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死に戻りが許されるダンジョンでは、バトルロワイアルが日常です。  作者: 昼ライス
1章:はじまり

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29/57

1章29節

1章完結まで毎日2話投稿中

前話を未読の方は、前話からご拝読願います。


今回は、ツダ目線の短章です。


毎日17:30投稿

端末の画面に、文字列が並んでいた。


【件名:習志野駐屯地ダンジョン/特異装備確認報告】


ツダは、椅子にもたれたまま、モノクルを外す。

目の奥が、じんと痛んだ。


「……やれやれ」


報告書の一次ドラフトは、すでに自動生成されている。

現場で取得した映像、魔素反応ログ、鑑定結果。

すべてが過不足なく、整然と。


――だからこそ、厄介だ。


ツダは、スクロールを止める。


【対象1:レジェンダリー装備《微睡の弓》

・魔素反応:国家管理基準を大幅に超過

・挙動:矢の遅延発射、必中特性を確認】


ここは、消さない。


いや、消せない。

弓はすでに“失われた国家資産”だ。

存在を伏せる余地はない。


ツダは、次の項目へ指を滑らせた。


【対象2:特異盾装備(レア等級相当)

・確認特性:複数(切断性能付与、衝撃反転、眷属召喚等)

・異常挙動:——】


カーソルが点滅する。


ツダは、しばらく画面を見つめた。


吸収。

破壊でも、合成でもない。

装備が、装備を取り込む現象。


理論的裏付けは皆無。

再現性も不明。

だが――


「……報告した瞬間、接収対象だな」


誰の、とは書かない。

だが、分かっている。


政府が動けば、

盾の持ち主は“保護”という名の隔離を受ける。


ツダは、静かに削除キーを叩いた。


【対象2:特異盾装備(レア等級相当)

・確認特性:複数

・異常挙動:不明】


淡々と。

嘘は書かない。

だが、書かないことはできる。


「特性が多いレア装備、で止めときゃ……

研究班も首かしげるだけだ」


次の行。


【備考:特性は装備固有のものと推察。

現時点で進化・変質・外部干渉の兆候なし】


これも、事実だ。

少なくとも、今見えている範囲では。


ツダは、保存ボタンの上で一瞬だけ指を止めた。


「……弓も盾も、

どっちも危ない」


だが。


「先に世界を壊すのは、

多分――盾のほうだ」


小さく息を吐き、保存する。


送信完了。


端末を閉じると、室内は静かだった。


ツダはモノクルを机に置き、

そのまま天井を見る。


「現場判断、っと」


それが正解かどうかは、分からない。

だが少なくとも――


今は、まだ見せる段階じゃない。


あの盾も、

あの男も。


そしてきっと、

あの二人が並んで立つ“形”も。


ツダは立ち上がり、ジャケットを羽織った。


次に潜るときは、

もう少し近くで見てやる。


削った行の“続き”が、

いつか書けなくなる日まで。


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