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攻撃したら『1G』ドロップするスキルで金策してたら最強になってた ~金極振り配信、始めます~  作者: ゆーしゃエホーマキ
フロントライン編

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#57. 青騎士と大火の赤龍

 

 絶対勝って、エクストラスキルを習得できないとかいうめちゃくちゃなデバフを克服してやる! ……と息巻いたものの、さて、あのデタラメな攻撃力を持つ青騎士をどう攻略すればいいのやら。

【コイントス】によるバフでもダメージを軽減できるかどうか……何百万ゴルトも使って即死だったらと思うと、()()()()()なんて悠長なことはできない。

 机に突っ伏しながら思考を巡らせていると、教室のスピーカーから3時限目を知らせるチャイムが鳴り響く。

 まずは目の前の勉強を攻略しろ、とでも言うかのように。



  ■■■



『聖騎士の魔力に触れたことで《焔輝刃ロア・ゼロス》の装備制限が可視化されます』



 昨日、地下洞窟で青騎士に敗北した私は砂漠地帯の拠点《イガンマ旧市街》で復活すると、そのシステムメッセージを目の当たりにした。

 長らく、ウイルスのように蝕んできた呪い。

 普通にプレイするだけでも複数習得できるはずのエクストラスキルを阻害してきたそれの正体は、プレイヤーの間でユニーク武器と呼ばれる《焔輝刃ロア・ゼロス》のデメリット効果──状態制限『スキル習得不能』。

 それなら装備を外せばいいのでは? とその時点で気付いたが、一度装備すると外せない仕様らしく操作を受け付けなかった。酷い呪いだ。

 正体がハッキリしたところで既に詰み。他のスキルは習得できない。


 うん、もっと早く気付きたかったなぁ……いや気付いたところでどうにも出来なかったけど。まったく自分の鈍感さには嫌気が差す。

 ……とは言え、サード・ダンジョン攻略前に見つけられたのは僥倖(ぎょうこう)ってやつではなかろうか。

 放課後、王様に青騎士のことを聞くべく一直線で帰宅した私は、フルダイバーを装着しDDOの世界へ意識をダイブさせた。



  ■■■



 ログインして《王都アルファス》に集合するや否や、石畳の上で正座し、私のために集まってくれた2人のギルドメンバーへ深々と頭を下げた。

 ──伝家の宝刀、土下座である。


 

「私が大ボケかましたせいでこんなことになって申し訳ない……」

「強い武器は装備しちゃうよ~」

「右も左も分からない最初期でユニーク武器に当たるなんて豪運の代償ね……でも驚いたわ。デメリットを解消できる方法があるなんて」



 コユに頭を上げるよう促され、しぶしぶ立ち上がる。



「そう言えばコユの大盾もユニーク武器だよね?」

「一応、デメリット持ちの()()()()()武器ね。使ってる人がほとんど居ないって意味では固有武器になるかしら」



《機械仕掛けの晦冥》のデメリットは防具装備不能。

 その代わりに、操作難易度は高いけど小回りが利く飛行というアドバンテージがある。



「コユちゃんの盾も何かのクエストクリアしたらデメリット消せるのかな~?」

「どーだか。手に入れたのもそこまで高難易度のダンジョンじゃないし、他の人もドロップしてるから固有性もないのよね。まぁ、もし防具を装備できたら空飛ぶ城塞ね」

「それは果たしてタンクとして機能してるのか」

「目立つからいいのよ」



 それもそうか。



「まぁソロの時は防具が欲しいと思った時もあるけど、今は鉄壁にする必要ないのよね。隙を作れば火力バカが片付けてくれるし」

「もちろん片付けるよ。そしてその火力バカの一人がより火力バカになれるチャンスです」

「そうだったわね」



 かつて難攻不落とされ、タイミング悪く話題を掻っ(さら)っていったサード・ダンジョンを舐めてかかるわけにはいかない。挑戦するなら私は万全を期す。

 そのために、青騎士が呟いていた『王』に話を聞くのだ。



「──ダイバー殿。いま、青い騎士と申したか」



 アルファス城にて、想像通り『青騎士』というワードがトリガーだったようで、王様は玉座から身を乗り出すように聞き返してきた。



「砂漠の地下洞窟に居た青騎士、やっぱりご存知なんですね」

「ああ、()()()()()にまつわる伝承に登場する英雄。先々代から言い伝えられてきたことだ」



 聞けば何十年も昔、あの大砂漠は鮮やかな緑が生い茂る森林と平原が広がっていたと言う。

 ファースト・ダンジョン《神獣の大森林》の延長線上にあったわけだ。ただでさえ広い森が昔はもっと広かったのか……神獣と呼ばれるわけだ。

 そして、かつてはその大平原にアルファス城があったが、赤龍によって大地は焼かれ、あらゆる生命が奪われたことで砂漠化したそうだ。



『サード・ダンジョンの話って深掘りあったんだ』

『悪魔が召喚した赤龍が旧アルファス城を襲った、くらいしか教えてくれなかったよね』

『騎士団が食い止めてくれたとは言ってたぞ』

『あの青騎士、重要人物じゃないっすか』

『青騎士フラグの発生条件はなんだ!?』

『彷徨ってる騎士の噂は前からあったし、チェンソー持ってなくても青騎士には会える。隠しダンジョンのクリアが必須条件で確定っぽいな』

『あー、ついでに武器デメリットを解消してくれるのかー』

『ちょっと濫伐者屠ってくる』



 コメント欄でも言われていたように、メインストーリーでは赤龍によって一度滅んだ王国の原因が例の悪魔術師であり、再びアルファスを滅ぼすために赤龍を起こした──という流れでサード・ダンジョン《旧アルファス城塞跡》の攻略が始まる。

 初攻略されたのも最近の話で、青騎士の話は今まで出てこなかった。



「──大火の赤龍という厄災を前に、アルファス聖騎士団は果敢に立ち向かった。討伐こそ為せなかったものの、彼らは皆が安全な場所へ逃げるまでの時間を稼いだ。たとえ結果が敗北であろうと、私は彼らを英雄と讃えよう」



 王様は胸に手を当て、亡き英雄たちを(しの)ぶ。



「青は自然との調和を意味する神聖な色、聖騎士団団長の証だ。名を《()()()()()()》……当時の国王に剣の腕を見込まれ、側近として仕えた我が国の騎士だ」



 青騎士ジークリウス……名前を聞けたってことは上手く進行してる証拠かな。

 となると、次は……ジークリウスのセリフを王様に伝える形にすれば……?



「その人、謝ってました。『護れなかった』って」

「真面目で堅実な男だったと聞く。故に己の誓いを果たせなかったことを後悔しているのだろう……」



 眉を下げ、瞼を閉じて青騎士の思いを汲み取ろうとする王様は、ゆっくりと息を吐くと私達の目を見つめてくる。



「彼の後悔が晴れるかはわからないが、王都郊外に《龍災慰霊碑》がある。赤龍に生命(いのち)を焼かれた者達の魂が在るべき場所に還るよう、どうか祈ってやってほしい……」


『EXクエストが進行しました。目的地を設定します』



 よし、正解!


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