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旅は道連れ、ワタシャマタズレ(ぇ

なかなか進まない道中に、なかなか変わらない景色


「あきたっ!」

「ママ~っ!オモチャ欲しい~っ!」

「がうっ~?!」

『こりゃっ!飽きるの、はっやっいっわ~っっ!!』

「いくら体力無限大だって言ったって、疲れるし~飽きるよね~」

「ママ~っ!オヤツ~っ!」

「がうっ!わんっ!くんくうん」

「シル犬みたいじゃねぇ…?」

『ココから約40キロは歩くぞい?』

「ウソーっ!マジですか??」

『マジですじゃ!』

「ママ~っ!おしっこ!」

「くうんくうんっ!」

「え゛?おしっこは、そこらへんでしなさい」

「は~い」

「がうっ!」


退屈もあるが、もうひとつの問題はトイレである。

食べれば出る。飲めば出る。当たり前だがトイレは無い。


何この羞恥プレイって、思うほど遮るものは無い。

男の子であるライ君や、獣?であるシルはともかく、私は女の子(!)である。


仕方ないので、その都度魔法で穴掘って、壁を作っている。

臭いや音の方は、魔法で空気の壁作って遮断する。紙はジジイに出してもらった。

その後、埋め戻すのだが、掘り返すような獣や虫は、殲滅したからおそらく大丈夫。


ああ…、ホントにめんどくさい。


『お願いじゃっ!お願いしゃから、思考を閉じる訓練して欲しいんじゃよーーー!!ワシが、ワシが恥ずかしいんじゃよーー!!!後生じゃから!』

問題はジジイである。その度ごとに、この騒ぎである。


「ジジイにも羞恥心あったんだ??擦りきれて無いと思ってた~」

『何ソレヒドイんじゃよ~っ!うえ~ん』


ああ、めんどくさい。意外に純情なジジイである。

おそらく人間形態だったのなら、身悶えて、真っ赤に染めた顔を手で覆い隠しているに違い無い。

この思考の遮断が、存外に面倒で、始終意識して、スイッチをオフ状態にしなければならないらしい。歩きながらとか、トイレ中とか、魔法を使いながらとか、かなり無理目の器用さを求められる。チートでもかなり手こずるって、一般人無理じゃね?

思考の併用でも出来ないと、かなり無理っぽい。


「はあ~コレでも努力はしてるんだけどね~。まあジジイには、役得と思って我慢してもらえばいいし?でもライ君には、思考通じて無いのはなんで?」

『おそらくじゃが《自由人》の影響かのう…?何者にも左右されない、自由な思考の持ち主じゃからなぁ…な?あやつ、見て分かるであろう?』

「たしかにね…我息子ながら、自由すぎるね…」

『じゃな…』


「シル~っ!マテマテ~っ!きゃっきゃっ♪」

「がううっ!くわぅっ!ぐおーんっ!ヒャンヒャン~っ!きゅおんきゅおんっ!きゃんきゃんきゃんっ!」

「おーおー。マジで逃げてんな~??が、ガンバレ~シル骨は拾ってやるからに…」

『涙がとまんないんじゃがのう…』

「冷蔵庫の涙なんて、見てみたいもんだねぇ~」

『おろろ~んっ!!!』

「は~ジジイからかって、退屈しのぎにはなったな」

『Σうお~ん!うえ~ん!』

「ところで、歩きすぎでマタズレになった。薬無い?」

『女子がマタズレだなどと、軽々しく口にするで無いわっ!』

「で、薬あるの?あるなら早くプリーズ。靴ズレも出来たっぽいし」


普段こんな何時間も歩かないし、蒸れるブーツの中は、汗でグッチョグッチョだし…豆だらけ。

ピッチリしたホットパンツは、マタが擦れる。仕方ないだろう。普通のチート物の小説なんかは、付与魔法とかで、なんとかなるもんじゃねぇのか?

