19話 無駄話が過ぎると呆気ない物だよ:タイチのステータスあり
2017/04/30 修正および、文章を追加しました
休憩をはさみながら俺達は先へと進んでいく。カベルネは他にどんな食事があるのかと聞いてくるので説明が難しいというと、期待に胸をふくらませるような顔してついてくるのだった。そんなに焼きそばが美味しかったのだろうか。
カベルネが夢の世界に入っている時間はそれほど長くなく、直ぐに現実へと戻されてしまう。何故というのならば、魔物が行く手を阻むからだった。だが、予想していた通り、魔物の数は増えている……。オークやアゴブリン、それにバウンドウルフなどが出てくる数が、初めに比べると完全に違っていた。
「やはり……この先には「誰も来てもらいたくはない」って感じらしいね」
「――え? どういう事ですか?」
「魔物が現れる量が完全に違う。それに、魔物の強さが上がっているでしょ? 最初はゴブリン、次にスライム。スライムは火魔法が使えないと倒せないんでしょ? と言う事は、通常の冒険者だったら引き返さないといけない。もし、沢山の冒険者がいて……その中に魔法使いが何人かいたとする。そのあとはバウンドウルフやアゴブリンの数で引き返させる。それを突破する者がいたら、オークを投入する。そして数を増やして疲弊させたところでもう一回強い敵をぶつける。多分この先に強い敵が待っているだろうね」
地球にいた頃、こういったRPGでは良くあった話である。焼きそばを作っているときに、俺はその事を思い出した。その予測をカベルネに説明する。
「つ、強い敵と言う事は……ま、魔族ですか?」
「それは分からないけど……多分違うと思う。それに、魔族がいる場所へ辿り着く手前に、もう一匹門番らしき奴がいるんじゃないかな?」
多分、中ボスが二回ほど出てくるのじゃないかと俺はイメージする。それもタイプが異なる奴……。もしくは一匹で、結構強い奴に違いない。油断は禁物だな……。
「そ、それが分かっていて……何でそんなに冷静なんですか……」
「ん~……こういったのはセオリーだからじゃないかな? 俺から言えば王道……よくあるゲームと一緒なんだよ。それについても後で話をするから……俺を信じてくれるか?」
多分、俺が言っている意味は理解していないだろう。王道って言われても、冒険者になったのは変わらない時期なのだから。しかし、カベルネは……。
「――わ、分かりました……」
カベルネは頷き、俺は少しホッとする。何が起きたかは知らないけれど俺の事を信頼してくれるようだ。魔物を駆除しながら俺達は先へと進んでいく……すると……。
やはり、予想は的中していた。毛むくじゃらで、醜い顔した大男が現れる。こいつについてはカベルネも知らないようで、俺達は銃で応戦するのだが、何故か銃が効かないように感じる。何十発と当てているのに倒れる気配がしない。コイツをどうやって倒すか考えると、スライムを焼き殺したときの火炎放射器を思い出す。
「焼き殺すか……面倒だけど」
火炎放射器を取り出し、毛むくじゃらの大男に浴びせる。正直、火炎放射器を真正面から受けたらどんな恐怖なのかは想像するだけでも怖いものだ。旧日本軍はどんな気分だったのか……一瞬だけ、それを想像してしまった。
全身、火に包まれ息が出来なくなっているのか倒れ込む大男。俺は最強の銃と言われているデザートイーグル50 AEを召喚してその頭にぶち込む。この間、カベルネを教えたときに、自分も構え方などを練習していたのだ。だが、薬莢が俺の体に当たり少し火傷したような感覚に襲われる。
大男の頭は吹っ飛び、多分、死んでくれたものだと思う。取り敢えず火が消えるのを待ってから袋に詰め込むことにした。その間に先ほど当たった薬莢の後を確認すると、やはり火傷をしており、カベルネが回復魔法をかけてくれた。
「【レティオ】!」
傷は直ぐに治り、俺はお礼を言うと、カベルネは嬉しそうに微笑む。やはり信頼関係は大事だと思う。火の勢いは収まり、大男の死骸を袋に詰め込む。
「に、人間……じゃない……ですよね?」
「違うね。人間だったら最初に撃った銃で死んでる。こいつは直ぐに傷が治ったかのように見えた。多分魔物だよ」
「な、ならよかったです……」
「大丈夫だよ。こんなとこに人間がいるはずがない」
「そ、そう……ですよね」
しかし、デザートイーグル50 AEの威力は凄いが、毎回火傷するのはたまったものではないので、ちゃんとした服を着る事にして先へと進む。すると、一つの扉が姿を現す……。
