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私の可愛い奴隷人形  作者: 葉都菜・創作クラブ
第1章 油断と敗走 ――幻想都市ファンタジアシティ――
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第3話 ファンタジア侵攻戦

 【ファンタジアシティ 北部】


 隊列を組み、規則正しく広い道路を通って進軍するのは連合軍のバトル=アルファ達。その手にはアサルトライフルが握られていた。彼らは市民・軍人構わず次々と射殺していく。


[攻撃セヨ! 破壊セヨ!]

[攻撃セヨ! 破壊セヨ!]


 黄色に光るおびただしい銃弾が飛び、街は血に染まっていく。悲鳴と怒号が上がり、人々は我先にと逃げ出す。その背中を狙い、銃弾を放つのはバトル=アルファ。無感情に多くの命を消していく。


「食い止めろ!」

「怯むな! 一斉射撃用意……撃て!」


 連合軍の進撃を止めるのは都市の警備軍。ファンタジア防衛師団だった。白い装甲服に赤いラインのある兵士。彼らはこの街の出身者だ。家族の為にも全力で止めなければならない。


「ぐぁッ!」

「ガ、ハッ!」

「撃ちまくれぇ!」

「1人でも多くの市民を、ぐぇッ!」


 連合軍は容赦しない。金属の体を持つ兵士達は命令されたように確実に動く。その行動に情はない。子供も女性も関係なしに撃ち殺す。それが連合軍の恐ろしいところだった。

 クリスタルで出来た水色の道路に赤い血が水玉模様に飛ぶ。美しい道路に倒れる兵士や市民。そして、バトル=アルファ。


「せ、生物兵器! え、援軍を、うわっ、わぁぁッ!」


 爆音が鳴り響き、炎と共に数人の兵士と市民が悲鳴を上げて吹き飛ぶ。彼らは宙を舞い、道路に落ちる。ほとんどが死んだ。かろうじて生きている者は射殺された。


「生物兵器ハンターA型を確認! 凄い数です! ここから確認するだけでも10体近くはいます!」


 連合軍は本気だった。クラスタが直々に指揮を執っているのもあるが、投入された戦力は今までのどのファンタジア侵攻戦よりも多かった。


[攻撃セヨ! 破壊セヨ!]

[攻撃セヨ! 破壊セヨ!]


 街の警備軍はあくまでも連合軍との戦いにおいて戦闘を行う特殊軍のサポートをするだけだ。実際に戦闘を行うのは政府首都から送り込まれた特殊軍のハズだった。


[攻撃セヨ! 破壊……!]

「都市を守るんだ! ファンタジア防衛師団!!」

「俺らの街を踏みにじらせるな!」


 今、特殊軍はバラバラだった。ピューリタンが慌てて軍を南部からファンタジアシティに引き上げさせているが、到底間に合わない。

 ファンタジアシティ内の特殊軍は個別に連合軍と戦っていた。バラバラに、各小隊を率いる将校が勝手に戦っている状態だった。本来はまとまって戦わなくてはならないのに……

 特殊軍指揮官の油断がこの事態を招いた。また、こんな状態になり、軍をまとめられないピューリタン。全て彼女の経験不足と勝利からの油断が招いた事態だった。


「全部隊、私の指示通り、攻撃せよ! 逃げる市民は放っておけ! まずは防衛師団本部を落とせ! ピューリタン将軍を生け捕れ!!」


 大型戦車からテキパキと指示を出すクラスタ将軍。彼女とピューリタン将軍はほぼ同年齢だった。だが、経験は遥かにクラスタ将軍の方が上だった。


「クラスタ将軍、南部草原に配備されていた政府特殊軍がファンタジアシティ内に入ってきました」


 部下の将校が言う。彼の目の先にある薄いスクリーンには映像が映っていた。ファンタジアシティ南部の映像だ。大勢の兵士が走っている。全員が南部草原に配備されていた兵士だ。


「フン、今頃か。作戦通りに動くぞ」


 鼻で笑ったクラスタはそう言うと無線機を手に取り言った。その顔には勝利を確信した余裕の笑顔があった。


「B3からB6艦まで作戦を開始せよ。ピューリタン将軍を生け捕る作戦を開始するぞ」

[はい、クラスタ将軍]


 大型飛空艇3機が飛んでいく。その姿を見て、クラスタ将軍はうっすらと笑みを浮かべた。彼女はポケットに忍ばせていた金色のペンダントを首からかける。彼女の大切な物だった。


「……リュート……」



 【ファンタジアシティ 南部】


 ピューリタン将軍は部隊を率いて全力で北部に向かっていた。彼女は焦っていた。まさか、負けた日の夜に攻めて来るなんて思ってもいなかったのだ。

 焦りが彼女を急がせる。どんどん速度を上げて北部に向かっていた。この時、彼女の速度に軍は付いて行ける者と付いて行けない者に分かれ始めていた。彼女はそれに気づかない。

 彼女は背中に背負うジェット機を使っているから疲れはしない。だが、兵士達はそんな物ない者がほとんどだった。


「ピューリタン将軍、急ぎ過ぎだ!」

「そ、そうか!?」


 トワイラルに何度も指摘されるが、彼女は焦るばかりだった。速度を落とせばそれだけ連合軍の侵攻を許すことになる。急がないと、ファンタジアシティを奪われる。そんな事ばかりが彼女の頭を巡っていた。

 そして、それをクラスタ将軍は見抜いていた。経験不足な彼女は必ずや焦るだろう。焦って1人で突っ走るだろう……。だからこそ、“この作戦”を計画したのだ。


「ピューリタン! 上見て!」

「……え?」


 大型飛空艇が3機、ピューリタン将軍とトワイラル、ミュートの頭上を通り過ぎて行った。それは南部の方へ向かう。


「な、なに!? 連合軍は全部北部で戦っているハズじゃ……」

「全軍投入したんだ……」

「……ぜ、全軍だと? 今日負けたのに、全軍投入してきた、のか?」


 ピューリタン将軍はまだ気づいていなかった。ファンタジアシティ内にクラスタ率いる連合軍全部隊が侵攻してきたことを。大量のバトル=アルファ・生物兵器が投入されている事に!

 同じ頃、南部に到着した3機の大型戦闘機からは次々と生物兵器が投下されていた。

 いきなりファンタジアシティ南部草原から全力で市内に来た特殊軍。彼らは疲れ果てている上にピューリタン将軍の速度について行ける者と行けない者でバラバラだった。そんな中に大量の生物兵器が投下されてきたのだ。


「う、うわッ! ハンターA型だ!!」

「す、凄い数だ!」

「抑え切れないッ、ダメだ!」


 人間ベースの生物兵器ハンターA型。彼らはハンターC型と同様に3メートルもの巨体を持ち、頭や心臓を撃っても死なない。痛みも感情も知らない生物兵器だった。

 大量に投入されたハンターA型達は装備していたロケットランチャーを取り出し、疲れ果てバラバラの特殊軍兵士を次々と討ち取っていく。

 市内に来た特殊軍も徹底的に潰す。これがクラスタ将軍の狙いだったのだ。



「さぁて、ピューリタン将軍、どうするかな……?」


 ファンタジアシティ北部で指揮を執るクラスタ将軍は不敵な笑みを浮かべていた。その胸には金色のペンダントがしっかりとぶら下がっていた。

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