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死に戻りが許されるダンジョンでは、バトルロワイアルが日常です。  作者: 昼ライス
2章:富士山ダンジョン編

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2章22節

毎日17:30投稿

ヤチヨが去った後も、

火山灰は降り続いていた。


灰は、音を立てずに積もる。

まるで、何もなかったかのように。


ヤヒロは、

その場に座り込んだまま、

盾を膝に置いていた。


――壊れかけ。


何度も、その言葉が頭の中で反響する。


無双していたはずだ。

恐怖も、迷いも、

押し殺して前に進んでいた。


それなのに。


一太刀で、終わった。


「……悪かった」


沈黙を破ったのは、

ツダだった。


いつもの軽い口調ではない。


「成田のこと」


「お前が、あの会社にいたってのも」


「……先輩だったってのも」


ヤヒロは、顔を上げなかった。


「知ってた」


ツダは、はっきり言った。


「でも、言わなかった」


拳を、軽く握る。


「言えば」


「お前が、変に引きずると思った」


「……結果的に」


小さく、息を吐く。


「俺の判断ミスだ」


ヤヒロは、しばらく黙っていた。


怒りは、湧かなかった。


ただ、空虚だった。


「……謝らなくていい」


ようやく、声を出す。


「俺が、弱かっただけだ」


「違う」


短く、ユイが言った。


いつも通り、抑揚のない声。


だが、はっきりしている。


ユイは、ヤヒロの盾を見る。


「……私は」


「……ヤヒロが、前にいる」


「……だから、弓を引けてる」


その言葉に、

ヤヒロは、僅かに目を見開いた。


「……敵の視線」


「……足音」


「……殺意」


「……全部」


「……盾に、集まってる」


ユイは、

淡々と続ける。


「……私は」


「……狙うことに、集中できる」


「っ、それは……!」


ヤヒロは販路運しようとするが、ユイに視線で制される。


一拍、置く。


「……攻撃してない、わけじゃない」


ヤヒロの、喉が鳴る。


「でも俺は、」


「前に出て、」


「倒せなかった」


悔しさが、滲む。


ユイは、

首を横に振った。


「……違う」


「……倒せなかった、違う」


「……倒さなかった」


静かに。


「……専守防衛」


「……チーム全体の、利益」


ツダが、頷いた。


「実際な。お前が崩れなかったから」

「何度、立て直せたか」


ヤヒロは、盾を見る。


傷だらけの、表面。


吸収した、特性。


衝撃を、受け止めるための、装備。


不意に、腑に落ちた。


「俺は」


呟く。


「倒す役じゃ、ない?」


胸の奥で何かが、

静かに形を変える。


「守ることで」


「皆が、攻められる」


ユイは、小さく頷いた。


「……それでいい」


ツダが、笑った。


「やっと、自覚したか」


ヤヒロは、

深く息を吸い――

吐く。


焦りは、消えない。


恐怖も、残っている。


それでも。


「……俺は」


「守ることに、重きを置く」


「それで」


「強くなる」


言い切った。


盾を、握る。


その感触は、確かだった。


壊れかけ。


――だからこそ。


今度は、壊れない選択をする。


火山灰の中で、三人は再び歩き出した。


今度は、役割を理解した足取りで。


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