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DAY48 変電所再訪と溶けたものの正体

肺に空気が押し込まれる。


少し冷えた空気と共に、

生臭く腐った臭いが、鼻から吸い込まれる。


空を見上げた姿で覚醒する。

一馬は何となく横を向く。


ぅぉぉお…


一馬「ん?」


ぅぉぉおおお…


もう見飽きたような顔が、

側で見つめて悶えている。


溶けて外れかかった鼻に、汚い口元…。

腐ったビーフジャーキーの質感の肌に、

狂気に満ち満ちた(まなこ)


一馬「きゃぁぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」


一馬「ウォーカーやん!?」


謎に驚きの関西弁が口から漏れる。


あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛


唸り声を上げウォーカーが、

勢いよく襲いかかってくる。


覆い被さろうとするが、

身体を(よじ)り、体勢を入れ替える。


一馬は何度も重ねた経験が、

反射的に身体を適切な行動に移す。

瞬時に腰のククリナイフを握り、

ウォーカーの顔面にひと振りする。


切れ味の悪さも手伝って、

ウォーカーの身体ごと、吹き飛ぶ。


ウォーカーは動かない。


一馬「いやぁぁぁああ、

キモ怖ックサきもっきもっ!

何なんだよ。リポイス添い寝とかありえません!」


一馬は驚きの軽口を

叩きながら、スマホを確認する。


一馬「8日目……。えっ!?

え?少しだけ前に戻ってる?それな…」


一馬は言いかけながら周囲に注視する。

見た事ある景観…あの建物…ギ、バァ…?


しかし一馬が、

ここに辿り着いたのは14日目以降。


一馬「ジョーカーのギバー…か?」


リポイスした先がジョーカーのギバーで、

何より8日目からのスタートに一馬は混乱する。


大きく空気を吸い込み、

ゆっくり吐き出す。


一馬は思考の整理に全力を注いだ。

スマホにはまだ『死亡ペナルティ』の文字。


殺されたから、

リセットされない事が確定した。


自殺は論外だが、

殺されたからといって、

元に戻る保証は無くなった。


一馬「装備は…」


装備はそこそこ整っている。

ここで一馬は仮定を考える。


・行った事がある場所に飛ばられる?


・使った事がある武器は、使える?


・時間もしくはイベント攻略がペナルティ解除条件?


一馬はしばらくその場で考え続ける。

狂乱の血死潮(クリムゾンムーン)までは時間がある。


しかも3人に合流は距離として難しく、

隼人に頼る事は、

距離も関係性も無理筋(むりすじ)である。


ふと、一馬の脳裏に変電所の事が過ぎる。

嫌な記憶と共に、

このタイミングの変電所が何故か気になり始める。


なんとも言えないが、

変電所は無視できないと、一馬の直感が訴える。


一馬「確か、トーマスがもう変電所に居るはず…」


一馬にはあの日の、

不確かな状況が整理できていない。


"ゾンビ熱にかかった錬次がなぜ?"


ゾンビ熱がゾンビ化しない保証は無い。

しかし、ローザの話しでは、

死ぬ事が大半である。


あるパニック映画で、

ウィルスに適合すれば…みたいな話しがある。


一馬(あの筋肉バカ(錬次)なら適合しそうだけど…)


そしてあのトーマスの、

異常(・・)な警戒心も気になる。

普通であれば助けが来れば喜ぶし、

警戒心があるにせよ、

外界からわざわざ隔離するのか?一馬は疑問に思う。


一馬はとりあえず、

変電所に潜入する事を決心した。


**********


幸い今回のリポイスは、

ククリナイフにハンドガンと、

嬉ッ楽しい、ラインアップ。


しかし極力音は立てたくないので、

一馬は、弓と矢を道中でクラフトした。

スキャヴァーに弓矢は有効で、

意外に、あっさり倒せた印象がある。


以前、瑠奈に

コツを教えてもらった事がある。


意外にサクサク(まと)に当てるから、

「なんか…つまらない」

瑠奈が少し、

不貞腐(ふてくさ)れたのを覚えている。


一馬は瑠奈のしぐさを

思い出して、どこか懐かしく感じ、

口元が緩んでしまう。


一馬は気を引き締め、

考えを整理をする。


考え事をしていると、

変電所に到着する。


途中、時間を潰し夜を避けた。

朝日が昇り、

すっかり辺りも明るくなっている。


ゾンビ全体に言えるが、

夜に比べると朝は活動が弱々しい。


既に建物の入り口は、

内側から塞がれている。


一馬は前回、

頭に叩き込んだ見取り図を、思い出す。


一馬(前回と同じルートで行こう。)


ゲートを通り、建物を素通りして

反対側フェンスの非常用扉を開ける。


そこから通路を進み、

地下に続く階段を降りていく。

視界が無いスキャヴァーが、

反応するのは音だけ。


足音を潰すように、

慎重に進んでいく。

スキャヴァーが眠る様に、

数体壁に張り付いている。


一馬は矢を取り出し、

連続で弓を弾く。

3体は頭に直撃で真っ逆さまに落ちていく。


弓の起動がズレ、

致命傷を外したスキャヴァーが、

興奮して様子を覗う。


ここで一馬は違和感に気が付く。


一馬(1…3…5

…5体…残りが2体?少ない)


遠くのスキャヴァーを狙い、

音に敏感な

スキャヴァーを奥に誘う。


4体目の死体の上を、

スキャヴァーが這えずり回る。


一馬は最後のスキャヴァーに

狙いを定め、トドメの矢を射る。


注意深く進んでみるが、

スキャヴァーの気配が無い。


地下2階に向かい、

周辺を見渡してみる。


一馬「なっ…こ、これは…」


以前と同様に硬化した、

ゲル状の様子が見て取れたが、

決定的な違いが見つかる。


一馬「人…だったのかよ…」


一馬の目には、

硬化したゲル状の人型の塊が映る。


ゲル状の人間を避け

進んで行くと、女王がいたと思われる場所。


目に飛び込む光景に、

虚を突かれてしまう。


見た事あるゾンビが、

ゲル状の体液と共に、

奥の備品倉庫扉に張り付いている。


一馬「きょ…巨体ゾンビ…?」


まだ少し人間の雰囲気が残っているが、

一馬が21日目の狂乱の血死潮(クリムゾンムーン)で、

錬次と共に倒した巨体ゾンビ。


眠ると言うより仮死状態に近い。


一馬「まだ、ゾンビ化

しきってないけど…ごめん」


ククリナイフで

頭を割り、首を切り落とす。


ここで、

一馬の霧のような違和感が、

少しづつ薄れ鮮明になってくる。


一馬達の想定が

そもそも間違っていた。


一馬はつぶやきながら

頭を整理する。


一馬「ゲル状の卵は人間で…

スキャヴァーは想定よりも少ない…

外から入って来た可能性…

蜘蛛のようなゾンビ?…

スキャヴァーは蜘蛛?ヤモリ?に近い…

ゲル状の塊は…

どちらかと言えば産み落とすよりは…

溶かされている…?なぜ…?

巨体ゾンビの生まれた場所はココで…

何かに感染…した…させられた…」


カサカサッガサ!?


音が聞こえる。

聞こえた方向を目で追う。


左右に素早く目を動かし、

下から上へ視線を向ける。


上部の網が外された、

換気ダクトから視線を感じる。


ダンダンダンッ!


一馬は、

脊椎反射でハンドガンを打ち込む。


銃声が壁を駆け上がり、

悲鳴を上げ消えていく。

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