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死に戻りが許されるダンジョンでは、バトルロワイアルが日常です。  作者: 昼ライス
2章:富士山ダンジョン編

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2章18節

毎日17:30投稿

その魔物は、

サラマンダーが消えた直後に、姿を現した。


溶岩の川を割るように、

ずるりと、何かが這い上がってくる。


赤黒い外殻。

溶岩を纏った四足の巨躯。


――火山犬。


ツダが、短く息を吐く。


「……あー。これな」


「知ってるの?」


ヤヒロが問うと、ツダは肩をすくめた。


「サラマンダーの捕食者。

向こうからすりゃ、さっきのは餌だ」


次の瞬間。


火山犬が、跳んだ。


ドンッ!


着地と同時に、

溶岩が弾け、衝撃が走る。


ヤヒロは盾を前に出す。


――防げる。


だが。


硬い。


衝撃は返せる。

だが、相手は怯まない。


衝撃波反転が、いなされてしまう。


ユイの矢が、側面に刺さる。


時間差で、

肉を穿ち、

火山犬が呻いた。


ツダの槌が、

頭部を叩き潰す。


ゴンッ!


呆気ないほど、早かった。


――強い。


だが、ヤヒロが何かをする前に、終わった。


その後も。


サラマンダー。

火山犬。

また、サラマンダー。


その連戦。


溶岩の熱に、感覚が麻痺していく。


盾で受ける。

返す。

だが、倒しきれない。


倒すのは、

いつもユイの矢と、ツダの槌。



しばらくして地鳴りが、変わった。


溶岩が盛り上がり、

それが“形”を持った瞬間、

ヤヒロは直感的に悟った。


これは、さっきまでの連中とは違う。


人型の躯体。

岩と溶岩が絡み合った、巨体。


溶岩ゴーレム。


拳が、振り下ろされる。


ヤヒロは、盾を前に出した。


ドンッ!!


衝撃が、全身を打つ。


膝が、沈む。


(……重い)


返す。


衝撃波反転。


だが。

ゴーレムは、止まらなかった。


溶岩が弾け、

次の腕が、叩きつけられる。


ドンッ、ドンッ!


防ぐ。

耐える。


だが、

押し返せない。


背後から、ユイの矢が飛ぶ。


関節部に刺さり、

溶岩が飛び散る。


だが、

ゴーレムは、構わず前に出てくる。


ツダの槌が、側面を打つ。


ゴンッ!


硬い音。


効いていないわけじゃない。

だが――


「……削れてねえ」


ツダが、低く吐き捨てる。


ゴーレムが、両腕を振り上げた。


次の一撃は、防ぎきれない。


ヤヒロの背筋が、凍る。


(――まずい)


その瞬間。


「下がる!」


ツダの声が、割り込んだ。


「ヤヒロ!撤退だ!」


一瞬、迷いが走る。


(まだ――)


だが、腕が悲鳴を上げている。


次の攻撃さえ耐えられるか分からない。


ユイが、矢を連射する。


牽制。

視線を、逸らす。


ツダが、衝撃を叩きつける。


「走れ!」


ヤヒロは、歯を食いしばった。


盾を構えたまま、後退。


ドンッ!!


背後で、溶岩が爆ぜる。


熱が、背中を舐める。


三人は、

溶岩流を挟むようにして、

距離を取った。


ゴーレムは、

追ってこなかった。


溶岩の中に、

ゆっくりと沈んでいく。


……生きている。


ただ、

ここから離れただけだ。


しばらく走り、

安全圏に入ってから、

ヤヒロは、ようやく足を止めた。


肩で、息をする。


「……ごめん」


思わず、口から零れた。


「防ぎきれなかった」

「俺が、前に出られなかった」


防ぐことしか、できなかった。

攻撃にならなかった。


ヤヒロの胸の奥には、

冷たいものが残っていた。


(防御特化が……通じない)


今のままでは、上層では生き残れない。


盾を見つめながら、

ヤヒロは、強く思う。


次に、

同じ相手と向き合うとき。


そのときには、

逃げない力が、必要だ。

いつもありがとうございます。


面白いと思っていただけたら、

★★★★★評価・ブックマークで応援していただけると嬉しいです。


本作は毎日更新中です。

明日もお待ちしています。

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