「さて……ボスのお出ましだ。カベルネ、これとこれを持っていてくれる? これはイヤーマフと言って、こうやって装備する物だよ。音が遮断される奴だね。それにこれはサングラスと言って、こうやって使うんだ」
俺は実践して使い方を説明するのだが、カベルネは首を傾げてそれを見ている。そのしぐさは可愛い。イヤイヤ、そうではなく……。
「俺が装備しろと言ったら、これを装備してくれるか? そして、指示があるまで外しちゃだめだよ」
「わ、分かりました……」
「じゃあ、中に入ろうか……」
「はい……」
俺がノブに手を掛けると、カベルネの唾を飲み込む音が聞こえてくる気がした。そして、ノブを回し……中に入ると、どう見ても人間ではない姿をした奴が、何かの研究らしきことを行っていた。
「やっぱりトロールだけではダメだったか……」
その者はこちらを見ないで喋り始める。
「カベルネ、さっきのを装備してくれる?」
「え? も、もうですか? だって何か言ってますよ……」
「いちいち話を聞く必要は無いでしょ? あいつは魔族だよ、きっと」
「いかにも! 私は魔族だ……だが、私は高貴なる魔族。お前達のような下等な人間……」
俺達は喋っている最中にイヤーマフを装着し、サングラスを掛ける。
「おい、お前が偉そうに何かを言っているかも知れないけど、俺達には聞こえてないぞ。こっちを見れば分かる」
俺がそう言うと、そいつはユックリと振り向き、こちらを見ようとする。だって俺達が全く話を聞いていないのだからどんなことをしているのか気になっているのだもん。だけれど、こちらを振り向いた瞬間、俺は閃光音響爆弾を四個ほど召喚し、ピンを次々と抜いて魔族に投げつける。
すると、光と大音響に室内は包まれ魔族は倒れ込んだ。
一体何が起きたのかカベルネには全く分からない。俺が何かを投げたら光を発し、魔族が蹲るという状況が生まれただけだから。
俺はイヤーマフを取り外し、魔族に近づく。魔族はピクピクとして痙攣をしているようだった。
「悪いね……いちいちお前の話なんか聞いてらんないんだよ。まぁ、聞こえているかどうか分かんないけど……さっさと死んでくれる? おバカさん」
そう言ってデザートイーグル50 AEのトリガーを数回引き、魔族の脳天に弾丸をぶち込む。魔族は動かなくなり、俺達の勝利が決まるのだった。
「カベルネ、イヤーマフを外しても良いよ」
ジェスチャーで取り外すような仕草をすると、カベルネはイヤーマフを取り外す。
「――な、何が起きたんですか……」
「――閃光音響爆弾。簡単に言うと、滅茶苦茶強い光を浴びせ、目くらましをして、次に大きい音でビビらせたと言う訳だ。人間だったら心臓麻痺で死ぬ奴もいるくらいだから、大分驚いたんじゃない? んで、驚いたところに最強の銃の一つと言われているこいつを脳天にぶち込んだと言う訳……簡単な話でしょ?」
「か、簡単て……そ、そんなあっけなくやっつけられるものなんですか……普通」
「いや、無理でしょ? だけど俺にはその知識があり、尚且つその力がある。これで君の幼馴染みは死ななくて良かったんじゃないか? 来るかどうか分からないけど」
「あ、ありえない……」
茫然としながら言われる。
「有り得なくてもこれが現実……。見事俺達は魔族退治をしたと言う事になる。しかも、さっきの大男はトロールという奴だったらしいし……これで家を手に入れる資金が入ったかもしれないね。だけど、もっと他の世界も見て回りたくなっちゃったよ」
俺は微笑みながら言うと、カベルネは顔を引き攣らせる。一体何が起きたのか……カベルネには理解が出来ないのだろう。
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名前:鈴木太一
レベル:15
力:25
器用:35
体力:35
魔力:22
スキルポイント:111
【スキル】
アイテムクリエイト(物を生み出す力)
異世界言語
異世界文字
射撃:1
気配察知:1
剣技:1
魔法感知
回復魔法:レティオ(小)
浄化魔法:ウラア
飲料魔法:ウォータ
灯り魔法:ライト
着火魔法:テンカ
格闘:2
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名前:カベルネ
レベル:10
力:12
器用:12
体力:18
魔力:28+10
信頼度:80
スキルポイント:90
【スキル】
火魔法:ファイア(小)
回復魔法:レティオ(小)
射撃:1
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