この世界にも学校がある
9話
俺がこの世界にジークとして転生してから二年の月日が経過したと思われる。
身体もゆっくりと大きくなっている。
そして、俺の言語能力も一段階解放されたのか言葉で多少の意思を伝えることができるようになった。
これは、前世でも二歳児というのは、「言葉の爆発期」と呼ぶ人がいるぐらい語彙が増える時期なのでそれに合わせて解放されたのかもしれない。
順調に俺の体や言語能力のほうは成長しているようだ。
そして、魔力のことだが体内の魔力を少しづつ動かせるようになった。
これにより体内の魔力を感じ取る作業に加えて実践的な魔力を動かす鍛錬もできるようになった。
こうなってから俺の本来の目的が魔力を使った身体強化で長時間歩くことだったことを思い出した。
正直俺が身体強化を使えるようになるころにはある程度歩けるようになってしまっている気がする。が、だからといって魔力の鍛錬をやめるつもりはない。幼児の俺にはそれぐらいしかすることがないしな。
そんな二歳児を過ごすある日、母親が兄さんたちをつれて俺のことをかわいがりに来た時に俺たち兄弟を眺めながら言った。
「来年になるころにはアルバートが学園に行ってしまうのよねぇ・・・息子たち3人をそろってみていられるのはしばらくなさそうねぇ」
ふむ、こちらにも学校があるようだ。
「僕としてはもう少し早くから通いたかったですけどね、このグリフィス領の領主に相応しくなりたいですから」
アルバート兄さんは領主として立派になるために常日頃から努力をしている。
貴族の長男は後継として大きな問題もなければ領主を任されることになる。アルバート兄さんは問題があるどころか優秀なのでこの領地はアルバート兄さんが継ぐことになるだろう。
また、レオン兄さんはアルバート兄さんが病気などで倒れてしまったときのスペアとしての役割がある。
しかし、三男の俺は何か次ぐこともなければ領地に残ることもしなくてもいい。自由だと思うかもしれないが貴族としての地位を守るには他の貴族と結婚するか、騎士や王宮の高位の役人になるしかなく、あとは平民の身分に落とされるらしい。
「でも来年学園に行って帰ってくるのは5年後、帰ってきたときには入れ替わりでレオンが学園に、その5年後にはジークが学園に入るからみんなが揃うことは15年後よ!」
なるほど子煩悩の母上には厳しいものがあるだろう。
そのあとなんとかネリアさんが母上を慰めたが年があける前にアルバート兄さんが王都に行くことになると
次第に不機嫌になったがそれでも母親として子供のやりたいことを優先するようである。
そしてジーク兄さんが旅立つ日を迎える。