表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/111

暗黒《道具屋スケルトン》

一方的に喋りまくる店主の話しが鬱陶しい。


聞くともなしに、黙々とミカンを食べる。


黙々と、もぐもぐ似てるよね~?


『濁点付けたダケじゃろ?』


うっさいジジイ。現実逃避だ。見逃せ。


『確かにコレは、現実逃避もしたくなるのう…?』



暗い。暗すぎる。



グチグチと、話す内容もそうだが、店内も暗すぎる。


まず窓が無い。

風も入らない店内は空気が淀み、ますます『どよーん』と


よりいっそう、暗くなった気がする。


そして、家具まで、黒い。

何故かと店主に聞いたら、


「防腐対策」らしい。


風の入らない店内に、普通の家具では、カビがものすごく繁殖したらしい。


苦肉の策の、まさかの自作であるらしい。


そうは見えないけど、一応アイテム屋だしね。

値段の高い、殺菌魔法の付与してある、防腐剤を散布したら、こうなったらしい。



ソレ、ただの炭じゃねぇのか?と、突っ込み入れたい。


電気の灯りの代わりになる 、魔石のランプは費用が嵩むため、燃費が悪い。


魔石が高いからだ。魔石はモンスター素材のひとつで、身体に出来た、胆石のようなものらしい。


胆石の大多数は、過剰分泌された胆汁が、血液内の蛋白質と、脂肪、その他モロモロの成分が、だんだんと団子のようになって、石状になったものらしい。



魔石は魔力を持つモンスターだけが、体内の過剰魔力を排出出来ないでいると体内の老廃物と混ざり合い、団子状になり結晶化する。

ソレは魔石と呼ばれ、魔力を含む為、色々な用途に売り買いされる。


余談だが、シュウ酸を過剰摂取すると、尿路結石等々に、なりやすいと言われている。

私も食事には、気をつけよう。うん。



魔石はモンスターを倒しても、ザクザクは採れないらしいので、どうしてもちょっとだけ高額になる。


はあ…老廃物とか…


またもや異世界ロマンが去って行く。


自分、泣いてもいいですか?


スキル発動しとかないと暴れるな…



―スキル《達観》を発動―


ふう…落ち着いたら、茶を飲みたくなったぜ。


とにかく、魔石ランプは、臭いは無いし長時間持ちはするけど、ススが出る。

そう、何故かススである。


魔石を毎日使ううちに、部屋の壁や天井を黒く染め上げたとか。


燻し銀?

硫化でしょうか?


またもや『あり得無い』と、言うぐらいキレイに黒く染まったらしい。



魔石を魔法で加工したものが、魔法石だという。


コレを使えば、魔石代(電気代?)いらず。買えばいいと普通は思うよね?


ところが、である。


魔力さえ込めれば、何年でも使えるため、人気があり、かなりのお値段で、家が一軒程、買えるらしい。


お貴族様~か、豪商様~な、方しか買えないとか?

『金色の小鹿亭』に、たらふく使ってあったけど…。気のせいか?


どんだけ高いんだ。とにかく、論外。


ランプの燃料に、植物や動物の油は、安いが長時間はもたず、かなり臭いので商売上論外。



結論『ムリじゃね?』



まず、窓を作り採光しろ。そして窓開けろ。風を入れろ。壁紙張り替えろ。家具替えろ。暗くて、商品見えないし、キチンと照明配置しろ。顔すら見えない店なんて、当たり前だが誰も来ない。不気味だし!



『あの~じゃよ?そのなぁ…とっても、言いにくいんじゃが。魔法石……借りればいいと思うんじゃよ?』


は?何?話しが見えない!ジジイ詳しく話せや。『うむ。商売をするに当たって、まず、商人ギルドという組織に登録するんじゃ』


うむうむ。


『それでの……商人ギルドに申請すれば、一般人でも魔法石レンタル出来るんじゃよ。誰でも。』


は?


『要するに、借りればオッケーじゃよ?月々、レンタル料金は掛かるが、魔石買うよりはるかにリーズナブルじゃよ?』


え!?そうなん!?


『うむ』


じあゃ、何で借りないの?

コイツはバカ?


『う~む。借りない理由は本人に聞くがよい。ワシにも分からんのぅ~』


えー!コイツと喋るの嫌!暗くなりそう。

しかし、それじゃあいつまでも帰れない。仕方無いか…はあ~いやだなあ。


「えーと店主さん。どうして商人ギルドに、魔法石借りないの?レンタルで貸出ししてるはずでしょ?」


「え!?借りるなんてナンセンスでしょ?自分で買ってこそなんぼでしょっ!?」


「……はい?ゴメン。聞こえてたけど、もう一度言ってくんない?」


「だから、借りるなんてナンセンスでしょ?自分で買ってこそなんぼでしょっ!?」


あ、ダメだコイツ。

あたまプッツン系の人には、一般常識でも、なに言っても通用しない。

自分の理論と理屈だけで、生きて居るからだ。


「さて、帰るか」



おもむろに立ち上がり、出口に向かう。





「あれ?」


何故か、歩けど歩けど進めど進めど、前進しない。


足踏みしている?…いや、確かに足は地面を蹴っている。


「ムダムダムダっ!私の黒魔法で、貴女は帰れないわっ!」


―プッツンしていいですか?―


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