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死に戻りが許されるダンジョンでは、バトルロワイアルが日常です。  作者: 昼ライス
1章

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13/43

1章13節

毎日17:30投稿

その日は、最初から数が多かった。


通路を曲がるたび、

甲高い鳴き声が増えていく。


二体、三体と、気づけば、背後にも足音がする。


「……囲まれてるな」


右手に行けば逃げ道はある。

だが、わざわざ使う必要はなかった。


ヤヒロは、盾を構えた。


最初のコボルトが飛びかかる。


盾を振る。

切れる。

倒れる。

次。


踏み込んでくる個体には、

真正面から盾を叩きつける。


衝撃と同時に、盾の縁で裂く。


二体が、ほぼ同時に崩れ落ちた。


「……早い」


自分でも思う。


以前なら、一体倒すごとに息を整えていた。


今は違う。


盾を振る。

切る。

受ける。

返す。


その繰り返しだ。


コボルトたちは、明らかに混乱していた。


仲間が、近づくたびに倒れていく。


距離を取ろうとする個体。

無理に突っ込んでくる個体。


どれも、対応できる。


盾は、軽い。

いや、軽く感じられる。


実際には、何度もレア装備を食わせたことで、

確実に重くなっているはずなのに。


衝撃が、体に残らない。


「……次」


ヤヒロは、淡々と前へ出た。


数十体。


正確な数は、分からない。


ただ、通路に転がる死骸と、

消えていく光の数が、それを物語っていた。


戦闘が終わったとき、

息は乱れていなかった。


代わりに、

足元にはドロップが散らばっている。


レア装備の光が、

一つ、二つ――


いや。


「……五本以上か」


短剣。

槍。

斧。

そして、見慣れない形状の盾。


円形だが、

縁が厚く、

表面に浅い波紋のような模様が刻まれている。


ヤヒロは、それを手に取った。


重い。


だが、

嫌な重さではない。


鑑定は、帰還後だ。


だが、

直感が告げていた。


――これは当たりだ。


他のレア装備も、バックに収める。


数は十分。


これ以上、

長居する理由はなかった。


帰還。


ギルドで鑑定を行う。


レシート状の紙を受け取り、

人目を避けて確認する。


問題の盾。


記載されていたのは――


【スキル:衝撃波反転】

・盾で受けた打撃の衝撃を、一定割合で攻撃方向へ返す

 (クールタイム30秒)


「……なるほど」


殴られて、

その力を返す。


盾らしい。

そして――


この盾に、食わせれば。


ヤヒロは、その夜、

迷いなく行動した。


自宅。


「使い捨てる盾」を床に置き、

レア盾を手に取る。


一瞬、

惜しいという感情がよぎる。


だが。


キン。


音は、いつもより重かった。


盾は、確かにそれを“食った”。


翌日。


再鑑定。


レシートに印字された文字を見て、

ヤヒロは、静かに息を吐いた。


【特性:切れ味上昇】

【スキル:衝撃波反転】


盾が、

完全に別物になっている。


受ければ、返る。

切れば、通る。


三十秒に一度とはいえ、

真正面から受けた一撃が、そのまま反撃になる。


数十体を相手にする戦場で、

これがどれほどの意味を持つか。


「……もう、前に立つだけの盾じゃないな」


これは、

戦うための盾だ。


数を屠り、

レアを集め、

そして――


ヤヒロは、ようやく理解する。


この盾は、

数で押される戦場ほど、真価を発揮する。


習志野駐屯地ダンジョン。


ここは、

彼にとって、

間違いなく“狩り場”になりつつあった。


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