突然の来客1
まだ日が昇ってまもない時間、ウィリアムは布団の中にいた。
東側の窓から射し込む光がわずかにウィリアムの顔を照らし、ウィリアムの見事な金髪がきらきらと輝いた。
「ウィル?ウィリアム、起きて?」
白く柔らかい手がウィリアムの髪を撫でた。
「なんだよ。今日はゆっくりでいいって言ったじゃないか。」
ウィリアムは手を軽く払いのけ、布団を深く被り不機嫌な声で言った。
「昨日、カーソンお前が遅くまで起こしてたから僕は寝不足なんだぞ。」
白い手の持ち主はウィリアムの耳元で優しくささやいた。
「ふふ、ウィルったらカーソンと夜遅くまで何してたのかしら?もしかして、いやらしい事?」
はっとしてウィリアムは声の主を見た。それはカーソンではなく背の高い十代後半の赤毛の少女だった。
「お前、シュガーか?」
ウィリアムはとっさに体を布団で隠しながら尋ねた。
シュガーと呼ばれた少女は嬉しそうに笑った。
「ああん、正解!久しぶりね。元気してたん?」
ウィリアムはシュガーの言葉を無視して乱暴に呼び鈴を鳴らす。
「カーソン!早く来い!!」
数十秒後、カーソンがウィリアムの寝室にやって来た。
「お呼びでございますか、坊っちゃ……。」
カーソンは寝室の様子を見て絶句した。
ウィリアムのベットの上でウィリアムの体に覆い被さるようにシュガーがいたからだ。
「ああ、なるほど。坊っちゃんにもそのような時期が来たのですね。」
カーソンはしみじみと感慨深そうな顔をする。
「お取り込み中のようですので、私は失礼させて頂きます。また、何かありましたらお呼び下さい。」
「待て、カーソンそうじゃないだろ!早くこの女を僕の寝室から追い出せ!」
ウィリアムは半分泣きそうになりながら叫んだ。シュガーは二人の様子を見ながら、相変わらず仲が良いのねーとのんきに笑っている。
「やれやれ、坊っちゃんには軽い冗談も通じませんか……。」
カーソンはやれやれと頭を抱える。
「あら、でも私はウィルに女の子というものを教えてあげてもいいわよん?」
シュガーの言葉にウィリアムは布団を強く抱きしめた。特に胸を隠そうとして。
カーソンはウィリアムのその様子を見てそろそろ可哀想に思えてきた。
「シュガー様、坊っちゃんは着替えをしますので寝室のお外に出て頂けますか?お茶とお菓子を用意しますので応接室でお待ち下さい。」
恭しく礼をするカーソンを見てシュガーはウィリアムのベットから離れ、カーソンに近づく。
「相変わらず、いい男ねん♪
分かった。ウィルのお着替えが終わるまで大人しく待ってるわん♪」
シュガーは二人を見てにやりと笑う。
「でも、忘れないでね。このシュガー様が来たのは特別な用件があるってこと。ウィリアムにとって、いいえ、二人にとって大事なことよ?」
笑っていても本気だとわかる顔でシュガーが言った。ウィリアムは一瞬、シュガーの言葉に寒気を覚えた。そんなウィリアムにシュガーはウィンクを1つ残して寝室から出て行った。