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死に戻りが許されるダンジョンでは、バトルロワイアルが日常です。  作者: 昼ライス
1章:はじまり

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32/57

1章31節

1章完結まで連続投稿中

前話を未読の方は、前話よりご拝読願います。


毎日17:30投稿

床に並べられたレア装備は、もはや整理されていなかった。


剣、斧、槍、盾、奇妙な形状の武器、

用途不明の装備品。


ギルド販売所の棚を、

ツダが端から端まで薙ぎ払った結果がこれだった。


「……ほんとに全部買ったんですね」


ヤヒロが、思わず言う。


「だってさ」


ツダは悪びれず肩をすくめる。


「売り物ってことは、

“今は誰にも使われてない”ってことだろ?」


「使われない理由があるんじゃ……」


「だから面白いんだよ」


床に腰を下ろし、

レア装備の山を見回す。


「世の中さ、

“弱い”んじゃなくて

“噛み合ってない”だけのもんが多すぎる」


ユイは無言で、

その光景を見ていた。


そして一言。


「……異常」


「褒め言葉だな」


ヤヒロは、盾を手に取った。


深呼吸。


「……まとめて、いくぞ」


一つ目。

刃こぼれしたが特性付きの直剣。


――キン。


二つ目。

鍔のない短剣。


――キン。


三つ目。

重心の狂った斧。


――キン。


四つ目。

小型盾。


――キン。


五つ目。

柄のない曲剣。


――キン。


音は、すべて同じ。


武器が消え、

盾だけが残る。


壊れない。

弾かない。

拒まない。


選別しない。


それが、何より異様だった。


「……歯止めがねえな」


ツダが、低く言う。


「上限、感じるか?」


「……いや」


ヤヒロは首を振る。


「まだ、余裕がある」


吸収が終わったあと、

盾は相変わらず地味だった。


外見は、何一つ変わらない。


「じゃ、鑑定な」


ギルド鑑定所。


カウンターに盾を置いた瞬間、

係員が一瞬、手を止めた。


「……あれ?」


もう一度、測定。


そして、無言でツダを見る。


ツダは、モノクルを押し上げた。


「うん、俺も見ていい?」


数秒。


――笑った。


「はは。

そりゃ驚くわ」


吐き出される、長いレシート。


────────────────────────

ギルド鑑定所 公式鑑定レシート

発行番号:NSD-77491

鑑定日時:20XX/08/14 16:32

鑑定担当:自動鑑定機

────────────────────────


装備名:使い捨てる盾

装備種別:盾(武器扱い)

等級:レア

使用者登録:ヤヒロ(個人識別済)


────────────────────────

【基本性能】

耐久値:高(基準値超過)

重量 :中(増加傾向あり)

防御補正:盾基準超過


※外見変化なし

※構造異常なし(内部魔素反応のみ増大)


────────────────────────

【付与特性】


・切れ味上昇

 └ 盾による攻撃時、刃物相当の切断性能を付与


・継続微量回復

 └ 戦闘中、一定間隔で装備者の体力を微量回復


・防御反動

 └ 防御成功時、反動として装備者に微小ダメージ発生

 └ ダメージ量:軽微(戦闘継続に支障なし)


・被弾硬直付与

 └ 攻撃を受けた際、一定確率で攻撃対象を短時間硬直させる


────────────────────────

【付与スキル】


・衝撃波反転

 └ 盾で受けた打撃の衝撃を、一定割合で攻撃方向へ返す

 └ クールタイム:30秒


・反撃威力上昇

 └ 盾による攻撃が失敗(有効打にならなかった)した場合、

   次の一撃の威力が上昇する

 └ クールタイム:60秒


────────────────────────


「……二つまでだろ、普通」


ヤヒロが呟く。


「そう」


ツダは頷いた。


「だから“普通じゃない”」


ユイは、盾をじっと見ている。


「……全部、同時?」


「全部、同時だ」


ツダは楽しそうだった。


「じゃなきゃ、意味ないだろ」




中層。


戦闘は、すぐに始まった。


ホブゴブリンの群れ。

以前であれば、ユイと二人がかりでやっとの相手。


ヤヒロは、盾を前に出す。


受けて、弾いて、切る。


刃が通る。

衝撃が返る。

防ぎきれずとも、微量回復で体力が戻る。


「……おい」


ヤヒロは、戦いながら笑っていた。


「忙しいな、この盾」


「だろ?」


後方で、ツダが観測する。


「本来なら、一人分の役割じゃねえ」


衝撃波反転を発動させ、

ホブゴブリンが吹き飛ぶ。


一方、微量回復が効くヤヒロは、その場に難なく踏みとどまれる。


下から切りかかる個体を、上から振り下ろした盾で切り伏せる。


循環ができている。


「……壊れてる」


ユイが、ぽつりと言った。


「うん」


ツダは笑った。


「だから、面白い」


ヤヒロは、盾を構え直す。


これはもう、一つの武器じゃない。

戦い方そのものだ。


そしてまだ、レア装備は食わせ続けられる。


試していない特性も、棚には山ほどある。


「……次、何食わせる?」


ヤヒロが聞くと、ツダは即答した。


「全部だよ」


当然だろ、と言わんばかりに。


中層の奥からは、

オークの足音が、近づいてきていた。


「その前に、もう少し遊んどけ」


ヤヒロは、自然と口角が吊り上がっていた。

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