が出来たら呼んであげるよ」
「ハッ! だ、大丈夫です……」
「無理をするな」
「し、していません! 大丈夫です」
全く……こういった所は頑固なのだから。
「じゃあ、そこで周りを見張っていてくれるか? 俺は料理に集中するから」
「わ、分かりました……すいません……毎回タイチさんばかりに作らせてしまって」
「家を手に入れたら料理を教えてあげるよ」
その前に料理の本で勉強する必要があるな……俺が。そんな事を思いながら作っていると、やはりカベルネは疲れが酷かったのか眠りについてしまった。
「やっぱり……」
俺は毛布を出してカベルネに掛けてあげ、空を見上げる。空は茜色に染まっており、日が沈むことを教えてくれていた。
「日が沈むか……。明日は町に着くかな……」
「タイチ……さん……」
「ん? 起きたのか?」
カベルネの顔を見るとまだ眠っており、暫くは起きそうには見えない。
さて、再び有刺鉄線付きバリケードでも張ってこの場所に近寄れない様にしないと……。
俺は昨晩のようにバリケードを張り、周りに酢を撒き散らす。何かの本で読んだことがあるのだが、動物は刺激臭が苦手と書いてあったのを思い出したのだ。
ランタンを点け、カベルネが起きるのを待つ。だが一向に起きる気配が見えないのでサバイバル系の本を召喚して今後に備える事にした。
数時間が経つと、カベルネは目を覚ます。
「ん……ん~……あぁ~……あっ!!」
「よく眠れたか?」
「////はい……」
カベルネは顔を真っ赤にして頷き、泣きそうな表情をしている。ここで泣かれても困るので俺はインスタントコーヒー(砂糖と粉末ミルク入り)を差し出す。すると、彼女は恥ずかしそうに受け取りインスタントコーヒーの臭いを嗅ぐ。
「美味しいよ? 火傷しないように飲みな」
コクンと頷き、彼女は一口コーヒーを飲んだ。
「お、美味しい……」
「それは良かった……それはコーヒーというものだよ。大人の飲み物さ」
「大人の……」
「そう。君は立派に頑張ってるよ。だから恥ずかしがることは無いし、意地を張る必要も背伸びをする必要は無い。君は立派な大人だ」
「そ、そう……ですか……」
「だから疲れたら疲れたって言ってくれると俺は非常に助かる。あ、一応言っておくけど、カベルネの生活に合わせている訳じゃない。俺達はパートナー……違うか?」
「ぱ、パートナー……そ、そうですね……す、すいませんでした……」
あ、あれ? なんで落ち込むの? 女心は分からないよ……。
★★★★★★
私はパートナー……確かに自分で言った言葉だ。タイチさんもそう思っている事なのだろう。そして、いつかこの旅は終わってしまう可能性がある。
そう思うと再び悲しくなる。だけれど、パートナーと言ってくれるだけありがたいと思わなければいけない。タイチさんの秘密を知っているのは私だけなのだから……。
★★★★★★
「た、タイチさん……お願いがあるんですけど……」
「お願い?」
「ま、また……魔法の道具で音楽を奏でてくれますか……今度は陽気な音楽を奏でて欲しいです……」
陽気な音楽……クラッシックで良いかな? ワルツとかポルカとか……そういったので大丈夫だろうか……。
「好みじゃなければ言ってくれる?」
「はい!」
嬉しそうに返事をするカベルネ。俺は召喚する瞬間にとあるゲームを思い出す。それは勇者の子孫がとある竜の王を倒すゲーム……。
CDラジカセを召喚して出てきたのはそのゲームのサウンドトラックだった……それもⅤ。これは失敗かなと思ったが、考えてみたらこれはこれで有りかも知れない。
「気に入らなかったら言ってくれよ」
そう言ってスイッチを入れると、曲が始まる。冒険と言ったらこの曲……俺はそう思う。物語だったらファンタジーだ。意味が分からないかも知れないが、俺はそう思う。
だが、曲には人それぞれの趣味がある。
カベルネがこの曲を好むのかは、また別の話だ。
俺は恐る恐るカベルネの顔を見ると、カベルネは目を瞑って曲を聴いており、少しリズムに合わせて体を揺らしていた。
「この曲……なんだか楽しくなってきますね! 明日からまた頑張るぞって気分になります!」
「そ、そうか……それならよかった……」
それから俺達はそのサウンドトラックを何度も聞きながら食事を取るのだった。
★――――――★
名前:鈴木太一
レベル:17
力:26
器用:40
体力:37
魔力:23
スキルポイント:131
【スキル】
アイテムクリエイト(物を生み出す力)
異世界言語
異世界文字
射撃:1
気配察知:1
剣技:1
魔法感知
回復魔法:レティオ(小)
浄化魔法:ウラア
飲料魔法:ウォータ
灯り魔法:ライト
着火魔法:テンカ
格闘:2
★――――――★
名前:カベルネ
レベル:13
力:15
器用:18
体力:20
魔力:34+10
信頼度:92
スキルポイント:120
【スキル】
火魔法:ファイア(小)
回復魔法:レティオ(小)
射撃:1
★――――――★




