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初投稿です。
よろしくお願いいたします。
あたしの名前は福田杏莉。
歳は…アラサーっていい言葉ね。
いい年して正社員ではなく、フリーター。
生活出来てるからいいのよ。
月の半分くらいは入ってるスーパーの勤めから帰って、夕飯食べて、お風呂入って、少し本を読んで寝た。
――よし、ちゃんと覚えてた。
何故そんな確認作業をしたかといえば――。
「……ジャングル?んにゃ、森か?」
今あたしが寝転がっている場所が、どう見ても森の中。
しかも、今声を出したけど、自分の声じゃないみたい。
やや高い声。
寝起きだからか?
とりあえず起き上がって周りを見てみる。
木々は結構しっかり生えているので、上を見上げれば枝葉で空があまり見えない。
地面は枯れ葉が積もった柔らかな土で、苔もある。
立派な森だ。
そして自分を見下ろす。
着た覚えのない白いワンピースを着ている。
なんか背が縮んでないか?
手足が小さいし、細い。
ってか、こんなに白かったっけ?な肌。
しかも裸足だ。
あたし、どうしてこんな所で寝てたの?
夢遊病ではないし。
大体あたしの家の近くに森はないし。
もしや、一部で人気の異世界トリップなるものか?
でも、その場合まんまのあたしがここに居なきゃならない。
ということは、異世界転生の方?
え?じゃあ、あたし一回死んだの?!
いやいやいやっ!
寝ただけで死ぬって!
あ、でも突然死って可能性もあるのか。
………落ち込むわぁ。
って、落ち込んでる場合じゃない。
あたしは今ここに生きてるし、もう一回人生やり直すつもりになればいいじゃない。
ポジティブにいかないと。
とりあえず、この森を出て、人がいる所まで行こう。
ここが何処だかもわからないし。
裸足だけど土が柔らかいので歩けた。
歩き出して更に気づいた。
やっぱあたし縮んでるわ。
足が短く感じるもん。
森を出るのにどの位かかるかな?
まさか野宿、なんてことになったりして。
いや、一回野宿したことになるのか。
森の中で寝てたんだし。
ぽてぽて歩いていると、先の方が明るく見える。
森が切れてる所かな?
やったー!森から出られる!
なーんて思ってたら、背後から唸り声が聞こえた。
恐る恐る振り返ったら、森の楽しい仲間がいた。
熊です。
落としたイヤリングを拾ってくれたり、犬と闘ったりする動物ですよ。
しかし、あたしは敵認定されたっぽい。
「ひぃーっ!!」
一目散に走り出した。
すぐそこが森の外だしね!
しかしこの身体は走るのも遅い!
いや、リーチがないのか。
真後ろで熊がハァハァいってますよ!
やばい!マジやばい!
走って走って、やっと森を抜けた。
と思ったら、目の前にずらりと並んだ制服姿の男の人達。
なんぞや?いや、何事?
森から走り出てきたあたしに、みんな驚いてるみたい。
そりゃそうよねー。
ごめんなさいねぇ、驚かせて。
あたしも驚いたけど。
熊もあたしと一緒に出てきちゃったらしく。
男の人達が一斉に剣を抜いた。
剣!!
剣持ってるよ!
ますます異世界ですよ!
あたしは並んでいる男の人達の間を走り抜けて、止まる。
息が、もうダメです。
運動不足かしら。
あたしがぜぃはぁいってる間に、熊ちゃんは男の人達に退治されちゃった。
ごめんよ、熊ちゃん。
ふと気づくと、男の人達があたしを囲んで見てた。
え?何?どこか変?
もう本格的に気づいたけど、あたし、子供になっちゃってるんだわ。
男の人達の背が高いもん。
「副長!子供ですよ!?」
「どうしますか?!」
青い制服っぽいコートを着た男の人達が騒ぎ出す。
すみません、不審人物で。
男の人達の壁をかき分けて、一人の男性がやって来た。
金髪や茶髪が多い中で、この男性は短い銀髪。青い瞳。
わーお。外人さんだよ。
いや、よく見ると、周りの男の人達もみんな白人顔だ。
銀髪の人は副長と呼ばれてますね。
この人達の中で偉い人なのかな?
じっとあたしを見てたと思ったら、突然あたしを抱き上げた。
「城に連れて行く」
はぁ?!城?!
ちょっと、困るんですけど!
突然城とか、ハードル高い!
一般的な村とか町とかに行きたいんですけど!
「ムルジム副長。先程のグリズリーが、報告にあった個体の様です。これで村の被害もなくなると思われます」
短い茶髪の人が報告する。
「そうか。とりあえず、半分は残って村の警護を続けろ。別の個体という可能性もあるからな。他は帰還」
「はっ!」
ムルジムさんというのですね、この銀髪さんは。
何故か大事そうにあたしを抱き上げてますけど。
そして、そのまま馬に乗っちゃってますけど。
待ってー!!
あたしは犯罪者じゃないからー!
ドナドナな気分ですよ。
城、怖い。
読んでいただき、ありがとうございました。