こんなところが現実的って、ヒドイ話しもあったもんだ。


『有るにはあるが・・・臭いがヒドイんじゃよ』

「はあっ!?何??今なんつった?」

『薬草の根と、漢方薬っぽい何かと、ドラゴンの血を煮詰めた万能薬なんじゃがのう…。とにかく臭いんじゃよ。』

「却下で!」

『効果的には折り紙つきじゃよ?痛いより良いじゃろ?』

「ぐっ!魔法でなんとかなるんじゃ無いの?スキルとか無いの?」

『ワシは無いんじゃよ。連れ合いはスキル持ってたんじゃけどのう…』

「私は習得可能かな?チートなら大丈夫じゃない?」

『おそらく無理じゃの。お主、神様に祈るタイプじゃないじゃろ??要するに神官や巫女向きじゃないからの~』

「うぐっ!そ、そ、そんにゃ事ないもんっ!」

『いや、明らかに噛んでるし、動揺隠せてないんじゃがのう…』

仕方ない。使うしか無いか…。


「んっ!」

私は意を決して、冷蔵庫のドアを開けた。


途端に香る、刺激臭。コレ劇薬じゃなかろうか??スッゴい目と鼻に染みるぞっ!?つか、痛い。

見た目も赤黒く

『どよ~ん』と、効果音でも付いていそうだ。


「うおぇっ!!ごほごほっ!」


噎せる!喉が真っ赤になるんじゃなかろうか?

「ぐうっ!女は度胸だっ!」


息を止め、ブーツを脱ぎ捨て、薬を一気に全部手に取る。

患部辺りに、ぐりぐりと両手で塗りたくった。


「ぐおっ!?くかぁぁぁっっ!!!!!染みるっ染みるっ染みるっ!痛いっ!いったっあーいっっって!うらっ!ジジイっ!てめえ臭いとは聞いたけど、痛いなんて聞いてないよっ!?めちゃめちゃ染み………てたよな?え?あれれ??」


痛みに七転八倒していた私は、突然引いた痛みに混乱した。


『もう治ったじゃろ?』


「ああ、うん、治ってる。あ、ありがとうね…一応お礼言っといてやるわっ!フンっ!」


『ツンデレとか?!まさかのツンデレとか?うわぁ~ワシはどうしたら良いのじゃっ!?』


「後でベコベコにしたるっ…」私も素直じゃないけど、ジジイもジジイである。


に、しても

一瞬で、キレイに治ったな。臭いまでキレイに無くなった。

またもやチート級の薬だ。ホントに、異世界半端ない。元の世界で売ったら、どれ程の金になるか想像つかないな。まあ、売らないけどね。どんな騒ぎになるか、わからんし。人間チートより、平凡が一番だし。


ああ、早く帰って平凡を絵に描いたような、生活にもどりたい。

しかし、この世界で冒険も面白そうだ。

主にモンスターをブッ飛ばすところとか。魔法をブッ放すところとか。悪役をブッ飛ばすところとか。ヒーローっぽい感じは好きだし。


『ぶるぶるぶる…こわぁっこわぁっ!』

「悪役出て来ないかな~?」



ちらっと隣を見ると、冷蔵庫が器用にぶるぶると震えていた。

「今日はここで夜営しようか?もう夕方だし」


『そ、そうじゃの』


「ライ君、シルっ!あんまり遠く行くんじゃ無いよ~!夕御飯までには戻っておいで!」

「は~い!」

「がるっ!」


ピューンと、効果音でも出そうな勢いで、駆け抜けて行く。

あの子は足大丈夫なんだろうか…?我が子ながら、すごく不思議だ。勇者補正だろうか?

元から体力はずば抜けてたけど、ちょっと変わり過ぎだ。この世界の平均値もわからないな。コレが全く普通じゃないのが、分かるだけだ。


まあ『なんとか王国』行けば分かるだろう。


『アンノン王国じゃて…』

「そうだっけ?」

『はあ~っ。ワシめげそう…』



ああ、装備、手入れしないとな。


後は、旨いもん食って、風呂はいって、寝て、きちんと疲れをとろう。


でも、今後の移動手段考えないとな。

またマタズレ出来て、あの薬を使うのはごめん被る。


やる事も、覚える事もいっぱいだ。


とりあえず、今日はここまで。

明日の事は、明日考えよう!


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