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死に戻りが許されるダンジョンでは、バトルロワイアルが日常です。  作者: 昼ライス
1章

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1章11節

祝200PV!

毎日17:30投稿

ダンジョン産装備の中でも、

レア装備以上と呼ばれるものには、コモンとは決定的な違いがある。


単純に硬い、重い、壊れにくい――

そういった基礎性能の差だけではない。


レア装備には、

装備ごとに固有の“性質”が付随することがある。


それは、一般に「特性」や「スキル」と呼ばれているものだ。


たとえば、直剣。


コモンの直剣は、

ただ斬るだけの武器だ。


切れ味は使い手の技量次第で、

振り方が悪ければ刃こぼれもする。


だが、レア直剣となると話が変わる。


・切れ味上昇

・耐摩耗強化

・刃の安定化


そういった「特性」が付与されていることがあり、

同じ力で振っても、明らかに通りが違うらしい。


鎧の継ぎ目に吸い込まれるように刃が入り、

肉を断つ感触が、別物になる。


さらに稀な例として、

「スキル」と呼ばれるものが確認されている。


これは、

武器そのものに刻まれた、特殊な攻撃動作だ。


使用者が特定の動きを行ったとき、

あるいは一定の条件を満たしたとき、

通常では不可能な軌道や速度で、武器が振るわれる。


踏み込みが異常に鋭くなる直剣。

振り抜いた後、即座に次の一撃へと繋がる斬撃。

防御の隙を突くためだけに最適化された、無駄のない一振り。


魔法ではない。

あくまで、身体操作と武器構造が噛み合った結果だ。


だが、それを再現できるのは、

その武器を持った者だけ。


同じ動きを、コモン武器で真似しようとしても、

関節が悲鳴を上げるか、武器が先に壊れる。


専技は、武器が使い手を導くような感覚すらあると言われている。


すべてのレア装備に、特性やスキルが付くわけではない。


ヤヒロは、思い出す。


あの時。

襲撃者との戦いの最中、

宝箱から現れた短い槍。


レア等級であることは、

あの鈍い光沢と、異様な密度で一目で分かった。


本来であれば、

特性の一つくらいは付いていてもおかしくない。


切れ味の向上。

刺突の貫通力補正。

あるいは、間合いを詰めるための踏み込み強化。


だが――

結果は、何もなかった。


盾に吸われた後、

ヤヒロはすぐに気づいた。


あの短槍には、

特性も、専技も、存在しなかった。


ただ、

基礎性能がコモンより一段高いだけの武器。


「ハズレ、か……」


そう表現するのは、

あまりにも贅沢だと分かってはいる。


それでも、

レア装備に期待してしまうのが、冒険者というものだった。


だが、同時に理解する。


レア装備とは、

「必ず当たりが入っている箱」ではない。


当たりが混じっているかもしれない箱だ。


だからこそ、

人は何度も潜る。


何度も死に、何度も奪い合い、それでも次を求める。


そしてヤヒロにとっては、もう一つ重要な点があった。


特性も専技もなかったとはいえ、

あの短槍は、確かにレア装備だった。


つまり「使い捨てる盾」は、レア等級の“素材”を一つ、すでに取り込んだことになる。


その意味を、ヤヒロはまだ正確に測れていない。


だが、この盾が等級の違いを区別できる以上、

いずれ“変化”が起きる可能性は高い。


「次は……当たりを引く」


静かに、そう誓う。


狙うのは、特性あるいはスキル付きのレア装備。


できれば、スキルを持つ一本。


それを誰にも見られず、誰にも奪われず、

この盾に食わせる。


それこそが、

この盾に与えるべき、次の餌なのだから。




三度目の習志野駐屯地ダンジョン侵入。


ヤヒロは、もう迷わなかった。


初回は何も知らず、

二度目は生き残ることに徹し、

そして三度目。


目的が、はっきりしている。


――レア装備の確保。


ただし、狙いは数だ。

当たりかどうかは、後でいい。


浅層。

だが、人が集まりやすい直線ルートは避ける。


袋小路の連続。

罠が多く、効率の悪い構造。


二度目に把握した“誰も使わない道”を、淡々と進む。


戦闘は短く、静かに。


盾で殴る。

受ける。

潰す。

盾で殴る。

受ける。

潰す。

殴る、受ける、潰す・・・・・・。


ひたすらにゴン、という鈍い音だけが響き、

スライムは跡形もなく消える。


繰り返しの作業の中で得られた宝箱は三つ。


一つ目は空。

二つ目はコモン。

三つ目で、光が違った。


「……来たな」


中に入っていたのは、長剣。


派手さはない。

だが、刃の厚みと、妙な均一さが目につく。


間違いなく、レア装備。


その後も、二本確保することができた。

短斧と短剣。

どちらもレア等級だが、見た目は地味だ。


それ以上は深追いしない。


バッグが膨らめば、

それだけで、ほかの冒険者たちに目を付けられる。


ヤヒロは、そのまま帰還を選んだ。

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