表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/10

6話、父親の帰還

6話


ハイハイができるようになってから俺は部屋中ハイハイして体を鍛えている。言葉を理解してから「ばばば」「ぶぶぶ」と発声練習をはじめておりもうそろそろ単語で話せるようになるんじゃないか?。物事への理解は前世の経験があるのだから。

 そんな元気な姿をネリアさんはほほえましそうに見てくれている。この数か月間ずっと俺の世話をしているわけだけどつまらなくないのだろううか。まぁ俺は意味もなく泣いたりはせずおなかがへったなどの用のある時しか泣かなかったから手間のかからない赤ん坊だと思うのだが・・・。

食事もおっぱいから離乳食に変わって体の成長のほうは順調だ。



そこからものをつかんで立つ「つかまりだち」ができるようになったある日、部屋の外が騒がしくなった。

バンッと勢いよく部屋を開けて母親のセレスティアが入ってくると俺のことを抱き上げて

「隣国との戦争が終わったからジークのお父さんが一か月後に帰ってくるわよ!」

そういいながら今度は俺を高い高いしながら嬉しそうに話す。

すごいことに今世の父親アレックスと言う名らしいのだがいくつかの部隊と兵を率いて夜襲を仕掛け大将を討ち取る際に活躍したらしい。ここから遠く、戦後処理もあるが一か月で帰ると豪語しているらしい。

それは帰ってきて大丈夫なのだろうか?


あとから気づいたが俺の家は大富豪どころか貴族の領主さまらしい。正直こっちのほうが驚いた。


_________________________________________________


俺は発声練習の時間を多めに取りまずは母親に「せれー」と言ってみた。

ネリアさんが母親のセレスティアのことをセレス様と基本的に呼んでいるからだ。

そしたら大はしゃぎしてアルバート兄さんとレオン兄さんを呼び、目の前で何回も「せれー」と呼ばされた。レオン兄さんは迷惑そうにしていたが、アルバートお兄さんに

「レオンがしゃべった時もこんな感じだったよ」と聞くとなんか微妙な顔をしていたのが印象的だった。


なぜ俺が発声練習の時間を増やしてこういったことをしているのかというと、俺は自分のために無理して帰ってくるであろう父親アレックスのために「おかえり」といってやるためだ。




そして、父親が帰ってくる日が来た。

父親アレックスが屋敷に戻ってくるのを大広間で待つ、俺はネリアさんに抱えれれて兄さんたちの横でモチベーションを上げていた。さて俺はこの日のために練習を重ねてきた俺の「おかえり」が火を噴くぜ!


大広間の扉が開き鎧姿のまま父親と思わしき黒髪の偉丈夫が入ってきた。すぐ後ろには家令のクラリス(という名前だったはず)が付き従っていた。

「みんな!げんきにしていたか!」

勢いよくそういうと、はっはっはっと愉快そうに笑う。

「あなたも無事で帰ってきて何よりだわ!」

おお母親セレスティアが凄くうれしそうだ。こどもが三人いるのにいまだに俺の両親はラブラブらしい。二人で抱きしめて喜びを分かち合っている。この二人、顔のいい偉丈夫と絶世の美女というコンビなのでとても絵になる。まるで物語の一ページのようだ。

「父上、お帰りなさい。戦場での活躍お疲れ様です。」

アルバート兄さんはそう礼儀正しく、子供とは思えない所作でそれでも嬉しそうに微笑み父親を労った。

「おう!お利口にしていたようだな!えらいぞ」

父親アレックスはアルバート兄さんの頭をなで繰り回す。

「父上!父上の戦場の活躍が聞きたいです!」

レオン兄さんはいつもも元気いっぱいだが今日はいつもよりも元気いっぱいだ。

「おう!後でたくさん聞かせてやろう」

父親アレックスはレオン兄さんの頭を乱暴になでまわす。


さて次は俺の番かな

「ネリアさん」

「はい」

母親セレスティアがネリアさんに声をかけると俺をネリアさんが渡す。

「これが私たちの3人目の子供『ジーク』よ!」

母親は俺のことを誇らしそうに紹介した。

「おお!よく無事に生んでくれたねセレスティア、ありがとう」

そう言ってアレックスはセレスティアの綺麗な青髪をなでた。そして父親アレックスは俺に向かって

「俺がジークのお父さんだぞー」

と優しく言う。


「おかーりぃ」

舌足らずな幼くキーの高い声が言葉を紡ぐ。

俺が父を労ったことで周囲はすごく驚いている。

ふふふ俺はこれを楽しみに練習を続けてきたのだ。

父親アレックスはぽかんと一瞬思考を停止させた後にがばっと俺ごと母親を鎧を着たまま抱きしめて・・・っていたい、いたい、いたい、いたいいい、うううううぅ

「うわぁ~~ん」

俺は転生したこの体で痛みを経験したことがなかったといえるぐらい少なく、幼児の体では痛みに耐きれず体の制御もままならず大泣きしてしまった。

あぁせっかくのサプライズが・・・。


しかし今世の家族はとても仲が良く、いい家庭環境だといえよう。早く話せるようになりたいものだ。

そして俺は泣き疲れて眠ってしまい大広間から退出し自分の部屋に連れていかれた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