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召喚チート能力者の異世界ライフ  作者: マルチなロビー
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14話 初めて何かを成し遂げた時って、実感が湧くまでに時間がかかるよね。

「――やっぱり、私は駄目ですね……」


「何を言ってんだよ……まだ練習初日だろ? そんな簡単に当たるはずないだろ。講習の時だって弓が使えるようになったのは数日後だったじゃないか。諦めるというか、悲観しすぎだよ」


「そんな……ものですか?」


「そんなもんだよ。焦らずゆっくりやっていこう。慌てる必要は全く無い」


 俺達はギルドハウスへ戻り、食事をしながら話している。結局、カベルネは一度も的に当てる事が出来なかった。カベルネは落ち込み、慰めるためにギルドハウスで食事をすることにし、代わり映えのしない料理をたべていた。


「明日も頑張ろう。どうやったら的に当たるか……俺も少しだけ調べるからさ」


「――調べると言ったって……センスってものがあるじゃないですか。……私には無いんですよ……きっと」


 一度も弾が当たらなかったことが相当ショックだったのか、落ち込み具合が激しい。


「さっきも言ったろ? まだ一日目だって。明日には的に当たるよ。もっと違う方法を考えてみよう」


「……はい」


「そ、それよりさ……」


「はい?」


「そのローブ……似合ってるよ。言うのが遅くなったけど……」


 このまま練習の話をしても、先に進まないし、傷口を広げるだけだと思い、話を変える。正直、言うのが恥ずかしくって、言いたくはないのだが……背に腹は代えられない。


「あ、ありがとう……ございます////」


 俺の言葉が相当恥ずかしかったのか、カベルネは顔を赤くして食事をするのだった。まぁ、言った俺も顔を赤くしているのだろうけれどね。


 宿屋に戻り、俺達は別々の部屋に入って行く。俺は直ぐに銃の撃ち方が載っている本を召喚し、研究を始める。ここ数日、彼女中心の生活になってきている気がするが、仕方ないだろう。彼女が使い物になってくれないと、これから先、困ってしまうし、俺と別れ、彼女一人で冒険することになった時、何もできなくて死んでしまうと、夢見が悪い。


 スキルで射撃能力を上げた俺は、銃の練習なんて全くしないで、何となくやり方などが理解できたが、こうやって調べて行くと、銃の撃ち方は何種類かあって、昔見た映画などで構えている銃の持ち方は全く意味が無い事が分かる。


 明日、カベルネに教えてあげたら彼女は喜ぶだろう。早くウサギの一匹でも狩らせてあげたいものだと、そんな事を思いながら俺は眠りについた。


 翌日になり、宿屋の前で待っていると、カベルネがやって来る。女性が遅れてくるのは仕方がない事だというのは、日本では殆ど当たり前だと言う事は、漫画の本や雑誌で読んだから大丈夫。こういうのは笑って終わらせるのが男ってものだろう。きっと……。


「――お、遅れてしまいました……すいません」


 ようやく来たカベルネ。俺は定番の言葉を言ってみることにする。


「大丈夫だよ。俺も来たばかりだから――」


 漫画の本や雑誌で書かれている、あの言葉をそのまま言ってみる。はたして異世界でも通じてしまうのか……試す必要はあるだろう。


「あ、ありがとうございます////」


 少し顔を赤くしてカベルネは答える。定番の言葉は間違っていなかったのだろう。それに今日は寝癖を直しているのでそう言った事に時間がかかったのだと思い、女性は身嗜みが大切だと思いながら言う。


「じゃあ、練習しに行こうか」


「は、はい! 頑張ります!」


「うん、だけど肩の力を抜いて頑張ろう。毎回言うけど、慌てる必要は無い。ゆっくり着実に、一つ一つ憶えて行けば良いのだから……」


「――あ、ありがとうございます!!」


 その後、練習場所についてカベルネと話し合いをした結果、昨日と同じように町の外で練習をすることにして、俺達は西側の入り口から町を出て、昨日と同じ場所で練習を再開する。


「えっとね……カベルネ、銃の持ち方はこうで……ここを見ながら狙うんだ……試してごらん。腕は……」


 本の受け売りだが、昨日とは異なり、しっかりと指導する事ができ、カベルネは徐々に的に当てていくようになる。一発当たるごとに彼女は喜び、嬉しそうな顔をして飛び跳ねていた。


「――これは弓でも似たような感じだった記憶がある。しっかり狙いを定めるのはもちろん腕を真っ直ぐに……」


 自分で銃を撃つときの感覚や、弓を使ったときの感覚を思い出しながら説明をしていき、練習は繰り返される。暫く練習すると、弾丸は的の中心部分に当たり始め、俺は練習を切り上げる事にする。


「よし、じゃあ……次は本番をやってみよう」


「――ほ、本番ですか」


「先ずはウサギを狩って見よう。それなら怖くないだろ?」


「はい!!」


 元気よく返事をするカベルネ。俺の気配察知でここらに何かの動物がいないか探す。暫くして、何かの気配を察知し、その方向へと向かうとウサギを発見し、カベルネは銃を構える。だが、その手は震えていた。


「――カベルネ、気持ちは分かるけど、先ずは落ち着いて……一つ深呼吸をしよう。大丈夫……。カベルネはあのウサギを倒すことができるよ」


 優しく背中をポンポンと軽く叩くと、カベルネは深呼吸を始める。そして、再び銃を構えると、ゆっくりとトリガーを引く。


 慎重に狙ったカベルネの弾丸は、見事、ウサギに当たり、ウサギはその場で倒れる。俺達は急いでウサギに駆け寄ると、ウサギはまだ生きており、瀕死の状態でピクピクとしており、カベルネは自分がやったと言う事に驚いて銃を見つめていた。


「――カベルネ、ほら……止めを刺してあげないと……可哀想だよ」


「は、はい……」


 俺の言葉で我に返り、返事をしたカベルネは、持っていた銃のトリガーを再び引き……瀕死のウサギに止めを刺した。


 それから何匹かのウサギをカベルネは仕留めて、俺達は町へと戻ることにした。自分が倒したことにより、興奮が収まらないのか、カベルネは何度も同じ事を言っており、俺はそのたびに相槌を打っていた。そしてギルドハウスへと到着し、中へ入っていく。


「ほら、カベルネ……これを換金してきなよ」


 俺はカベルネが倒したウサギを手渡そうとすると、カベルネは震える手で「それ」を受け取り、ベガルタさんのところへと向かった。


 俺は適当な席に座ってカベルネが戻って来るのを待っていると、不思議そうな表情でカベルネが戻ってくる。


「――ほ、本当に私が倒したんですよね……」


 カベルネの手には、換金したガルボが入った袋があり、ウサギを換金したことを証明している。


「そうだよ。その手に持っているガルボがその証拠だ。これでカベルネは立派な冒険者だね」


 俺は、笑いながら言うと、カベルネは時が止まったような顔して呟く……。


「――わ、私が……冒険者……??」


「だって、一人でウサギを倒せたんでしょ? 聞くところによると、稀に大人でもウサギに殺されることがあるって話じゃないか」


 俺がこの町に来てダレルさんに教えてもらった事だ。まさかウサギ如きに殺される大人がいるなんて考えられないと思うが、この世界のウサギは凶暴だ。なんせ唸り声を上げるほどの奴だから。つぶらな瞳をしているウサギとは異なり、目はつり上がり、本当に睨んできているのではないかと思わせる奴……。何故、ウサギが凶暴なのか……それは、誰にも分からないとのことだった。


「わ、私……」


 まだ実感がわかないのだろう。換金して、自分で仕事を成し遂げたという実感を持てないカベルネ。仕方がないので俺は言う。


「さぁ、今日は祝勝会だ! カベルネの勝利を祝って食事をしよう!」


 そう言うと、小さい声で「祝勝会」と呟き、笑顔で返事をする。


「は、はい! ありがとうございます! タイチさん!」


 カベルネは俺の前の席に座り、俺達はギルドハウスで食事をしてから宿屋へと戻っていき、明日からは東側で狩りをするという話をしてから休む事にしたのだった。

2017/4/22 修正および、文章追加しました。

2023/1/22 再修正

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