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死に戻りが許されるダンジョンでは、バトルロワイアルが日常です。  作者: 昼ライス
1章:はじまり

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28/56

1章28節

1章完結まで毎日2話投稿中


毎日17:30投稿

黒光りした宝箱を前に

ユイは、自然と一歩距離を取る。


「……開ける?」


「俺がやる」


ツダはそう言って、

モノクルを指で押し上げた。


カチ、と乾いた音。


そして、

宝箱の蓋に手をかける。


ギギ……と、軋む音。


開いた瞬間――

空気が、わずかに重くなった。


中にあったのは、巨大な棍棒。


丸太を削ったような、原始的な造形。

だが、ただの木製ではない。


表面には、不規則な紋様が焼き付けられている。


「……おお」


ツダが、思わず声を漏らした。


モノクル越しに、棍棒を凝視する。


数秒。


そして――

明確に、表情が変わった。


「レア等級。スキル付きだ」


ヤヒロの背筋が、自然と伸びる。


「どんなスキル?」


ツダは、少しだけ言葉を選んだ。


「――眷属召喚」


ユイが、眉を動かす。


「……召喚?」


「持ち主が攻撃を成功させると『従属状態の魔物』を呼び出す」


「数は1体だけが、完全に命令を聞くタイプだな」


「しかも――」


ツダは、棍棒を見下ろしたまま続けた。


「召喚体は、戦闘が終わるまで消えない」


沈黙が落ちる。


「……普通なら、厄介すぎ」


ユイが、ぽつりと言った。


「そうだ」


ツダは苦笑する。


「だからこそ、市場にはまず出回らない」


そして、何気ない調子で続けた。


「さて。

誰が使――」


そこで、

言葉が止まった。


ヤヒロが、

棍棒へと手を伸ばしていたからだ。


「ヤヒロ?」


「……吸収できるか、試す」


ツダが、目を瞬かせる。


「は?」


止める間もなかった。


ヤヒロの手が、棍棒に触れた瞬間――


ズズッ……


音がした。


棍棒の輪郭が、わずかに“歪む”。


「――おい」


ツダの声が、低くなる。


次の瞬間。


棍棒が、黒い粒子となって崩れた。


吸い込まれるように、ヤヒロの盾へと流れ込んでいく。


「……え?」


ユイが、固まる。


「……今、何した?」


ツダは、言葉を失っていた。


モノクルが、必死に何かを捉えようとしている。


「……消えた?」


「いや……」


ツダは、ヤヒロの盾を見つめたまま呟く。


「……“吸収”した?」


ヤヒロは、息を整えながら頷いた。


「これまでも、何度か――」


「聞いてない」


ツダが、食い気味に遮った。


完全に、素の声だった。


「そんな話、一言も聞いてない」


盾の表面が、一瞬だけ脈打つ。


まるで、何かが内部で“定着”したかのように。


「……スキルは?」


ツダが、喉を鳴らして問う。


「分からない」


ヤヒロは正直に言った。


「まだ、呼び出せる感じはしない」


ツダは、数秒間、黙り込んだ。


そして、ゆっくりと息を吐く。


「……なるほどな」


笑った。

だが、その笑みは薄い。


「こりゃあ……。想定より、ずっとヤバい」


ユイが、小さく言う。


「……だから、人に見せたくなかった」


「だろうな」


ツダは、肩をすくめた。


「武器を食らう盾なんて、公式にも非公式にも記録には存在しない」


視線が、ヤヒロに戻る。


「――なあ」


冗談めいた口調を装いながらも、

目は、まったく笑っていなかった。


「君さ。俺が今、見なかったことにすると思う?」


ヤヒロは、静かに答えた。


「……だから、一緒に潜るんだろ」


一瞬。


ツダは、声を立てて笑った。


「ははっ、確かにな」


だが、内心の計算は、もう始まっている。


この盾は、想定外だ。


いや――

想定外で済ませていい代物じゃない。


ツダは確信した。


この二人と潜ることは、観測でも任務でもない。


――賭けだ。


そして、公安としても、一個人としても。


この盾の行き着く先を、

最後まで見届けなければならないと。


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ツダ鑑定結果

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装備名:使い捨てる盾


等級:レア


分類:盾


基礎性能:

 防御力:鑑定不能(変動)

 耐久度:鑑定不能(破損判定なし)

 重量 :重(装備者依存)


特性:

・切れ味上昇

 → 刃物武器相当の切断性能を付与

  (盾縁・打撃面での切断が可能)


スキル:

・衝撃波反転

 → 盾で受けた打撃の衝撃を100%攻撃方向へ返す

  (クールタイム:30秒)


・眷属召喚

 → 使用時、戦闘補助用の眷属を召喚

  ※戦闘終了後、自動消滅

  ※召喚対象・数は不明


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