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召喚チート能力者の異世界ライフ  作者: マルチなロビー
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22話 優しい音楽

 俺は無線機を召喚してチャンネルを設定する。


「あ、あー」『あ、あー』


「テステス……」『テステス……』


 問題なく使用ができる。何でこんなことを考えつかなかった……そりゃ知り合いが誰もいないし、ようやくできた仲間は幼馴染みに恋している子だ……考える必要なんて無いだろうな……。


 ★★★★★★


 いきなり何か召喚したと思ったらブツブツ何か言っている。何をしているのだろう……。


「カベルネ、これを持っていてくれる?」


「え? は、はい……」


 変な小さく長細い物を渡された私。そして、タイチさんはテントの外に出てしまう……。何がしたいのだろう……。


 

『ジジジ……カベルネ? 聞こえる?』


「え? た、タイチさん? ど、どこに?」


『今持っている物からカベルネに話しかけているんだ。手元に持っている横のボタンを押して何か喋って見な。喋り終わったら手を離す』


 こ、これかな……。


「た、タイチ……さん?」


『はいはい? カベルネ。外の星は綺麗だよ』


「ほ、本当に……聞こえるんですか?」


『聞こえるよ。カベルネ』


 私は慌ててファスナーとかいうのを開けて、外を見てみる。すると、少し離れた場所にタイチさんが立っていた。そして私に手を振ってくれる。


『嘘は言ってないでしょ? ちょっと違うけど、こういう物も有るんだよ』


「も、戻ってきてくれますか……」


『了解……』


 すると、タイチさんは本当に戻ってきた。タイチさんが言っていたテレパスの魔法のような話は本当だった。


「ただいま。どう? 信じてくれたかな?」


「し、信じました……ほ、本当に……ま、魔法じゃないんです……よね?」


「カベルネはテレパスの魔法が使えるのかな? 俺はテレパスなんて魔法は知らないよ。初めて聞いた。それに、声はそこから聞こえてきたんだろ?」


「そ、そうですが……」


 タイチさんは優しく微笑み私を見つめる。ほ、本当に離れた人と話ができるなんて……。


「これは無線機っていうものなんだ。電話とはちょっと違うけど……こんな感じで話ができるんだ」


「す、凄いです……誰でも魔法使いのようです……」


 タイチさんは召喚を解除してしまい、私の手元からムセンキというものは無くなってしまう。もっと色々弄って見たかったけれど……。


「で、話を戻すけど……携帯電話って、奴では色んな事が出来るんだよ」


「い、色んな事……ですか? 遠くの人と話をするだけでは無く、他にも何かできるんですか!」


「うん。他には……分からないと思うけど、メールやゲーム……それに計算機や買い物、その一つで何でもできてしまうんだ」


 まるで夢のような道具。タイチさんが言うのは魔法の道具だ。


「め、メエルって何ですか? それにゲイム? け、ケイサンキ?」


「メールは、簡単な文章を一瞬で相手に送る、手紙のようなものだね。ゲームって言うのは……あ~……こう……なんて言えば良いのかな……遊べるんだよ。薄い……板に絵が映し出され、自分で動かしたりして遊べるんだ。計算機というのは数字を勝手に計算してくれる物だよ。それがその薄い板一枚で出来るんだ。信用できないかもしれないけど……」


 信用できる出来ないという話ではない。それはまるで物語に出てくる魔法の道具……。タイチさんは魔法の世界からやって来た人なのだ……。


 ★★★★★★


 ヤバイ、カベルネの目が輝いている。まぁ、スマホを出せば簡単なのだけれど、ネットワークが構築されている世界ではないし、通信設備が充実している世界ではないので召喚しても何もできない。まぁ、計算やタッチパネルくらいはできるだろうけれど……。


「ほ、他にはどんな事が出来るんですか! その魔法の板で」


 魔法の板……確かにそうかもしれない。だけれど、俺にとってのスマホは魔法の道具ではない。全て科学で解決されてしまうものだ。カベルネが描いている幻想とは程遠い物だろう……。


「絵がかけたり、色んな調べ物が出来たりするよ」


「し、調べもの……ですか?」


「うん。町の情報やどこで何が売っているとか……色んな事が調べられる」


「け、賢者様が……」


「違うよ。それは世界中の人がそれに情報を載せているんだ。だから皆で共有できるようになっているんだよ」


「じょ、情報を……きょ、共有?」


「うん。その板の中は、ギルドの酒場みたいなものだね。色んな人が、いつも色んな人と話をしているんだ。それを皆が見れる」


「す、凄い……ほ、本当に凄い。わ、私がいる世界の何倍も凄いじゃないですか!!」


「他にもね……」


 俺は地球の話をカベルネにしてあげると、カベルネは興奮しながら話を聞く。結構顔が近くに寄ってきていることをこの子は気が付いているのだろうか……。あ、耳の傍にホクロがあった……。


 彼女にとって夢物語のような話を俺は何時間もする。次第に彼女は眠くなってきたのか、船を漕ぎ始めた。


「そろそろ寝ようか?」


「え? ま、まだお話を聞かせて欲しいです……」


「でも明日に差し支えちゃうよ? まだ冒険は始まったばかりだ。話は沢山出来るよ。その代わり、俺が魔法の道具を一つだけ出してあげる……それで勘弁してくれるかな?」


「ま、魔法の……道具ですか?」


「俺にとっては魔法の道具じゃないけどね……カベルネにとっては魔法の道具だよ」


 そう言って俺はCDラジカセを召喚する。本当に何でもできる能力を選んで良かった。


「こ、これは……」


「さて……お嬢さん。これから吟遊詩人が奏でる曲をお聞きください……」


 俺はラジカセのスイッチを入れると、曲が流れ始める。睡眠効果がある曲と言われている奴を流す。ラジカセから音楽が流れる事でカベルネは驚きを見せるが、次第に目がトロンとしてきて小さく寝息をたてる。俺は毛布を召喚し、彼女に掛けてあげてから外に出て、有刺鉄線付きのバリケードを召喚する。これで俺達を邪魔する奴は現れないだろう。


「ふぁ~……。俺も寝るか……」


 こうして俺達の冒険が始まったのだ……。

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