4話、転生先へ
4話
どうやらまだ俺の来世は始まらないらしい。入ってきた扉が次の行き先とつなげたらしくそこにいる異世界の管理者に話を聞くように言われた。
「おぬしは話しやすく理解も早かったからこちらに便宜を図ろう。」
それはありがたい。実は俺は奨学金で学校に通っていたから今は思い出せない親への申し訳なさがすこしあったのだ。
「では両親が老後も穏やかに過ごせるようにしてください一応親孝行をしたと記憶しておきたいので。」
もう家族とどういった日々を過ごしたのか思い出せないので管理者経由で親孝行をしたことにさせてもらおう。
「ほほぅなかなかよいこというのう。わかった両親には幸福が訪れるよう調節しよう」
これで前世での心配はなくなったかな?それでは来世の管理者の部屋に行こうかな
「では僕は次の説明に向かいたいと思います。丁寧で分かりやすい説明といろいろと便宜を図っていただいたことありがとうございました。」
そう礼をして俺は来た時と同じようにシックな扉をくぐりその部屋と前世を後にした。
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扉の先には司書さんがいた。本を返却した時に俺に注意などをしてくれた司書さんである。
おそらく俺の記憶の最後から二番目の俺について詳しくなく、俺の前世の情報がわからない存在だからだろう。もちろん中身は来世の管理者さんだろう。
「いらっしゃい、あちらからの転生者よ。理解している通り私はお前の記憶のなかの司書ではない。ここではお前の来世の世界について少しばかり話す」
聞いていた通りだ。聞き漏らさないように注意して聞こう。
「まず魔力喰いを討伐した後減った魔力を補てんするためにお前たちの世界の魂を器として採用し特殊な空間でそれぞれが前世の個人を特定する記憶を消去した。ここにいるということは自分の身の回りや住所、誕生日、自分の最後の記憶の日付まで覚えていないはずだ。これは前世との関わりを消去することで向こうとこちらの両方へ影響の出る可能性を減らすためでもある。しかし、こちらの都合で他とは違うことをさせるので生活に役立つ知識や向こうに行ってから活用できそうな知識はアドバンテージとして覚えていられるように調節されている。これは、私達管理者からの特別な計らいだ」
なるほど、いわれてみればあの空間で最初に死ぬ直前の記憶について探ったときは何月の出来事か覚えていた気がするが、今は思い出せない。春だったような気もするし夏だった気もする。おそらくあの空間にいるうちにじわじわと記憶が消去されていったのだろう。
そして知識、これはでかい、知識や学はその必要性を知識や学として学ばなければ理解できない。知識の重要性だけで十分アドバンテージだと思うが、前世で学んだであろう知識もついてくるなんて正直かなり破格の条件だろう。
「あとお前より先に転生を果たした者たちとはおそらく合わないだろう転生者同士が時代的にかみ合う時期があったとしても魔力の分散の面で遠く離れて転生してもらうからだ。会いたければ別大陸に行くぐらいの労力が必要だと思われる。まぁその大陸に転生者が時代的にいるのかもわからないのだが。」
あー、ほかの転生者とは会えなさそうだなできれば前世知識の交換会を行いたかったが・・・。仕方ない。
「今魔力の分散について話したがお前が生まれた瞬間に魔力の補てんが完了するから無理に拡散するために魔力を使いまくる必要はない」
つまり俺が生まれてからすることはほとんどないと思っていいのか。では次の人生は幸福に過ごし老衰で死ねるよう努力しよう。
「何か質問はあるか?」
そうきいてくる。
「僕の来世の異世界と前世には他になんか差異はありますか?」
特に思いつくことがなかったので大雑把な質問をしてみた。
「ふむ、聞かれたからと言って事前知識として教えておけることは非常に少ない。魔力を使い自然現象とは違った現象をこちらの生物が扱うことができる魔法があり生物にも影響を与えている。本来物理現象的にあり得ないものも実現可能だ。それによる差異は大きいものとして魔力で前世の技術より優れたものや魔力に頼りすぎて発展しなかった分野もある。」
これは、魔力というものが存在すると聞いたら前世で男子としていくつかゲームをプレイしたことがある人なら遅かれ早かれ予想するものだろう。そこに加えてファンタジーを題材にした小説も多く存在したので説明がすんなりと理解できた。
「そうですか。すみません。思いつくことはなさそうです。」
今現在ではこれ以上予測や予想ができないと判断して俺は質問を切り上げることにした。
「そうか、ではあちらとは異なる世界で新たに生を受けるまでしばし眠るがいい。」
そういわれるとともに俺の意識は遠くなり来世へと旅立つ。