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死に戻りが許されるダンジョンでは、バトルロワイアルが日常です。  作者: 昼ライス
1章:はじまり

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27/66

1章27節

1章完結まで毎日2話投稿中

前話を未読の方は、前話からご拝読願います。


毎日17:30投稿

巨大な棍棒が、

空気を叩き潰す。


ブォンッ!


ヤヒロは、盾を正面に構えた。


衝撃。


全身が、軋む。


「ぐ……っ!」


一撃がこれまでになく重い。

盾がなければ、即死だった。


踏みとどまる。歯を食いしばる。


その背後で――


矢が、空間に“留まる”。


ユイが、連射していた。


一射。

二射。

三射。


撃った瞬間、

矢は、キングの周囲に浮かぶように止まる。


次の瞬間。


――一斉に、動いた。


狙いは、関節。


膝。

肘。

足首。


必中。


矢が飛び、

遅れて、衝撃が来る。


キングの動きが、明確に鈍った。


「いいねえ、その弓」


ツダが、楽しそうに言う。


「……動き、分かりやすくなる」


「よし……!」


ヤヒロは、踏み込む。


ただひたすらに盾で受ける。


今は、時間を稼ぐ役目だ。


キングが、怒号を上げる。


だが、体は言うことを聞かない。


関節に刺さった魔素の矢が、

数秒遅れで、内部から爆ぜる。


――噛み合っている。


ヤヒロは、確信する。


三人が、初めてなのに――

役割が、はっきり分かれている。


ホブゴブリンキングが、

ついに、大きく体勢を崩した。


床に、片膝をつく。


ツダが、最後の雑魚を叩き潰しながら言った。


「いやあ、いい連携だな」


その声には、

もう観測者の色はなかった。


「正直さ――

ここまで噛み合うとは思ってなかった」


ヤヒロは、盾を構え直す。


ユイが、次の矢を番える。


キングは、まだ生きている。


「……ヤヒロ、とどめ」


ホブゴブリンキングが、片膝をついたまま大きく息を荒げる。


喉の奥から、

濁った唸り声が漏れた。


まだ、生きている。


だが――

もう、反撃の力は残っていなかった。


その背後で。


「……今」


ユイの声。


短く、鋭い。


「……喉」


理由の説明はない。

判断だけが、投げられる。


ヤヒロは、一瞬だけ迷った。


だが、次の瞬間には――

もう、体が動いていた。


盾を前に出し、

キングの視線を引きつける。


咆哮。


だが、声は掠れていた。


踏み込む。


盾で、顎を跳ね上げる。


露わになった、

太く、無防備な喉元。


「――終わりだ」


低く呟いて、

ヤヒロは刃を走らせた。


ザッ。


切れ味上昇の特性を帯びた刃が、

肉を、筋を、ためらいなく断つ。


血が、噴き上がる。


キングの目が、見開かれ――

次の瞬間、焦点を失った。


巨体が、

前のめりに崩れ落ちる。


床が、震えた。


……静寂。


数秒後。


「……うん」


ユイが、矢を下ろす。


「……確実」


それだけ言って、

弓を肩に戻した。


ヤヒロは、荒い息を吐く。


胸の奥が、まだ熱い。


だが――

確かに、倒した。


「はは」


背後で、ツダが小さく笑った。


「いい締め方だな」


軽い声。


けれど、その視線は――

はっきりと、二人を評価していた。


ホブゴブリンキングの死体が、

ゆっくりと霧へと溶けていく。


戦闘は、終わった。

ホブゴブリンキングの巨体が、完全に霧へと崩れ落ちた。


床に残ったのは、

血でも肉でもなく――


ゴトン。


重く、鈍い音。


そこに現れたのは、

明らかに“格”の違う宝箱だった。


黒鉄色の外殻。

無骨で、装飾らしい装飾はない。


だが、

それだけで分かる。


「……レア確定だな」


ツダが、低く言った。


「キング産。

この層じゃ、本来ありえないやつだ」

いつもありがとうございます。


面白いと思っていただけたら、

★★★★★評価・ブックマークで応援していただけると嬉しいです。


本作は毎日更新中です。

明日もお待ちしています。

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