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生と死の狭間で  作者: いもけんぴ
第一章  異世界へ
6/6

謎の世界

「ここは……どこだ……?」

 

 目が覚めると、草原のど真ん中に倒れていた。

 周りを見渡しても、遠くに山が見えるだけで他には何もない。

 体を動かしてみても何ともないので、怪我もない様だ。

 

「普通に考えて……死後の世界とかか?」


 とりあえず口に出してみるが、疑問に答える相手はもちろんいない。


「とりあえず誰かいないか探してみるか」


 歩きだそうとしたところでふと足元を見ると、刀が落ちている。


「これは……同じだな」


 拾い上げた刀は、火事の中で見つけたものと同じだった。


「冥土の土産ってやつか?とりあえず持っとくか」


 刀には下緒がついておらず、着ている服も制服のままなので、仕方なく左手に持って歩くことにする。

 






 歩くことおよそ一時間。

 山の麓にたどり着く。


「人を探してるってのに山に来るとは、我ながら阿呆だな」


 刀に気を取られて全く考えていなかった。

 着いてしまったものはしょうがない。

 当の刀は、歩いているときに試しに軽く振ってみたが、驚くほど扱いやすかった。

 それに、なんだか身体能力も上がっている気がする。

 まだ歩いただけだが、視力は上がっているし疲れも全くない。

 もしかしたら死人補正みたいなものがあるのかもしれない。

 

「それにしても腹減ったな。死んでも空腹感があるとは」


 勝手に死後の世界と決めつけて考えているわけだが、興味は目の前の山に向いている。

 目の前には、今まで見たこともないような木々や花々が生えているのである。

 とにもかくにも、何か食べるものを見つけるためにも山に入ることにする。





 山に入ってしばらく歩いたが、食べ物どころか生き物すらいない。

 見たこともない色鮮やかな植物も少々見飽きてきた。

 それにしても疲れない。

 途中走ってみたりして、すでに山の中腹あたりまで来ていると思うが、ほとんど疲れていない。

 ありがたいことなので別にいいかと思いながらも、やはり空腹感だけは無視できない。


「何か食べられそうなものはないか……」


 そう呟いて、なんとなく空を見上げると、赤い実がたくさん実っていた。


「あれは……いけるか?」


 食べられそうなものを見つけたのはいいが、実がある位置が少し高い。

 刀を鞘に入れたまま、実を叩き落そうとその場で跳躍する。




 ガサガサガサッ


「ぐおっ!」


 頭から木につっこんでしまった。

 明らかに身体能力が上がっている。

 もはや人間ではない気もする。

 しかし、そのおかげで実がいくつか落ちてきた。

 

 実をよく見てみると、淡い赤いをしており、表面はざらざらしている。

 刀で半分に割ってみると、実は薄い黄色でリンゴのようである。

 匂いはほんのり甘い香りがする。

 今まで長い間山で暮らしていた時に培った、口にしていいものと悪いものをなんとなく見分けられる勘のようなものが、この実は食べても大丈夫だと言っている。

 この勘に裏切られたことはないので、意を決して口にする。


「……うまい」


 普通にうまかった。

 みずみずしいリンゴのような食感で、味は桃の上位互換のような……。

 上手い例えが思いつかないが、とにかくうまい。

 それから五つくらい食べたが、全くしつこくなく飽きもないので、軽く食べられた。


「さて、腹も膨れたし、軽く運動でもしたいな」


 とりあえず山頂に向かって走り込みでもしようかと思ったとき、背後の茂みから突然何かがとびかかってきた。

 

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